すり替えばかりの汚染水放出問題
もし、日本が事故を起こしたのではなく、逆に中国や韓国が事故を起こして、トリチウム汚染水を放出すると言ったのであれば、日本政府を含む大多数の日本人は、放出に反対していたことでしょう。
「汚染水じゃなければ飲めるのか。」と言う放出反対派の見解に対して
『「飲めるかどうか」と「海に流して良いか」は別問題、論点のすり替え』と言っている「有識者」がいますが、では、プールの水や農業用水や工業用水に使えるか?と問われれば、どうでしょう?・・それらにすら使えないのですから、やはりかなり危険な「汚染水」と言えるでしょう。すり替えているのは原子力ムラに取り込まれた「有識者」と言う名の「御用学者」の面々ではないでしょうか?
なぜALPS処理水を海洋放出するのかの説明に政府や東電は
「ALPS処理水は敷地内のタンクに貯められてきましたが、タンクの数や敷地は膨大になる一方です。今後、福島第一原発の廃炉作業は、燃料デブリの取り出しなど、重要な作業段階に進んでいく予定で、これらの作業を安全かつ確実に進めていくためには、燃料デブリの一時保管設備や、作業に伴い発生する廃棄物の保管施設の建設のため、大きなスペースが必要となります。そのため、すでにタンクが建設されているスペースも含め、敷地を最大限有効活用していく必要があります。」
などと説明しています。


福島第一原発汚染水タンク と 能天気な復興庁が作成したトリチウムのゆるキャラ
こんなものに3億円?!?
この説明から、海洋放出は仕方ないと思うかもしれませんが、これまた議論のすり替えでしょう。
保管施設を広げれば、もっと汚染水を貯められると言うことの裏返しでしょう。
そして、この説明から、原発事故の後始末はまだまだ全然終わっていないと言う事が確認できます。それが大問題でしょう。「海洋放出」よりも前に、原発がどんなに危険で割の合わないものであるかを検証・確認し、脱原発を決めるのが先ではないでしょうか?
一方、復興庁のHPなどには
「デブリの冷却に使用された水と、敷地内に流入した雨水と地下水が放射性核種で汚染された。汚染水は今なお発生し続けているが、汚染されたエリアへの地下水の侵入を防ぐための地中への凍土壁の設置、建屋周辺の井戸からの地下水のくみ上げなどの対策によって、発生量は効果的に抑えられている。」
とあります。
(あまり信用できませんが)東電や政府の言うように、汚染水の発生量が効果的に抑えられているのであれば、トリチウムの半減期は約12年ですから、安全になるまで、タンクに保管できるでしょう。トリチウムが新たに発生しなければ、半減期の10倍の120年間保管すれば、トリチウムの量は1000分の1程度になるのです。(1/2の10乗)
実際、汚染水の発生は止まってはいなくてもかなり減っている事に間違いはないでしょう。(発生が減っていなければ大きな問題です。)海洋放出しなくても、保有トリチウムの量は、2022年にピークを超え、40年後には3分の1くらいに減ると試算されています。
【大量のトリチウム毒物の海洋放出を認めるな】
放射性廃棄物の管理は、100年どころでは済まされず、それよりも桁違いに大きい年月、千年、万年・・と必要なわけですから、100年も保管できないと言うことは、原発はやってはいけない事を証明しているようなものでしょう。放射性廃棄物は閉じ込めることが原則です。排出して拡散せざるを得ないと言うことは、原発の敗北を意味しているのです。
海洋放出は、東電の経済的負担を減らす事と、原発推進の方向に舵を切る事が目的でしょう。こんな酷い代物をまだ続けるとは狂気の沙汰です。海洋放出を認める前に、東電を破産させて、国営化するか、分割民営化しなければならなかった筈です。
トリチウム汚染水(他の放射性核種も含む)を放出する前に、このような過ちを2度と繰り返さないことを日本国民や世界中に謝罪して、日本が脱原発を宣言する事が先決でしょう。

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