雑草の言葉

NATOに加盟?

2023/07/03
戦争 4
日本とNATO〔北大西洋条約機構〕の関係が進展しています。ロシアによるウクライナ侵攻と言う事態を受けて、ロシアや中国の脅威が煽られ、「NATOの集団防衛に参加すべき」と言う世論も形成されているようです。

NATOのマーク

 NATO加盟国ではない日本の岸田首相が、昨年2022年に日本の首相として初めて、NATOの首脳会合に出席したのに続き、今年2023年も出席を予定しています。2024年には、NATOの連絡事務所も東京に開設する予定です。
 NATOとの緊密なパートナーシップによって「サイバー防衛、海洋安全保障、人道支援、災害救援、核不拡散、科学技術などの幅広い分野の協力が含まれる」と宣伝されれば、日本のNATO参加は好ましいように感じるかも知れません。
 NATOは「北大西洋条約機構」の名の通り、北大西洋の両岸のヨーロッパと北米の集団防衛機構です。日本は地理的に範囲外です。しかし、日本以外にも、オーストラリア、ニュージーランド、韓国がNATOの首脳会合に出席して、NATOとの関係を深めています。

NATO加盟国
      NATO加盟国 wikiより

 地理的な事は置いておいたとしても、NATOは、軍事同盟です。参加するためには交戦権を認めない憲法9条を改憲する必要が出てきます。これを機に「今こそチャンス」とばかりに、改憲の議論も進んでいます。しかしその結果、NATO加盟国が攻撃を受けた場合は、日本も派兵する事になるでしょう。実質の戦争参加になります。
(アメリカのバイデン大統領が支持者集会で暴露したように、)バイデンが岸田に、防衛費をNATO並みのGDPの2%にさせた事も、NATOに加盟させるための伏線かも知れません。(勿論、アメリカから兵器を高く買わせることが大きな目的でしょう。)
 ソビエト連邦が崩壊して冷戦が終了した時に NATOに対抗するワルシャワ条約機構は解散しました。その時点で存在意義のなくなったNATOも解散すべきではなかったでしょうか?ソ連(ロシア)も当然そうなることを期待したことでしょう。
 しかし、NATOは新たな存在意義をわざわざ探し、「新戦略概念」を策定し、脅威対象として周辺地域における紛争を挙げ、「域外地域における紛争予防および危機管理」という事に重点を移しました。
 ソ連の崩壊で東欧諸国が相次いでEU及び NATOに加盟したわけですから、ロシアも加盟させればよかったのかも知れません。プーチンもNATO加盟に前向きだったと言います。しかし、ロシアは結果として、NATOの仮想敵国のままでした。アメリカなどがそうさせたかったのではないでしょうか?アメリカは仮想敵国を作るのが大好きな国です。
NATOは冷戦の象徴的存在と言えるのではないでしょうか?

NATOラインの変遷
  NATOのラインがどんどん東側に勢力拡大している。 【東京新聞2022年2月22日】  

 現在「NATOに入らないとウクライナの二の舞になる」と言う恐怖が煽られています。確かにウクライナはNATOに加入していなかったから、ロシアに侵攻された事は否定できません。
 しかし、ウクライナがNATOに加入しそうだから、その前に軍事侵攻しよう・・・と言うプーチンの意向もあった事でしょう。そしてバイデンも、ウクライナがNATOに加入していないと言う理由で、派兵はせずに武器だけ支援するという、ある意味彼らにとって好都合の状況だったと思われます。【やはり軍需産業か?
 自分の野心の為にウクライナやロシアの国民を犠牲にするプーチンもバイデンも(ゼレンスキーも)酷いと思います。

 日本がNATOに加盟するには色々ハードルがあるのでしょうが、自分でしっかり考える事をせず、何のポリシーも持たない長いものに巻かれるだけの岸田文雄なら、バイデンの要請に従って、ホイホイとNATO加盟を進めそうです。そして入ることが実現しそうになった時が日本にとって危険でしょう。ロシアはウクライナで疲弊しているとしても、中国が、その時に日本を攻撃するやも知れません。ウクライナ侵攻時と似た状況という事です。
「日米安全保障条約」があるから大丈夫と考える日本人も多いようですが、それならNATOに加入する必要がないでしょう。しかし実際この条約は、「防衛義務を負う強いアメリカ軍を派兵して日本を守ってくれる」というわけにはいかないようです。日本で「防衛義務」と訳されているものは、アメリカでは「security commitment」と呼ばれ、日米での認識とは違うようです。 【日米安保条約の誤解


「NATOの中核要素である反ロシアと反中国を拡大するため、アジア太平洋地域にまでNATOを定着させようとする野心の表れだ。アジアへのNATOの進出は、この地域の軍事化と対立の増大につながる」
というロシア外務省の批判も、否定はできないように思えます。
NHK国際ニュースNEWSWEB2023年5月11日
 アメリカと中国の覇権争いで、一方的にアメリカを応援する・・というよりも、アメリカの忠犬で居続ける日本は、国民がアメリカ国民の代わりに戦争に参加させられる・・という事態になるやも知れません。そんな事態は避けるべきです。まだ日本はアメリカの属国状態を抜け出せませんから、その命令的要請を排除するのは難しいでしょう。しかし、これからは、中国とアメリカ双方に中立の立場をとったほうがいいのではないでしょうか?

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Comments 4

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青っチャン

戦前にまっしぐら

NATO東京連絡事務所開設予定は,殺傷武器輸出の窓口と言うことでしょうかね?
7月4日の東京新聞一面トップに「防衛装備移転三原則」の要件緩和を与党協議で解釈変更し,輸出を解禁する方向にとりまとめる予定と報じています.
NATO東京連絡事務所開設予定とリンクするようなニュースです.
いくら岸田首相がバイデンの後押しでNATO加盟を望んでも,加盟諸国が日本の加盟を承認するとは私は思えません.
NATOすなわち北大西洋周辺諸国の集団防衛の条約ですから,USAであるハワイ,グアムですら対象にに入らないそうです.
NATO加盟諸国が日本の戦争にロシア,中国を飛び越えて日本の防衛に駆けつけるとは考えられません.
NATO加盟をはやし立てたり,バイデンの言いなりに兵器爆買いしたり,殺傷武器輸出に踏み切ろうするのも憲法9条を変更するための外堀を埋める工作なのではないでしょうか?
そしてその後ろには戦争を出来る国にしたい輩がうごめいていると私は見ています.
数十年前,日本は敗戦から復興したと言う意味で「もはや戦後では無い」と言われました.
私は「もはや戦後では無い.戦前である」と5文字加えて警告したいと思います.

2023/07/04 (Tue) 10:52
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: 戦前にまっしぐら

>NATO東京連絡事務所開設予定は,殺傷武器輸出の窓口と言うことでしょうかね?

NATO東京連絡事務所と「防衛装備移転三原則」の要件緩和をリンクして考えたことは、なるほどと思いました。
これを機に日本も武器輸出を解禁して「死の商人」の仲間入りをしたいということでしょうか。とんでも無いことです。武器輸出で儲けたい企業とズブズブの与党ということですね。

>いくら岸田首相がバイデンの後押しでNATO加盟を望んでも,加盟諸国が日本の加盟を承認するとは私は思えません

そうかも知れません。ロシアや中国の東側への進出を牽制する狙いもあるのでしょうが、ヨーロッパの国々は極東地域へ派兵はしたくないでしょう。
 日本のNATO加盟なんて、ちょっと前までは思ってもみませんでした。NATOは冷戦の遺物と考えるべきでしょう。

>戦争を出来る国にしたい輩がうごめいている

自分達の利権の為に戦争をしたい連中は本当に酷いですね。そのくせ自らは最前線には行かない(最前線で戦いたいという狂気を抱いた指導者もいるようですが・・・)。
ロシアや中国が攻めて来ると煽って、軍事費を増やして軍備を拡大し、逆に他国を警戒させて軍拡競争をして・・・
戦争への道ですね。

>「もはや戦後では無い.戦前である」

この言葉を国民に広め、戒めにしたいものです。
戦争になれば、相手国の一般庶民も犠牲になるのです。

2023/07/05 (Wed) 07:19

guyver1092

アメリカの要求

 イランが湾岸戦争を起こした理由は、なにも富を生み出さない軍隊の軍事費が重荷となり、軍に仕事をさせなければ財政破綻してしまうので、軍隊にできる仕事をさせたという説を読んだことがあります。

 このままアメリカの言うなりに軍事費を増大させ続ければ、日本も侵略戦争をしなければ財政が立ち行かなくなるかもしれませんね。

2023/07/05 (Wed) 21:51
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: アメリカの要求

>イラクが湾岸戦争を起こした理由は、なにも富を生み出さない軍隊の軍事費が重荷となり、軍に仕事をさせなければ財政破綻してしまうので、軍隊にできる仕事をさせたという説

なるほど、これぞ不必要というよりも、やってはいけない仕事をやらせて「経済を停滞させない」という、資本主義の矛盾ですね。悪質なニューディール政策と言えるのではないでしょうか?

>アメリカの言うなりに軍事費を増大させ続ければ、日本も侵略戦争をしなければ財政が立ち行かなくなるかもしれませんね。

第二次世界大戦に突入した日本もそんな要素もあったでしょうし、アメリカ自体がまさにずっとそんな状態ですね。
兎も角、各国が「防衛」という名の下に、お互いに軍備拡大を続ければ。戦争する可能性は増えていくでしょうね。よくない状況です。

2023/07/06 (Thu) 19:58
☘雑草Z☘
Admin: ☘雑草Z☘
「経済成長」はその定義からも明らかなように実態は「経済膨張」。20世紀に巨大化したカルト、「経済成長信仰」と「科学技術信仰」とによって、飛行船地球号は破裂して墜落を始めるのも時間の問題。
あくせく働いて破局に向かって突き進むくらいなら猫のようにその日暮らしをする方がよっぽどいいではないですか。脱成長によってゆったり暮らすことができる社会の実現を!
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