雑草の言葉

巨大カエルの卵・・と、思いきや?

2022/11/03
自然観察 4
 20年ほど前から面識があり、この秋からまた交流を始めた有機無農薬の農家の方(畑をお借りしている方とは別人です。)の家に先日(10月末)に行った時のことです。
 彼は集落の農家の中で若手であり、その集落の堤池三つの管理を任されていました。そのうち一つを見に連れて行って頂きました。
オオマリコケムシのいる美里町旭寺入りの堤

 その堤池に着くと、彼は時々向こう岸に熊や猪の親子が出没すると教えてくれました。
 彼が堤池の取水口を開けて、水路に水を流そうと、長靴で堤に入って、浮いている何かを指差して私に問いました。
 「これは何だかわかりますか?」
そこには大きな丸いゼリー状の物体が浮いていました。バレーボールを半分に割ったくらいの大きさと形でしょうか?

オオマリコケムシ1 オオマリコケムシ2

 「カエルの卵にしては大きすぎるけど、巨大な外来種のカエルの卵ですか?」
「違います。」
彼は頭を横に振りました。
 「オオサンショウウオがここに住んでいるとは思えないから、んじゃあ、外来種のイモリの卵?」
「違います。」
「でもこれは、両生類の卵に見えるんだけど・・」
「卵じゃありません。ある種の小さな生物がたくさん集まった群体です。名前は忘れましたが、2、3年前から、会津のこの辺りでも観られるようになり、ネットで調べました。・・・」

オオマリコケムシ3


 子供の頃から、池とか堤の周りにはよく行き、どんなものが棲んでいるか観察していましたが、今までこんな生物の存在は全く知りませんでした。


 彼は、堤から上がると、スマホで検索して見せてくれました。
 それは「オオマリコケムシ[大毬苔虫]」という非常に小さい(体長1.5mmほど)動物の群体でした。寒天質を分泌して巨大な群体を作るとのことです。
 琵琶湖や霞ヶ浦などの水質が悪化した水域で多くみられる傾向があるとのことです。
 北アメリカ原産の生物で、日本では1972年に山梨県の河口湖で発見され、分布を広げてきたとの事なんだけど、こんな山の中の堤池にどうやって来たのでしょう?

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Comments 4

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K.Miyamoto

珍しいものを見せていただきました。

食べても毒はないが、ふつうオオマリコケムシは食用にはならない。朝日放送のテレビ番組『探偵!ナイトスクープ』2003年12月19日放送分では、当時辻学園調理・製菓専門学校で教鞭を執っていた林裕人が、オオマリコケムシに真空調理などの下ごしらえを施し、美味しく食べられるように調理する様子を放送した。
『ウィキペディア(Wikipedia)』より。

食べてみた方がいると知って二度ビックリですv-12

2022/11/04 (Fri) 07:55
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: こんなものを食べようとする人もいるんですね。

 美味しく食べられたのでしょうか?

美味しく食べられて、栄養もあればいいですね! 

2022/11/04 (Fri) 18:27

guyver1092

伝播経路

 以前、閉鎖水系への魚の伝播経路について何かで読んだのですが、鳥が魚の卵を食べても、生きた卵も糞として排出されるので、結果として魚の生息水域が増えるそうです。
 鳥は空を飛ぶため、極限まで軽くできており、食べたものも哺乳類のようにしっかり消化して栄養分を全て吸収しようという働きが少ないそうです。 
 おそらく、オオマリコケムシも同じような方法で伝播しているのではないでしょうか。

2022/11/04 (Fri) 19:32
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: 伝播経路

 情報有難う御座います。
なるほど、そういう事でしたか?鳥の運搬能力は凄いですね。

>生きた卵も糞として排出される

とは考えてもいませんでした。

>閉鎖水系への魚の伝播

なんて事ができるのなら、オオマリコケムシの伝搬なんて、簡単ですね!

guyver1092さんは本当に多読で博識ですね!

2022/11/05 (Sat) 00:12
☘雑草Z☘
Admin: ☘雑草Z☘
「経済成長」はその定義からも明らかなように実態は「経済膨張」。20世紀に巨大化したカルト、「経済成長信仰」と「科学技術信仰」とによって、飛行船地球号は破裂して墜落を始めるのも時間の問題。
あくせく働いて破局に向かって突き進むくらいなら猫のようにその日暮らしをする方がよっぽどいいではないですか。脱成長によってゆったり暮らすことができる社会の実現を!
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