原発廃棄物の盲点
原発の危険な廃棄物と言えば、放射性廃棄物が直ぐに思い浮かびますが、それ以外の廃棄物は特に問題視されて来ませんでした。反原発の人々も、放射性廃棄物の危険性しか取り上げて来ませんでした。
しかし、山田國廣氏によると、原発の核分裂で生成されるテルルTeのいくつかの安定同位体は、放射能としてのリスクはないけれど、化学毒としての毒性が極めて高いとの事です。テルルTe128の半減期を調べてみると、2.2×10^24年ですから、一般に、非常に長い半減期で知られるウランU238の半減期、45億年とも比較にならないほど長いので、放射線はほぼ出さず、放射能のリスクは考える必要がないでしょう。(こんなに長い半減期をよく計測できたものです。)
ダイオキシンやPCBのような化合物ではない単体元素の毒物、いわゆる有害金属と言えば、水銀Hg、ヒ素As、鉛Pb、カドミウムCd、スズSnなどがあります。これらの有毒金属に対して、テルルTeの毒性についてはあまり問題視されて来ませんでした。それは、テルルTeは自然界にはあまり多く存在しないからです。毒性から言えば、上に挙げた有毒金属に勝るとも劣らないそうです。青酸カリよりも毒性が強いとも言っておられました。3.11原発震災の際にトモダチ作戦に参加した空母、ロナルド・レーガンの乗組員達も、毒性テルルを「内部被ばく」し、発症して、いまだに後遺症に苦しめられています。提訴して裁判がなされています。

テルルTeだけでなく、ウランUなども放射性物質であるだけでなく化学毒であり、原発では、核分裂によって、放射性物質以外に、大量の化学毒が作られるのです。
原爆が投下された広島・長崎、ビキニ等の核実験場でも、チェルノブイリ等の原発事故でも、「目に見えず、においもしない」放射能の被害よりも、「五感で感知されていた毒物」テルルが健康被害の主因だったかも知れないのです。 そう言えば、トモダチ作戦の際のテルルの被ばく者にも、福島原発事故の時、比較的原発に近い所に住む人々にも「金属臭、金属味」がしたと言う証言が残っています。
原発を推進する側の学者やエンジニアも、テルルTeなどの化学毒の健康被害は知っていて、黙しているのでは無いでしょうか?
ダイオキシンやPCBのような化合物であれば、分解して無毒化する事も可能でしょうが、テルルTeのような有毒金属は元素ですから、化学分解は不可能です。・・分解しようと中性子とかを当てれば、核反応して、放射性元素になりますので、これまた厄介です。テルルTeは化合物も毒性はありますので、Teの毒性の消滅処理は、放射能の消滅処理と同様に、不可能でしょうし、出来たとしても逆効果でしょう。
原発内部では放射性廃棄物でなくとも危険な化学毒物であるTeなどが生成されながら発電しているのです。原発は、消滅不可能な毒物ばかり作り出す、とんでもない発電方式ということになりましょう。
原発で生成される化学毒物は、私も含め、多くの反原発の人々にとって、「盲点」だったと思われます。これからはこの点の議論も重要になるでしょう。 なお、山田國廣氏著の 『核分裂・毒物テルルの発見 原爆/核実験/原発被害者たちの証言から』
が今年発売されています。

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