甘柿が店頭から消えた?
「現在、八百屋やスーパーなどの店では、甘柿は売っていない。みんな渋柿の渋を抜いた『さわし柿』ばかりだ。」
私が
「そんな事ねえだろう?」
と言ったら、
「いや、俺のいく店、スーパーや八百屋では甘柿は見掛けたことが無い。甘柿は、個人の家の庭の木になっているのを個人で取って食べるけど、売り物はみんな渋柿をさわした柿だけだよ・・。」
そう言えば、「甘柿を切ると中は黒いことを、最近の学生は知らない。」
・・と言う話を数年前から聞いていました。
甘柿は中に胡麻のような点々が沢山入っていて、それを通称「胡麻柿」と言います。胡麻が入っていない部分は渋いのです。その胡麻が入って黒っぽい感じを「黒い」と表現していたのでした。その、甘柿である「胡麻柿」を知らずに、柿の中は、柿の皮よりも白っぽいと思っている「さわし柿」しか知らない学生ばかりだと言うのです。その話を聞いたときは、柿をよく知らない一部の学生の話だろう・・くらいにしか思いませんでした。
私は柿をお店で買う事が殆どなかったので、知りませんでしたが、試しに近くの八百屋やスーパーに行ってみたら、確かに「会津身不知柿[あいづみしらずがき]」のようなさわし柿しか売っていませんでした。
私は果物はどれも大好きですが、特に好きな果物の一つが柿です。しかし、渋柿をさわした「さわし柿」は甘柿ほど好きではありません。私の住む会津地方では、甘柿はあまり出来ず渋柿が圧倒的に多いし、家の柿も渋柿ですので(甘柿も後から植えましたが、あまり実りませんし、少し渋くなってしまいます。)渋柿で干し柿とさわし柿を作ります。

我が家の渋柿
「甘柿」と「渋を抜いたさわし柿」の味は、あんまり違いはありませんが、さわし柿の甘さの方が多少「甘ったるい」感じです。食感も、さわし柿は滑らかというかねっとりした感じです。
一方、甘柿の味は「野生の甘さ」の感じで、かじった時に固く「パリっ」とした歯応えがあり、いい食感です。私は圧倒的に甘柿の方が好きですし、私の知人は甘柿を好きな人の方が多いと思います。

左:渋柿をさわしたさわし柿 右:甘柿

<断面> 左:さわし柿は白っぽくてきれい 右:甘柿は黒っぽい「胡麻柿」
さわし柿のメリットといえば、タネがない(もしくは小さい)と言う事でしょうが、柿の種など気にする人がいるのでしょうか?
非常に種の多いアケビの種はかなりなネックです。あの種がなかったら、アケビは非常に人気が出て、沢山流通することでしょう。
スイカの種も細かくて多くてちょっとだけ不便です。(最近、種無しスイカも売ってますが、ちょっと引いてしまいます。私は種のあるスイカで十分です。)
しかし柿は、スイカやアケビに比べて、大きめの種が高々8個、規則的に円形に並んで入っているだけです。スイカのように種を取るのが面倒だなんて感じたことはありません。
では、何故、本来の甘柿に変わり、さわし柿ばかり売ってるのでしょう?早く木からもいで、さわしている最中に出荷すると長持ちするからでしょうか?確かに甘柿は、ある程度熟してからでなければ、もいでも甘くありません。(「食いどき」になってからは、甘柿の方が長持ちすると思いますが・・。)
子供の頃岩手県で育った私は、友達の家に甘柿をもぎに行って、その場で食べ、また沢山もらって来ました。本当に美味しい甘柿でした。
何年か前に、奈良県の吉野に行った時、飲食店などで甘柿をサービスしていただき(テーブルに置いてあった柿を自分でナイフで切って食べた)、更に八百屋で大きくて美味しい柿を1個100円くらいで購入して食べ、西日本の甘柿は大きくて美味しいと思いました。
いつから甘柿は売られなくなったのでしょう?
本来の甘柿がお店に出回らず、代わりに渋柿をさわした柿ばかり出回っているのは、福島県や宮城県など東北地方だけの事でしょうか?それとも関東や西日本でも同じようなことが起こっているのでしょうか?

我が家の渋柿でさわし柿を作るところ
確かに甘ったるくて、舌触りがなめらかな「さわし柿」の方が好きだと言う人も沢山いるようです。しかし、歯応えが良くて、頗る美味しい甘柿がお店で売られていない事は不思議でなりません。何故なのでしょう?


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