シャロウ・エコロジーでは解決しない
その根底には、経済成長と環境保全は両立可能という考えがあります。さらには、環境保全のためには経済成長が必要だとする主張まであります。経済成長によって科学技術が進歩し、公害防止装置やエネルギー効率の良い自動車などの機器を作り、バイオテクノロジー、リサイクル技術の進歩・・・などによって環境問題を解決する、解決できる、というスタンスです。

中国に輸入されたゴミ・・大量にゴミを出しても、
リサイクルで解決するとでも思っているのでしょうか?
現在主流をなす環境問題への対処法は、明らかに「シャロウ・エコロジー」です。SDGsの環境問題に関する部分のターゲットも〜全てではありませんが〜シャロウ・エコロジー的なものに溢れています。(一部、素晴らしいターゲットもあります。) 例えば、人々は、リサイクル、リユースへの協力は求められても、消費の絶対量を大幅に減らすことは求められません。燃費の良い、ハイブリッドカーやEV、PHEVカーへの乗り換えは奨励されても、自家用車を放棄することは求められません。
そんな程度で、どれだけ環境負荷が減るのでしょう?環境負荷が増大する逆効果さえ起こっています。ここまで深刻になって逼迫してしまった環境問題が解決する筈もないでしょう。
マスコミに出てくる、環境問題の権威、持続可能な社会へのシフトを研究しているという(御用)学者の方々の多くは、どれだけの技術が出来れば、環境負荷はどれだけ減る・・・などとは言及しますが、いつまでに、どれだけ汚染源を減らさなければ間に合わない・・・とは滅多に言いません。言った場合も、そのためのシビアな取り組みはほとんど提案せず、「出来ることから少しずつ」のような甘い、もしくは、経済効果のある取り組みしか提唱しません。(CO2削減が典型例でしょう。)
森林消失の深刻な予測は発表され続けていても、森林減少は続いています。
マイクロプラスチックの増加によって、海洋汚染と生態系への影響が非常に危惧されているにも関わらず、マイクロプラスチックの元となるプラスチック製品は、未だに大量生産・大量消費されています。
そして、人口増加による世界の食糧不足が危惧されているにも関わらず、人口は増加を続けています。日本では、食料自給率が40%にも満たなく、食糧の自給も無理なのにも拘らず、「少子化対策」と称して、人口を減らさない対策をしています。

世界中の人々は、こんな浅い取り組みで、逼迫した、あとのない環境問題を克服できるとでも思っているのでしょうか?
シャロウ・エコロジーを推し進めれば、環境問題は解決し、世界は救われると考えて、SGDsだとか、技術革新だとかばかりを推進し、経済成長を優先している間に、持続可能な世界にシフト出来ずに、世界の環境は破局を迎えてしまうのでは無いでしょうか?それを危惧しています。
では、シャロウ・エコロジーではなく、ディープ・エコロジーか?と問われれば、そう言うわけではありません。Deep Ecology運動は、多分に哲学的な部分が多いからです。その事については機会があれば書きます。



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