苦しい時の神頼み

　昔、アルバイトの塾で教えていた生徒の大好きだった父親が、ある病気に罹り入院しました。彼女は入院先の病院まで看病で付き添い、色々医療を試し手を尽くしてもらいました。
　更に神様にお願いに神社仏閣を回ったり御守りを買ったりもしました。



　しかし、残念ながらお父様はお亡くなりになりました。
　その時彼女は、世の中の無常を悟り、
「神様なんかいないという事がわかりました。」
という内容の手記を書きました。
　辛い現実ですが、これが世の常かも知れません。彼女のいう通りだと思ったので、慰めの言葉も書けませんでした。

　普通に理性のある人は、彼女と同じように感じる人が多いでしょう。父親が助かっていれば、喜んで神にも感謝するでしょう。

　そんな大切な身内の生死に関わる病気で、心が折れそうなときに、「先祖が悪いことをしたから呪われている」とか、「死んだら地獄に落ちる」とか怖がらせて、壺を買って家に置けば救われるとか言って売り付けるカルト宗教って酷過ぎます。

　何の根拠もなく、当然霊視能力などある筈もなく、「地獄に落ちる」だの「悪霊がついている」だのと言った時点で詐欺罪を適応すべきでしょう。即、宗教法人剥奪でいいでしょう。



　そんなことに引っ掛かる人もおかしいと言えばおかしいのですが、なす術もなく、困っている時には、藁をも掴む思いで、神にもすがりたくなるものでしょう。

　困って弱っている時に、その弱みにつけ込んで、「悪霊がついているから除霊の為」などと言って（実際の価値の無い）高価な物品に「ご利益がある」と売り付ける連中こそ極悪非道の悪魔です。

　人の弱みにつけ込む点で言えば、暴力団の恐喝や、なりすまし詐欺と同等か、もっと酷いと言えるでしょう。

　そのような冷酷非道なカルトが半世紀以上前から日本で蔓延り、1980年代以降には、大々的に霊感商法等が批判されて来たのにも関わらず、いつの間にか沈静化し、名称変更も許可し、宗教法人も剥奪していない政府も酷過ぎます。こんなカルトの意向も政治に多少なりとも反映されていた事も大問題です。
　何だか荒唐無稽なドラマのようですが、これが現実とは世も末です。

　

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