IMF、WTOなどの食糧危機共同声明に違和感

WFPのホームページより
世界で起こっている食糧危機などに関して、
WBG:世界銀行グループ、IMF:国際通貨基金
WFP:国連世界食糧計画、WTO:世界貿易機関、
のトップが今年の春、食糧安全保障における迅速な協調を求める共同声明を発表しましたが、違和感を覚えました。



違和感は、「声明」なので、法的な拘束力を全く持たないという理由ばかりではありません。
それ以上に、それらの組織が、(それら全ての組織というわけではありません。まともな組織もあるやも?です。)根本的には、世界の食糧危機を深刻にしてきたのでは無いかと思うからです。
WTOはGATT[関税及び貿易に関する一般協定]を発展解消させて成立した組織です。主たる目的は自由貿易の促進です。 IMFも国際金融と為替相場の安定化が目的と言いつつ、国際貿易の促進も目的としています。
WBG:世界銀行グループは世界最大の開発銀行であり、開発途上国にレバレッジド・ローン(主に投資適格未満の相対的に信用力が低い企業に対して行われる融資)を提供する国際機関です。
以上3つの組織は、「国際分業」という名目で、「先進国」と自認する国の巨大資本による、彼らが「発展途上国」と呼ぶ国々の支配を進め、「発展途上国」の食料自給率を低めてきたような印象があるからです。
「援助・支援」と言いつつ、その国の食を支配してきたと言うことです。
宗主国の傀儡的なIMF、WTO、WBGは、現地の伝統的なタロイモなどの主食から、小麦を主食にするように変えさせて、アメリカなどが余剰の小麦を輸出してきました。
そして途上国には「適材適所」「自由貿易」の名の下に、植民地支配の延長線上の、コーヒー、カカオ、紅茶、サトウキビなどの嗜好品のプランテーションのような農業を推し進めてきたのです。
そこにはフェアトレードも、ずっとなかったのです。
小麦を売りつけたり援助したりして現地の食文化を破壊し、地域が養える以上に人口を「爆発」させ、生活ができなくなった現地人は農村から都会に移住してスラム街ができ、拡大していきました。「援助」の名の下にアフリカやアジア、南米を「発展途上国」と呼んで、ドーピングのような援助をしてきた結果が、今日の「発展途上国」の食糧不足に繋がったと言えるでしょう。
ここで言う「ドーピングのような援助」とは、自立できずに(させずに)いつまでも「援助」に頼らせ続けるような援助のことです。
WFPに関しては、知らないだけかも知れませんが、今のところ特にネガティブな印象はありません。
IMF、WTO、WBGは、名目上は世界をより豊かにするために設立したのでしょう。しかしその「豊かさ」はGDPの増加で定義される「経済成長」であったのです。世界の経済成長のために「発展途上国」と呼ばれた国々は、世界の投資家たちの食い物にされてきました。「人口爆発」と呼ばれる超指数関数的な人口増加によってスラムが膨張し貧困も増え、途上国と呼ばれた国の国民の多くが悲惨な状況に陥りました。
共同声明の中に次の一節があります。
「輸入された食料が消費の大部分を占める最貧国にとって脅威は最も大きく・・」
何故に最貧国が食糧を自給せずに大部分を輸入に頼る構造になったのでしょう?これこそ、自由貿易がもたらした禍害と言えるでしょう。IMF、WTO、WBGもその役割を果たしてきたのです。

WFPのホームページより
確かに現在、食糧不足の国へ、緊急な食糧支援は必要でしょう。しかし、人口爆発の原因を作り、飢餓と貧困を拡大してきたのは、欧米諸国を中心とする自らを「先進国」と認める国々の財閥・資本家たちでしょう。IMF、WTO、WBGは、自由貿易によって経済を成長させ、大儲けをしようと画策する資本家たちが利用するための組織に思えます。表看板に掲げるような、世界の貧困を無くし、食糧危機を回避し、世界の人々の暮らしを豊かにする組織とは到底思えません。
「自由貿易」は輸送のエネルギーの浪費でもあります。「適材適所」の名の下に「自由貿易」を善とする価値観がおかしいのです。そもそも食料は地域ごとの自給自足が原則でしょう。広くとも国家毎には自給自足するべきです。「自給自足」こそ独立国家を保証する最も重要な要因の一つでしょう。

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