朝鮮戦争の実態
朝鮮戦争は、ドイツと同様に、第二次世界大戦後の米ソ冷戦の代理戦争のようなものだとは思っていましたが、朝鮮半島では第二次世界大戦よりも桁違いに多くの犠牲者が出たのです。そして、第二次世界大戦のまだ数年後だったと言うのに、第三次世界大戦にまで発展する可能性も高かったのです。ここまでとんでもなく危うい戦争だとは思ってもいませんでした。

首都ソウルが南側に入るように国境線を北緯38°線にすると、アメリカ側の提案で決められてから、最初にそれを破って進軍したのは、北朝鮮でした。1950年6月のことです。すぐさま国連で北朝鮮を38°線まで押し戻す事を決議して、国連軍の司令官に任命されたのがマッカーサーでした。マッカーサーの自信に反して、当初は北朝鮮の方が圧倒的に強く、1ヶ月半で韓国は南の釜山周辺だけを残して北朝鮮に占領されてしまいました。

マッカーサーは、自分が堂々とした姿に映るように、ファッションに非常に気を使い、部下からは「戦う気取り屋」と呼ばれたそうです。この日本に降り立った時のサングラスにパイプと言う姿もその一端でしょう。彼のナルシズムを満たす為には、核戦争も第3次世界大戦をも厭わない、冷酷な人物だったように思えます。
その後、マッカーサーは、奇襲作戦等で盛り返し、あろうことか、国連の目的であった38°線をも越えて進軍し、11月末には、北朝鮮軍を北の中国国境付近にまで追い詰めます。そこでマッカーサーは、国連軍の(アメリカの)兵士達に、クリスマスまでにはアメリカに戻れることを約束します。それまでに北朝鮮を殲滅させる自信があったのです。 しかし、中国国境の鴨緑江の向こうから沢山の中国義勇軍が攻撃してきて、逆に国連軍は南部に撤退します。
38°線で休戦協定を結んでいれば、戦争は3ヶ月ほどで、お互いの犠牲は小さく抑えられたのに、マッカーサーの「北の共産主義者を壊滅させる」という功名心、狂気のもとに戦争は長引くのです。マッカーサーは、アメリカ大統領も目指していて、その為に「戦争の英雄」になりたかったらしいのです。更に中国の義勇軍に敗退して、軍人としてのプライドが傷ついたと言う、ただそれだけの理由で、彼はあろう事か、中国(一部ソ連)の北京、大連などの都市に原爆を投下すべく、都市をリストアップして、26発の原爆投下の許可を本国に求めたのです。
中ソとの全面戦争さえも辞さない構えでした。26発の原爆で、中国とソ連が降伏するとでも考えていたのでしょうか?・・既にその時、ソ連は原爆を持っていましたので、アメリカが核を使用すれば核戦争に発展していたことでしょう。キューバ危機以前に、こんなに切迫した核戦争の危機があったとは知りませんでした。 マッカーサーは中国義勇兵へのリベンジと「戦争の英雄」として自己アピールしたいが為に、中ソに原爆を投下したかったのです。核戦争、第三次世界大戦にまで発展したかも知れなかったのです。マッカーサーは現代ソ連のプーチン以上の狂犬では無いでしょうか?
アメリカ大統領のトルーマンはそれを認めず、マッカーサーを全ての職から解任します。極めてまともで当然な解任でしょう。そして、マッカーサーが核を使おうとした事を知らなかった日本国民からは「平和主義者」として惜しまれて帰国し、本国では英雄として凱旋します。
その「英雄」を失脚させた民主党とトルーマンは人気が凋落して、代わって共和党のアイゼンハワーが大統領になります。彼はノルマンディー上陸作戦の指揮官でした。アメリカでも、「戦争の英雄」が大きな支持を得ていたのです。アイゼンハワーも朝鮮戦争に核の使用を容認していたとの事ですから、現在のソ連のプーチンと変わりありません。TVや映画のヒーローとは違って、「戦争の英雄」は「平和主義者」ではなく「戦争好き」が多いのではないでしょうか。
1953年にソ連の仲介で休戦調停がなされ、国境線は、ほぼ開戦前の北緯38°線のまま落ち着きます。マッカーサーは、38°線に留まらず、無謀な侵攻をして、膨大な数の人々を犠牲にしましたが、結局国境線はあまり変わらなかったのです。
休戦協定までに、アメリカは日本の沖縄など各地からB29で北朝鮮の都市を空爆し、何とあの大惨事だった東京大空襲の10倍の、100万人の北朝鮮の市民に犠牲者が出ました。(第二次世界大戦での日本の一般市民の犠牲者数は80万人です。)
朝鮮戦争での死者数は、
アメリカ軍の5万人に対して
中国の義勇兵が100万人 。
韓国が、兵士と一般市民を合わせて130万人
北朝鮮が、同じく兵士と一般市民を合わせて250万人以上との事です。
当時の北朝鮮の人口は1千万ほどだったようですので、数人に一人が戦争で亡くなり、人口のかなりの割合が減った事になります。
第二次世界大戦での(分割前の)朝鮮の死者数は20万人でしたが、朝鮮戦争では、兵士と一般市民を合わせた戦死者は、少なめに見積もっても第二次世界大戦と比べて10倍以上なのです。
そもそも北緯38°線はアメリカの提案した境界線だったのです。 マッカーサーが国連の決定通り、北緯38°線で進軍を止めていれば、韓国も北朝鮮も中国もこれほどの戦死者を出さずに済んだのです。
北朝鮮に義勇軍を送った中国の毛沢東も、とんでもない発言をしていました。喉から手が出るほど、核兵器を欲しがっていたとの事ですが、アメリカの核の脅威に対して、
「中国の人口は多い。一千万人や二千万人の死は恐れるような事ではない。」
と言っていたのです。そんなに多くの国民を犠牲にしてまで、国を守る意味がどこにあるのでしょう?「中華人民共和国」と言う国名は形式だけで、とても「人民共和国」とは思えません。

毛沢東も、スターリンに勝るとも劣らないような冷酷な人物だったようです。
自分の野望の為には、数多くの人民の犠牲を全く厭わない人物だったようです。
マッカーサーやアイゼンハワー、毛沢東やスターリン、金日成、李承晩 のような、大きな権力を握った指導的立場にあった人物の野望によって、非常に多くの人々が戦争に駆り出され、死んで行ったのです。その指導者達は「人民の為」などと言ってはいますが、個人的な野望の為に戦争をさせていたと思えます。
現在のウクライナ戦争にも通じます。

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