致命的な急所を晒して、防衛力強化って?
決断力に欠けると言われる岸田首相が、ときに素早く決断した時は、悉く日本を劣化させているように思えます。特に今年の後半には、本当にとんでもない、亡国のような決断を二つしました。
原発への積極的な取り組みと、軍事防衛費の大幅増額です。この2つの決断は、大きな矛盾を孕んでいます。
原発への積極的な取り組みとしては、
1.原発の再稼働
2.稼働期間の延長
3.次世代革新炉の開発・建設
(原子力産業新聞)
です。
この3つの取り組みは全て、非常に危険で、かつ原発の本質的な問題を何も解決していないのですが、それを一つ一つ指摘すれば、長くなりますので、今回はそのことには触れません。

軍事防衛費の大幅増額は、ロシアによるウクライナの軍事侵攻や、北朝鮮のミサイル発射の頻発、中国の軍備の拡大と台湾への侵攻の可能性などが背景にあるのでしょう。しかし、元々、アメリカ(の軍需産業)や日本の経団連などからの要望が強かったのでは無いでしょうか?すなわち、経済的利権です。「結論ありき」で、その為に他国の脅威をどんどん煽っているように見えます。
憲法違反とも言われる「敵基地攻撃能力」の配備は、仮想敵国を脅かして牽制する事が主な目的なのでしょうが、近隣諸国はますます軍備を拡大し、日本を標的とするミサイルも増えることでしょう。そして、そのうちの多くが原発にロックオンされるでしょう。原発こそが日本を壊滅させる最も有効な攻撃目標だからです。

もし日本が実際に敵基地を攻撃してしまったら、後戻りはできません。全面戦争に突入するでしょう。そして瞬時に日本は壊滅するでしょう。
どんなに防衛費を増やしても日本の海岸線にずらりと並んだ原発を、攻撃から守ることは不可能でしょう。特定の1基の原発だけを守ることさえ無理でしょう。
本格的な戦争に突入すれば、いくつかの原発は破壊され、日本は壊滅するでしょう。その時に放出される放射能は、福島第一原発事故やチェルノブイリ原発事故の時よりもずっと多くなる可能性は低く無いでしょう。つまり、「敵基地攻撃能力」を持った日本が戦争でもしようものなら、日本は壊滅するのです。

原発は、いかなる理由があろうともあらゆる面で反対ですが、百歩譲って、メリットを無理に考えれば、
原発を海岸線に並べたこと自体で、
「防衛は無理だから、攻撃しないで下さい。」
と言っているに等しいと言うことです。 原発を海岸線に並べていると言うことは、相手に急所を晒しているのと同じことです。動物が、同じ種の動物に対し、お腹など弱い急所を曝け出して、敵意が無いことを相手に知らせているようなものです。
核弾道ミサイルなんて大げさな物さえ必要ありません。核を搭載していないただのミサイル、更にはドローンでも、原発を破壊して、膨大な放射能を撒き散らすことは可能です。冷却装置を破壊するだけでもメルトダウンは可能なのですから・・。日本各地の1ヶ所の原発だけでも、ため込まれている使用済み核燃料には、広島や長崎の原発の何百、何千倍の放射性物質があるのです。
日本本土の防衛の為には、再稼働や稼働期間の延長、革新炉の開発・建設は逆効果です。本当に防衛能力を高めたいのなら、日本にある全ての原発を速やかに廃炉にすることです。それでも長い年月がかかります。つまり、日本は攻撃に対して非常に脆弱なので、絶対に戦争はできないと言うことです。
たくさんの原発を抱えて、「防衛能力の強化」って、おかし過ぎます。ジョークとしか思えません。
このことに関しては、過去記事でも何度か扱っています。
【議論は終わってる・・推進派のプロパガンダの嘘】2011/09/11 の9番
・・原発維持の狙の一つは、核兵器の燃料の確保なのでしょうけれど、
その燃料は日本の破壊に利用される可能性も高いのです・・。
【安保法制と原発】2015/08/23
この記事は、総論として今回の記事の補完となります。
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