欲しがりましょう、産めよ殖せよ

先日、NHKの日曜討論を、終わりの方だけ少し観てみました。2023年度の経済などがどうなるかというような内容でした。
出演者は、証券会社のチーフアナリスト、証券会社GM総括本部副会長、経済学の大学教授、連合総研主幹研究員、関西経団連会長という面々で、面白くなさそうだと思った以上にしょうもない内容でした。 彼らは旧態依然とした経済成長戦略を論じていました。GX(グリーントラストインフォメーション)で、脱炭素社会への移行は必要だ。その為原発などを活用して、日本がまた技術と経済で世界のトップに上がれるチャンスだとか、聞くに値しないではなく、聞くに堪えない内容でした。
そして極め付けは、出演者の一人が
「戦前のように、欲しがりません勝つまではではなくて、将来のためにみんなで欲しがりましょう。」
みたいなことを言ったのです。おそらく彼女の得意フレーズなのでしょう。


「ぜいたくは敵だ!」って標語は、戦争と結び付けなければ悪く無いと思います。
要するに、不要なものでもどんどん欲しがって、経済を活性化し、経済成長させようと言うことでしょう。
SGDsだとかGXだとかを論じていた方々ですから、ダブルスタンダードです。環境のことも考えて、
「欲しがりません。不必要なものは」と言うべきでしょう。はじめから、GXは経済成長の道具としか考えていないようです。
それに対して証券会社のエコノミストと言う方は、
「その為には人口が増えないのが問題だ」
と言い切りました。さらに脱力です。
戦前の「埋めよ殖せよ」みたいなものです。
「欲しがりません。勝つまでは」よりもよっぽど酷いアナクロニズムでしょう。

人口を増やして国力を増して、GDP を増やせと言いたいのでしょう。私はこれ以上の経済成長は、破局への道だと考えていますが、これからも国民が物質的に富むことを是としたとしても、国全体のGDPではなく、一人当たりのGDPが問題でしょう。
要するに総人口が増えれば売り上げも増えるという単純発想なのでしょうけれど、人口が増えれば企業も増えて、消費者だけでなく、生産者も増えるのです。一人当たりは変わらない・・・と言うよりも、人口が多い分、一人当たりの物資は減るのは当然で、資源の枯渇と環境汚染が進むだけです。
最近、やっと資本主義の限界を唱える経済学者が増えてきました。21世紀も経済成長を続ける事は不可能で、定常社会に移行すべきだという学者も見受けられるようになってきました。
それなのに、いまだに
「需要拡大、産めよ殖せよ」
みたいな事を言っている方を、経済のオピニオンリーダー(?)としてTV に出演させているNHK が、御用学者を集めて政府や経済界に忖度しているのでしょうか?日本中そう考えている方が大多数派なんでしょうけれど、日本に限らず、こんな近視眼的なお馬鹿なことを言ってると、成長の限界による破局が訪れて、22世紀に向かって悲惨な世界になっていく事でしょう。22世紀まで持たないんじゃないかと思っています。



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