ウクライナの二の舞

このウクライナ戦争に乗じて、日本政府は安保3文書を改定し、防衛費倍増計画を打ち出しました。「防衛能力」が「敵基地攻撃能力」から「反撃能力」に言い換えられ、事実上の先制攻撃の容認になりました。
台湾有事に関してネットを見ると、日本には防衛費の増額に賛成の人も結構いるようです。
「戦争は軍事バランスが崩れた時に起きるから、日本も(中国に対抗出来るほど)軍事費を増やさなければダメだ」
とか
「日本が平和憲法を維持して遵守しようとも、向こうが問答無用で攻めてきたら戦争になる。」
とか言う、ネトウヨみたいな輩がウヨウヨいます。 それらの意見にも一理ありますが、それは中国が、日本と戦争をして、占領したいと言う野望が強い場合の話です。その可能性は今のところほぼ無いでしょう(尖閣諸島は別です)。万が一、そのような可能性が出てきたとしても、外交努力で解決すべきでしょう。隣国中国とは仲良くするべきです。日本がアメリカの要請通りに防衛費を増やして、アメリカから武器を大量に仕入れて、アメリカの手下になっている方が、よっぽど日本が戦争に巻き込まれる可能性は高いでしょう。
ウクライナ戦争で、アメリカは武器は沢山支援するけれども、派兵はしない事が確認されました。当然でしょう。どの国も自国民に戦死者を出したくはありません。アメリカ国民に戦死者を出せば、アメリカ国内世論でも、反戦ムードが広がり、アメリカの政権も維持が難しくなるでしょう。派兵はしないけれど、自国の軍需産業に儲けさせるために、軍事支援はする・・というのがアメリカ・バイデン政権にとっては好都合であり、政権の戦略でしょう。
もし万が一、台湾有事が起こったとしても同じ事が言えるでしょう。日米安保条約には、アメリカの日本に対する「防衛義務:security commitment」が明記されていますが、それは必ずしも「日本に派兵し日本を守る」と言う意味ではありません。「戦闘以外の軍事的支援」、すなわちウクライナと同様に武器の支援などをするという事になるでしょう。
「アメリカは、ロシアがウクライナに攻め込んだときに直接関与しなかったというだけで、中国が台湾に攻め込んだときにどうなるかは分かりません。中国はロシアほどに核兵器を持っていないので直接参加する可能性はあります。」
なんて言っているしょうもないサイトもありました。中国は現状、ロシア、アメリカと比べて、核兵器の保有数が桁違いに少ないといっても優に100発以上は持っています。保有核兵器としては十分過ぎる数でしょう。これだけ多くの核兵器を持っている国どうしを、核兵器の保有数で優越を決めるなんてあまり意味がありません。台湾有事が起こったとしても、中国がアメリカに降伏することはないでしょう。そもそも、アメリカは台湾で、直接中国と戦争はしないでしょう。それはウクライナで示されています。
アメリカは、他の大多数の国同様、公式には台湾の部分の領土まで含めた「一つの中国:中華人民共和国」を認めています。台湾の「中華民国」は認めていません。だからアメリカにも台湾有事が起こった場合の、台湾派兵の大義はありません。直接的な米中戦争になれば、第3次世界大戦に拡大するかも知れないのです。よっぽどの事がない限り、そんなリスクを負う筈はありません。
アメリカが中国と戦争するとすれば、直接の戦争ではなく代理戦争でしょう。その有力な候補に日本を仕立てようとしているのです。それこそ日本は、危機感を煽られて(現在、煽られ中です。)、アメリカの命令的な要請に従って、先制攻撃させられるかも知れません。その可能性は決して無視できるほど低くはないでしょう。

ウクライナのゼレンスキー大統領も、長い月日をかけて、まんまとアメリカのバイデン等の口車に乗せられて、NATOに入ることを努力目標にしたり、NATOと大々的に軍事演習を行ったり、国境付近に兵器を配備したりして、結果としてロシアの狂犬、プーチンを挑発してしまい、ロシアに侵攻されました。しかし、アメリカは派兵はしてくれず、梯子を外された格好です。(アメリカが軍を派兵しなかったことは良かったと思っています。・・)同様に、台湾有事で日本が中国と戦争させられたとしても、アメリカは派兵をしないでしょう。戦場は台湾や日本になるのです。万が一アメリカが戦争に参加したら、日本にある米軍基地が真っ先に攻撃されるでしょう。中国が核兵器を使うまでもなく、海岸沿いにずらりと並んだ原発を攻撃されれば、日本は即降伏でしょう。(アメリカがなかなか降伏させてくれないでしょうが・・。)原発攻撃による放射能汚染で、在日米軍基地を使えなくもできるのです。日本の脆弱な原発を守り切るなんて不可能です。
日本が戦争に参加させられて、ウクライナの二の舞になるのは絶対に避けるべきです。その為には武力の強化よりも中立を保つ事でしょう。一般庶民は誰も戦争などしたくないのです。戦争に突入した時点で、その政権は失格です。
岸田首相はあろう事か、ウクライナを訪問して、「必勝しゃもじ」を贈呈して来ました。恥ずかし過ぎます。戦争の続行を煽っているようにさえ思えます。更に2月末に帰国した中国の前駐日大使からの恒例の首相に対する離任あいさつの申請を、岸田首相は断っていたとの事です。わざわざ中国との間で波風を立ててどうするのでしょう?この人は首相として失格です。今こそ外交で戦争を回避しなければならない時期なのに、この首相は戦争の方向に国を導こうとしています。(本人は保身に必死で自覚がないのでしょう。)さっさとまともな首相に交代しないと、戦争に突入してしまいそうな怖い状況です。

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