種採りを農業のプロに尋ねたら・・
数年前の事です。固定種を専門に売っている野口のタネから購入して蒔いた茄子が実って食べたら美味しい品種(真黒茄子)でした。

房成真黒茄子・・もっと大きな実が沢山、房のように成ったのですが、
こんな写真しか撮ってませんでした_Orz..
採種して翌年も蒔いて育てようと思い、当時、農業高校で働いていた(農業の先生ではない。)身内に、
「農業の先生に、茄子の種の採り方を聞いて来てくれ。」と頼みました。
早速、野菜栽培を指導している農業の先生たちに、茄子の種の採り方を尋ねてもらったところ、なんと思いもよらぬ回答が返って来ました。
「茄子の種なんて採ったことが無い。今どき、野菜の種を採る農家なんてないよ。」
その農業高校では、春先には野菜の苗も売っていたので、当然採種もしているものと思っていましたが、種は種屋から購入して蒔いて、苗を作っていたのでしょう。
農業の先生は農業のプロなのに採種の仕方もわからないとは驚きです。情けない感じです。
ご年配の農業の先生を除けば、採種もしたことがない農業高校の先生ばかりのようです。
主な作物の採種、保存の仕方も教えない、学ばない農業高校って片手落ちな感じがします。大学の農学部でも採種については教えないのでしょうか?
「採種農家」という言葉もありますが、もう採種する一般の農家は無くなってしまったのでしょうか?
多くの農家にとっては、採種や種の育成よりも農作物そのものの生産に専念して、「いい種」は種苗業者から購入した方がいいのでしょうか?それとも全ての種がF1だと思って、採種してもまともな実がならないと思っているのでしょうか?
確かに現在市販されている作物の種の9割以上は、F1でしょうが、少なくとも野口の種や伝統野菜の種は、固定種なのですけれど・・。
作物栽培のプロならば、普通によくある野菜の種の採り方くらいは知っておくべきでしょう。
百の仕事=たくさんの仕事 をする百姓が、種採りをしないって、ちょっと脱力です。(「百姓」の本来の語源は、百の姓;さまざまな人たちという意味で、百の仕事という意味は俗説でしょうけれど・・このことについてはまた後日言及したいと思います。)
かくいう私は、農業高校の先生では当てにならないと悟ったので
「固定種野菜の種と育て方」野口勲、関野幸生 共著
を 野口のタネ から購入しました。採種に関しても頼りになる本です。

そして、茄子の採種をしようと思っていたら、冬になってしまいました。採種用に取って置いた茄子の実を割ってみたら、中で既に発芽していた種もあったので、採種して乾かしたら死んでしまうでしょう。種を実の中につけたまま、寒いところに保管して、春先の早い時期に(2月位)ピンセットで種を剥がし採って、直にポットの土に蒔きました。
それで立派に苗が育ち、定植して、次の年も美味しい真黒茄子が収穫できました。・・この方法かなり行けるかも・・。
作物栽培の醍醐味の一つは自家採種にあると思います。昔の農家は同じ作物の中で一番大きくて美味しそうな実は、売らずに自分の家で食べて、その種を蒔いて引き継いで、その土地に合った、大きくて美味しい種に品種改良していった・・・と言います。そのような、自分の畑だけの品種改良って素敵です。


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