久々にF1 品種を蒔いてみたが・・
その後、採種して蒔いても同じ品種が出来ないF1品種は蒔かない主義にしていました。
最近、ミニトマトとスイカで、美味しいから苗を作って欲しいという品種のリクエストが、親しくしている知人と家族からありました。それはF1 品種でしたので、一寸躊躇しましたが、試しに久々に蒔いてみる事にしました。
流行りの美味しいというF1 品種の種は高く、スイカもトマトもたった8粒しか入っていない一袋で550円でした。まあ、F1 種を作るのは手間暇がかかるし、大量に安くは売りたく無いのも理解は出来ます。しかし、種本来の価値から言えば、翌年もそのまた翌年も・・・子孫を繋いでいく、採種できる固定種の方が高くて然るべきでしょう。
最近のお菓子など、材料費高騰で、袋の中身が少なくなって、袋が空いて勿体無いという話がありますが、F1種の袋はその比ではありません。1cm四方もあれば十分な量の種が、同一規格の10cm×15cmの袋に入っているのです。必要な大きさの150倍以上の袋に入っている計算になります。

左:一般的な種販売用の袋:10cm×15cm で売られていましたが・・
右:その袋の中に入っていた小さなビニール袋に入れられたF1の種9粒
小さなビニル袋でも、ほとんど何も入っていないくらいスカスカで大き過ぎます。
まあ、それはさておき一般に、ミニトマトの種だからといって、大玉のトマトよりも種が小さいとは限りません。購入したF1スイカの種の大きさは、固定種と変わらない一般的なスイカの種の大きさでした。しかし、購入したF1 ミニトマトの種の大きさには驚きました。何と我が家で毎年採っている固定種ミニトマトの種や、以前に購入したF1のアイコの種と比べて遥かに小さかったのです。
我が家で採種している種で一番小さいものは、食用鬼灯の種ですが、それと比べても、数分の一の大きさでした。
本当に吹けば飛ぶような小ささで、ピンセットでも掴みにくい感じで、袋の中から慎重に取り出しました。中の小さなビニール袋から出そうとしても、静電気で帯電してビニール袋に張り付いていました。種は表記されていた8粒よりも一粒多く、9粒入っていましたが、慎重に出したのにも関わらず、袋から出すときに1粒紛失してしまいました。

左:一番小さな種は購入したF1ミニトマト
中:私が採種している中で一番小さな固定種、食用鬼灯
右:もう10年以上前から採種して繋いでいる固定種、ステラミニトマト
このトマトの種は、金や宝石よりも高いんじゃ無いかと計算してみました。最近値上がりが大きいという、金の値段は1g 9000円弱でした。 ネットにトマトの種は1000粒で約3gとありました。私の買ったF1トマトの種もその重さだとしても1粒70円として
1000粒/3g × 70円/粒 ≒ 23000円/g で、グラム当たりの金額は、金の3倍くらいになります。
しかし、写真を見て頂いてもお分かりの通り、このF1トマトの種は、普通の種の、長さで半分未満、体積なら十分の1レベルの大きさです。つまり、1g当たりの種の個数は、3000粒以上になるでしょうから、1g 20万円くらいにはなるでしょう。なんとグラムあたり、金の20倍以上の価格になりました。高過ぎです。文字通り、「金の種」ならん、「種のダイヤモンド」と言えるでしょう。砂金よりも遥かに軽く(水に浮くか浮かないくらいでしょう。)砂金よりもはるかに高いハイパー砂金といえるでしょう(笑)
私が採種している固定種の作物の種は、沢山採種するので、種を蒔く時も、1つのポットに複数蒔いて、間引きしていくのですが、F1 の種は、勿体無くて、1つのポットに1粒ずつ蒔きました。
F1の種を作るのは非常に面倒で、手間暇がかかり、コストも高くつきます。それに対し、固定種の種を自前で採るのも面倒ではありますが、F1 よりは遥かに楽だし、楽しみもあります。・・というか、F1 種を自前で作る人など滅多にいないでしょう。
以前は何もしなくても自然に出来た種を、わざわざ手間暇かけて作るF1種は、食料供給という意味で、とんでもない代物だと思います。
現在、殆どの野菜の種が、F1 になってしまいました。憂うべきことです。
世代を重ねるに従い、その土地に馴染んだ種になっていく、土地土地に合った遺伝子をずっと継承していく固定種は、昔のように、作物栽培の基本の種として戻すべきだと強く感じています。


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