資本主義は破壊の因子《後編》〜地球の有限性と貨幣の規模〜

〜地球の有限性と貨幣の規模〜
さて、この破滅の因子を人類社会から取り除くことは可能てしょうか。私は可能と考えます。方法としてゲゼル主義による、貨幣への制限があります。現代の管理通貨制度によると、貨幣は商品とともに新たに生まれますが、商品が使用または経年劣化により消滅しても貨幣は消滅しません。その結果、貨幣と商品を比べると貨幣が優位となり、人々は貨幣を取得することを選びます。そこで、ゲゼルは貨幣も商品と同じく使用により消滅しなければならないと考えたのです。これはマイナス金利として理解されています。現在の社会で行われているマイナス金利は、中央銀行からの貸し出しのみ行われていますが、ゲゼル主義は一定の期間が立てばすべての貨幣の額面が減少するというものです。このような貨幣の制度を取ると、商品に対する貨幣の優位が無くなります。結果として、貨幣の総発行残高は管理通貨制度より減少しますし、マイナスの利率によってコントロールできます。さらには、貨幣の価値を一定に保とうとする限り、経済全体の規模も生産量に応じます。つまり生産が一定なら、経済規模も一定となります。

ゲゼル主義を採用すると、投資をしても目減りをする場合が多くなるので、拡大再生産を止めやすくなるでしょうが、上手に事業を行って、消滅する以上に生産すればやはり経済は成長します。そこでもう一段の制限を貨幣に課せば、環境負荷を人類文明の存続可能域まで減らすことも可能と考えます。その制限は、人類の手にしたエネルギーに応じて貨幣を発行するというものです。化石燃料はこのエネルギーに含めません。これを含めては破滅を回避できないからです。もっと言うと、固定した太陽エネルギーに応じて貨幣を発行し、この貨幣は、エントロピーの法則に応じて減少するよう取り扱うのです。具体的には、森林、農地の生産量を基準に貨幣の総額を決めます。これらを損なえば、貨幣の総額も減少させます。森林、農地を増やすことができれば、その分の経済成長もできることにします。

この成長は、地球の面積、気候に制限を受けるので、自滅するほどの環境負荷を発生させると、貨幣額が減少、つまりマイナス金利が大きくなり、投資しても投資の謝礼はなくなることになり、結果として事業がなりたたなくなります。
物事の制御方法に、フィードバック制御というものがありますが、人類の採用する経済システムには環境負荷の増大に対するフィードバックはありません。この制限を組み込むことにより、人類の自滅を防ぐことは可能でしょう。自滅を望む者は、この制限を嫌うでしょうが。

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