金融業界関係者の思考回路
先日その銀行の新しい担当者という方からのご挨拶と、運用に詳しい方が来るので、ご提案もしたいから来行しませんか?と言う連絡がありました。
資金運用に頭を費やすよりも、作物を作って食糧を少しでも多く自給することの方が、サバイバルでは大切だと考えていますので、興味がないと一旦断ったのですが、新人のノルマでもあるのか、何度か頼まれました。物価高騰でお金の価値の下がっている現在、銀行にお金を放置してても、価値は下がる一方だから、どんな提案をするのか一応聞いてみるのも悪くないと思い、全く期待はしていませんでしたが、丁度近くに出かける用事もあったので、冷やかし半分で短時間だけその銀行に顔を出す約束をしました。
当日、案の定、新しい担当者と、その銀行と関連の証券会社の方が来て、金融商品の購入を奨めてきました。無理に薦める訳ではなく、色々リスクにも言及して、できれば少額から検討して欲しい・・みたいな感じで、特に嫌な感じはしませんでしたので、淡々と話を聞きました。
そして、もう用事があるから、切り上げる前にと、一つ質問させていただきました。
「これから、世界同時恐慌が来ると予測されていますが、どのようにお考えですか?」

証券会社から来た彼は、ウクライナ戦争やコロナ禍のことから、バイデンが金利を上げないとか下げないとか、新たな日銀総裁がゼロ金利政策を続行するとかしないとか、諸々話して、(失礼ながら、あまり覚えていません。)結論として
「世界同時恐慌の心配はないだろうと見ている・・・」と答えました。
その話を聞いて、証券会社などの金融業者の方々の予測の大きな欠点がはっきりと見えた気がしました。彼に対するネガティブな感情はありませんでしたし、彼は彼なりに、限られた枠内で研究しているのだろうと思いました。そう、「限られた枠の中」すなわち、その研究方法が、社会の経済動向であったり、日米の政府や、経済界の方々の思惑であったりでした。つまり、これからどう動くかに関する読み、予測が、国、財界、産業界の人々の動向、思惑から判断しているのです。それは彼らにとって、当然のことなのでしょう。おそらく、世界中の金融業者の方々の多くは、このような思惑の読み合いで動いているのでしょう。

20世紀までは、それで通用する部分も大きかったのかと思われます。しかし、これからはどうでしょう?地球の成長の限界の視点がありません。地球の資源や汚染物質のシンクが、成長の限界に達しつつあるという認識が非常に不足しているという致命的欠陥があると感じました。
「成長の限界」シリーズの、「限界を超えて」のカバーの裏に書かれていた未来予測みたいなことは、金融業の方々は考慮しないようです。すなわち、
「現在のような傾向が不変のまま続けば、今後100年のうちに地球上での成長は限界に達する。その結果、最も起こる見込みの強い結末は、人口と工業力の突然の、制御不可能な減衰である」
という予測です。
私はこの予測はかなり妥当だと考えています。この本が出版されたのは1992年ですが、この時から現在まで、当時の状況が不変のまま続いた・・というよりも、もっと酷くなっているでしょう。地球上にはもう、開発の余地のあるフロンティアはあまり残っていません。(宇宙が無限のフロンティアだと考える人々は軽薄過ぎます。)すなわち、経済もゼロサムゲーム化しつつあります。実体経済ではないマネーゲームが流行っているのも、成長の限界に達して、バーチャルなマネーゲーム等をせざるを得なくなっているからかも知れません。成長の限界を考慮しない金融業者の方々の未来予測は、短期では当たったとしても、かなり長いスパンではほとんど当てにならないでしょう。
私は、経済動向にはかなり疎いほうですが、かと言って、経済アナリスト達の長期予測は全く信頼しておりません。
成長の限界を考慮しない金融業者の方々が勧める成長産業と言う名のゼロサムゲーム、もしくはマイナスサムゲームに耽っている間に、現代文明は終焉を迎えそうです。勿論その前に、前兆として世界同時恐慌がやってくるんじゃ無いでしょうか?
証券会社、金融業者の方々が勧める投資は、社会全体から見れば、来るべき世界同時不況を先延ばしする努力のようであり、逆に危機を肥大化させて、ハードランディングの地盤を固めて、ランディングをより困難にしているように思えます。



にほんブログ村
- 関連記事
-
-
金融業界関係者の思考回路 2023/03/07
-
贅沢は敵か? 2023/02/05
-
欲しがりましょう、産めよ殖せよ 2023/01/23
-
世界同時不況の根本原因 2023/01/03
-
歴史の終わり(と最後の人間) 2022/08/19
-
西洋文明の終わり 2022/07/29
-
成長しないと日本は破綻? 2022/07/19
-
「失われた30年」という発想 2022/07/17
-
“D”は要らない 2022/06/29
-