雑草の言葉

硬く厚い殻の種

2023/05/05
植物 14
本日の記事のハイライトは『不思議の国のアリス』にも出てきた、空を飛べずにヨタヨタ歩いていた鳥のドードーです。
不思議の国のアリスとドードー2白黒
   

 私が毎年採種して蒔いている種の中で一番硬い種はゴーヤでしょう。ゴーヤ以外のウリ科の種、例えばウリやスイカ(スイカの種もかなり硬いですね。)、カボチャ、キュウリなどは、そのまま蒔くか、蒔く前に数時間〜数日 水に浸して置いてから蒔くだけですが、ゴーヤは、カッター、ハサミ、ペンチ、爪切りなどで端を切ったり、殻に割れ目を付けたりして、その後水に浸したりして蒔いていました。
ゴーヤの種23年 その1
  2022年に採種したゴーヤの種
     今年蒔いて余った種


 数年前に、ペンチで二つに割るように割れ目を種の繋ぎ目のようなところにつけたときには、種の内部に泥水が流れ込んで、流石に種が腐ったのか、発芽しなかったので、それ以来、割れ目まで付けるのは止めました。
 最近はまた、あまり傷を付けずに水に浸してから蒔くようにしています。人間が力を貸さずに自力で発芽して欲しいからです。そういう種の遺伝子を引き継いでいって欲しいからです。
ゴーヤの種2種23年その2
  私が栽培している2種類のゴーヤの種

 ゴーヤは、発芽に際し、芽が自力で種の殻を破って出てくるのに一苦労するようですが、硬い殻の種が進化を勝ち抜いてきたという事なのでしょう。進化の過程でそうなってしまったのは何故でしょう?
ゴーヤの発芽23年その1
 硬い殻を破って発芽したゴーヤ。いつも種を蒔いてから1ヶ月以上かかる。
  地温が高くないと発芽しないのも一つの理由でしょうけれど・・

ゴーヤの発芽23年四月その2
  ↑時計回りに1時の位置から、段々と成長しています。
    時計回りに次の段階に進むのに数日掛かります。


 ゴーヤは実が熟して、そのまま地面に落ちた種の場合は、ある程度柔らかい発芽し易い殻の種の方が有利なのでしょうけれど、それでは遠くの場所まで運ばれません。何らかの原因でその場所がゴーヤの生育に不適当になってしまったら、そこのゴーヤは絶滅するやも知れません。

 熟していない緑色の苦いゴーヤは、動物が嫌いそうですが、ゴーヤも、熟すと黄色に変わって、苦くなく、甘みもあって生でも食べ易くなるのです。
黄色く熟したゴーヤカーテンのゴーヤ
  数年前の我が家のゴーヤカーテン
  ・・熟したゴーヤは黄色くなって苦くなくなるのです。

黄色く熟した収穫したゴーヤ


 恐らく、動物が食べても硬い種の中身はほとんど消化されずに、動物の消化管の中で、殻の表面だけがある程度消化されて、発芽し易くなった種が、動物の消化管の中で遠くまで運ばれるのでしょう。そして「肥料付き」でお尻の穴から外部に出されるのです。もしも殻がもろくて消化されてしまったら、種は発芽できません。
 そのような理由で、ゴーヤの種は殻が硬いものが遠くまで運ばれて生き残ってきたのでしょう。スイカの種など、硬い殻の種は、みんなそんな感じなのかも知れません。
 そして人間が栽培するようになってからは、動物に運ばれる必要は無くなった訳ですが、人間が種に傷を付けて蒔いてくれるので、そのまま硬さを維持しているのでしょう。人間が育てるようになってから、さらに硬く「進化」したのやも知れません。

 
 
 動物に消化されることを前提に、固く厚い殻の種であることで思い浮かぶのは、マダガスカル沖のモーリシャス島にある大木カルヴァリア(別名タンバラコク)です。カルヴァリアの種は、おそらくゴーヤの種よりも更に硬く厚く、不思議の国のアリスにも出てくる幻の鳥、ドードーが実を食べて、この厚く硬い種の殻をある程度まで消化して、肥料としての糞と共に排出していました。そんな過程を経て、カルヴァリアの種はやっと発芽してきたのです。カルヴァリアはドードーとの共生関係にあったのです(仮説)。
ドードーWIKI
  ドードー

 そのドードーは空も飛べず、警戒心も薄く、人間や、人間がモーリシャス島に持ち込んだ犬や豚、ネズミによって、雛や卵が捕食され、挙げ句の果ては、ヨーロッパ各地に連れて行かれて見せ物にされて絶滅しました。
 ・・すると、カルヴァリアの樹木も繁殖しなくなり、絶滅危惧種となりました。

不思議の国のアリスのドードー 
   『不思議の国のアリス』の中のドードー
    ドードーは架空の鳥ではなく、実際にいたのです。


生態系のバランスとは微妙なものです。
地球上の生物の大絶滅は今までに5回あったと研究されていますが、過去の4回の原因は、地球規模の寒冷化だったり、大規模な火山の爆発、巨大隕石(小惑星)の落下などが原因と考えられていますが、現在進行中の5回目の大量絶滅は、明らかに人間の活動が原因です。人間は生態系を破壊してきた罪な生き物です。 
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Comments 14

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青っチャン

ヘェ〜!

ドードーと言う鳥もカルバニアという樹木も初めて知りました.
まさに「ヘェ〜!」って感じです.
猛毒を持つ動植物,魚類,昆虫など人間にとって危険な生物は沢山生息していますが,この地球上で一番危険な生物は仰るとおり人間ですね.
人間は生物だけでなく地球をも破壊し続けていますよね.
あと千年持つかしら?

2023/05/05 (Fri) 19:00

guyver1092

レイシ

 子供の頃、レイシという植物を父が買い、育てて食べた記憶があります。ゴーヤーとそっくりでした。完熟させると種の周りが赤く甘く成った記憶があります。 

https://mame-column.com/food/goya-9

 上記のページによると、テレビドラマの前は、レイシと呼ばれていたようです。

 人類にとっての最悪の猛毒たる資本主義を捨てない限り、文明崩壊は避けられないと考えています。

2023/05/05 (Fri) 20:45
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: ヘェ〜!

 以前から、人間による動物の種の絶滅には危機感を持っていて、色々読んでいる中で「ドードー」という鳥の存在も知りました。カルバニアという樹木の事を知ったのはそれからかなり経った昨年です。
 現在の、人間による大絶滅は本当に酷いもので、地球規模の寒冷化などと比べると遥かに速いペースです。(流石に巨大隕石の落下ほど突然で急では無いでしょうが。
 人類の歴史が始まる以前は、生物種の絶滅は、何年かに1種のペース(100年に1種くらいとも言われています。)だったようですが、現在は毎日のように沢山の種が絶滅しています(1日100種くらいとも言われています。)
鳥類、哺乳類も沢山絶滅しています。主なところでも、ドードー、日本オオカミ、リョコウバト、川イルカ、トキ・・・次は人間かも知れません。

>あと千年持つかしら?

1000年どころか、下手すると100年持たないでしょう。21世紀を乗り切るのも困難かも・・。

2023/05/06 (Sat) 05:32

☘雑草Z☘

Re:レイシ

 確かに西日本、九州の方ではニガウリの事を「レイシ」っていうみたいですね。
東北地方では、近年までは、ニガウリはあまり流通していなくて食べなかったので(少なくとも私は20世紀にニガウリを食べた記憶はありません。)ご紹介のページにあったように沖縄の「ゴーヤ」という呼び方がスタンダードになったのでしょう。

 「西瓜」とかいて「スイカ」、「南瓜」で「カボチャ」、「胡瓜」で「キュウリ」と読むのだから
「苦瓜」で「ゴーヤ」と読めばいいと思いますが、何故か「苦瓜」だけは「ニガウリ」ですね。
歴史が浅いからでしょうか?

2023/05/06 (Sat) 05:56

たっきー

おはようございます

アサガオの種も硬いって言いますよね
苦瓜の種もそんなに硬いとは知りませんでした

聞いた話しですが、ウルシの木の種は、硬くて厚い蝋に覆われていて、発芽率がとても低いんだそうです、人工的に発芽率を上げるのに、硫酸を使って蝋の殻を溶かす作業が必要なんだそうです

2023/05/06 (Sat) 07:06

おから

おもしろいですね。
ゴーヤ、育てたことがありません。
黄色くなると、苦くなくなるんですね。初めて知りました。苦いゴーヤも好きですが、苦くないゴーヤも食べてみたいです。
人間は、生態系を破壊し、さらには、人間が人間をも破壊していると思います、現在進行形で。

2023/05/06 (Sat) 18:01
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: おはようございます

>ウルシの木の種は、硬くて厚い蝋に覆われていて、発芽率がとても低いんだそうです、人工的に発芽率を上げるのに、硫酸を使って蝋の殻を溶かす作業が必要なんだそうです

へえ〜っ、それは初耳です。面白いですね。ゴーヤよりも固くて厚い殻なのかも知れませんね?!カルヴァリアの種くらい硬いのかも知れませんね。!?
 でも、漆の実は動物もかぶれそうで、動物も食べないのではないでしょうか?
硫酸で溶かすって凄い話です。動物の胃液の代わりでしょうか?興味深い面白いお話有難う御座います。

2023/05/06 (Sat) 21:04
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: タイトルなし

>黄色くなると、苦くなくなるんですね。

緑の苦いゴーヤを買って来て置いて置いても、ある程度は追熟すると思いますが、ツルに付いたまま追熟させるといいです。
中の種の周りの寒天質も真っ赤になってグミの実のように美味いです。グミの実よりも甘いです。
https://zassou322006.blog.fc2.com/blog-entry-875.html

グミと言っても、果汁などをゼラチンで固めたお菓子のグミでは無くて、木になる『グミの実』です。
https://zassou322006.blog.fc2.com/blog-entry-986.html
渋味のある甘酸っぱさは堪らなく美味いです。

黄色くなったゴーヤは、あんまり甘くはありませんが、冷凍室で凍らせて、バナナと牛乳を混ぜてミキサーにかけて飲むゴーヤジュースは逸品です。毎年黄色くなったゴーヤの中の赤く熟した種を取って食べた後、冷凍庫に沢山保存して、夏〜秋、そして翌年の春〜夏にかけて飲んでいます。本当に美味い生ジュースです。

2023/05/06 (Sat) 21:27

おから

No title

ますます、追熟したゴーヤを食べてみたくなり、来年、ぜひ、挑戦したいと思います。
グミ、雑草Zさんのお庭のような大きなグミは、初めてみましたが、富山県の常願寺川の川沿いに、グミの木がたくさんあります。もっと小さくてまんまるのグミです。
10月頃とれます。
しぶいですが、それをグミ酒にすると、とっても美味しのです。
あと、グミジャムも作ります。一度似てから、濾して種をとり、砂糖を入れて煮ます。こちらも、美味しいです。
最近は行けてなかったので、ぜひ、今年は、グミつみにいきたいと思いましたよ❗️

2023/05/07 (Sun) 07:01
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: No title

 注意しなければならないのは、写真くらい黄色くなったゴーヤを、もっとツルにぶら下げたまま追熟しようとすると、そのうち(翌日くらいには)下の方が割れて、種もゴーヤの下部も地面に落ちてしまうことです。何度もやらかしました。この写真くらいに追熟すれば十分ですが、もっと追熟するにしても、収穫して皿に入れておいた方が種も実も飛び散りません。

>富山県の常願寺川の川沿いに、グミの木がたくさんあります。もっと小さくてまんまるのグミです。10月頃とれます。

それはもしかしたら、俵グミ(チャグミ)でしょうか?でも、10月ごろ採れると言うのは不思議です。私の記憶では、グミの実は、春〜夏にかけての初夏、6月、遅くとも7月に採れる記憶です。

 グミ酒はかなり美味そうです。早速今年作ってみようと思います。グミの渋さのある甘酸っぱさは、なんとも言えない美味さです。

2023/05/07 (Sun) 11:32

おから

No title

富山でとれるのは、アキグミです。

https://tatekuro.jp/enjoy/pointDetail.php?id=67
川の下流のほうまで、アキグミの木がたくさんあります。

秋になったら、また、つみに行ってみようと思います。秋になって、グミつみをしたら、また、ブログにアップしますね。

(変なところ、押したのか、なぜ非公開になったのか、わからず、すみません)

2023/05/07 (Sun) 14:06
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: No title

 「秋グミ」と言う種があるのですね!驚きです!沢山の木があるとはいいですね!
ご紹介のページの秋グミ写真を拡大してみたら、紛れもないグミでしたね。葉の形もグミですし、実は俵グミ(チャグミ)に似ています。
>富山県東部河川の特色の一つ
との事なので、他の地域にはあまり無いかもですね。
 この辺でもあるかも知れないので、秋になったら探してみようと思います。ご紹介のサイトには
>石ころだらけで乾燥しやすく養分が乏しい裸地になります。
とありますので、そう言う場所を探してみようと思いますが、見つから無さげな感じもします。

2023/05/08 (Mon) 07:05

イギリスとドードー

不思議の国のアリスに出てくる登場人物?はウサギ、ネズミなどの他に馴染みのないドードーがいましたね。
実際に生息していたとは知りませんでした。ドードー以外にはカルヴァリアの木の硬い種の消化作用を持つ動物もいないのでしょうね。

 >人間がモーリシャス島に持ち込んだ犬や豚、ネズミによって、雛や卵が捕食され、挙げ句の果ては、ヨーロッパ各地に連れて行かれて見せ物にされて絶滅しました。

ルイスキャロルがこの物語を書いた江戸時代の終わりごろモーリシャス島はイギリスの植民地だったのでしょうか?
現在も大国の同じような人間活動がされていますね。

2023/05/09 (Tue) 20:55
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: イギリスとドードー

 実は私も不思議の国のアリスは、読んだ事も、映画等で観た記憶も無いので、ストーリーは良く知りません。
ただ、記事にも載せた、子供にはちょっと不気味かも知れない挿し絵と言うか、イラストが好きなだけです。
 
 ドードーのことは、以前、人間によって絶滅させられた動物の事を調べている時に知りました。
ドードーに限らず、旅行バトやステラー海牛など、人間は酷いやり方で動物達を絶滅させてきました。

>ルイスキャロルがこの物語を書いた江戸時代の終わりごろモーリシャス島はイギリスの植民地だったのでしょうか?

そうですね。オランダ→フランス→イギリス と植民地にしてきたようです。
大航海時代のヨーロッパは、世界の数々の地域を植民地化するばかりか、動植物も絶滅させてきた歴史があります。酷いものです。

2023/05/10 (Wed) 06:19
☘雑草Z☘
Admin: ☘雑草Z☘
「経済成長」はその定義からも明らかなように実態は「経済膨張」。20世紀に巨大化したカルト、「経済成長信仰」と「科学技術信仰」とによって、飛行船地球号は破裂して墜落を始めるのも時間の問題。
あくせく働いて破局に向かって突き進むくらいなら猫のようにその日暮らしをする方がよっぽどいいではないですか。脱成長によってゆったり暮らすことができる社会の実現を!
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