雑草の言葉

石油代替エネルギ-システム

2007/01/05
CO2 7
CO2温暖化脅威説は本当か?-7  
地球温暖化は憂うべきことだろうか? - CO2温暖化脅威説の虚構」
         近藤邦明[著] 不知火書房
 - 考 -

 現在、有効な(工業的)エネルギ-は石油だけと近藤邦明氏は言っています。    
これから、石油枯渇の時代を迎えるにあたって、大切なことは代替エネルギ-を考えることと言われていますが、その方法があまりに出鱈目です。
 本来、エネルギー問題は環境問題の主要なテーマではありません。
 しかし、現在環境問題対策として、促進されている石油代替エネルギ-システムが、実は新たな環境問題を作り出しているのです
 
 15年ほど前、別冊宝島編集部編:地球環境・読本[JICC 出版局]という本を見つけ、本屋でぺらぺらめくったら凄い内容だったので、買って来て読みました。(今探しても、ちょっと見当たらないのですが・・その間1度引っ越しましたが、家にあることは確かだと思いますので、そのうち見つかるでしょう。;近藤邦明氏の上記の本の参考文献にも上がっているのを見つけました。)

 その本の内容は、原子力発電をはじめ、太陽光発電、風力発電の非効率性などが論じられ、その結果それをやることによってもっと石油消費が増えるというショッキングな内容でした。そして、この本が書かれた時点で、この本の内容は間違っていないと確信致しました。

 それから15年以上も経って、3枚羽の風力発電(私はこれを見る度に「あんなの作っただけの価値はない」って言ってました。)も、ソーラーパネルも増えています。ヨーロッパ諸国ではこれらの技術は積極的に開発され、石油エネルギーに代替されています。
 私は、疑いつつも、まさかヨーロッパ諸国がそんなインチキを続けはしないだろう、技術革新などで、エネルギー効率の問題も解決したのだろうか?と思っていました。
 
しかし、近藤氏の上記の本を見て唖然としました。15年前と状況はあまり変わっていないようです。いや、さらに新しく期待の燃料電池なども、同じ類いである事が述べられていてがっかり致しました。燃料電池も「水を電気分解して得た水素を燃やして発電する」に近い愚行がなされているらしいのです。

 簡単に説明いたします。
 エネルギ-システムは、そのシステムを作るときから稼働させて廃棄するまでにシステムに使われるエネルギー以上に(何倍も)エネルギーを発生させられなければ意味がありません。〔このときのエネルギー量の比を、〔エネルギー産出比〕といいます。すなわちエネルギー産出比が1を大きく超えないと、システムを利用する意味がありません。〕そして、(ほとんど)全ての石油代替エネルギーシステムのエネルギー産出比が1を大きく下回っているのです。だから、作れば作るほど、その分石油の消費量が増えるだけなのです。さらに同時にその他の鉱物資源も大量に消費され、新たな環境問題が起こるのです。原子力発電はその代表です。(原子力のエネルギー産出比は1を大きく上回るようにも計算出来ますが、それは廃棄物の処理を少なく見積もっているだけでしょう。
それに危険性が別格です。)

 個別のシステムについてエネルギー産出比の試算等を知りたい方は本書をお読み下さい。

 技術開発でどうにかなるか?という事に関しては、利用するエネルギーと捕捉手段が決まれば理想効率は決まるから、その理想効率までしか技術は進歩させられないわけです
 近藤氏は、
「全ての石油代替エネルギーシステムは、石油によるエネルギー供給システムの効率の悪いサブシステムにすぎず、石油の枯渇とともに消滅する」
「石油代替はありえない」
と言い切っています。
 私は、現在の石油代替エネルギーシステムは、近藤氏のおっしゃるように、さらに石油の消費を増やすだけであることには同意しますが、全てが可能性はないとは思いません。
近藤氏が「自己満足な小規模システム」(小規模発電の事をさしている。)と言っていた小規模システムに活路はあると思います。例えば、風車、水車、発電も、ダムではなくて、水流をそのまま利用した水車方式・・つまり、少人数で使うエネルギーを小規模に作る・・輸送ロスもほとんどありません。・・・この事に関しては以前よりずっとあたためて来た事ですので、改めていつかアップ致します。

 近藤邦明氏に、石油枯渇後のエネルギーをどうすべきとお考えか是非お聞きしたいところでもあります。

 ちなみに私は以上の事も考慮して、
最も有効で、環境破壊もほとんどない代替えエネルギ-システムの究極は、
光合成による炭水化物をエネルギー源とした
人力システム
であると
前々から申しているのです。↓
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Comments 7

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ゅか

私達が地球の為に何かできる事を考えなければ・・
と思い、クリック募金を毎日頑張っています。
クリック募金をみんなが知り、ネットをつけたら、募金するクセをみなさんがつけてくれればなぁと思い、
ネットの掲示板に呼びかけを手伝っています。
良かったら、こちらのHPでも宣伝してくれると嬉しいです。

http://www.dff.jp/
http://www.andativa.jp/eco/index.html

海外のクリック募金が沢山紹介されています。
http://thanks.7jp.net/bokin/


2007/01/05 (Fri) 12:58

SGW

 ピークオイル時代を迎えて、一般論としておおむねの代替エネルギーについてはそのとおりかと思いますが、EPRが良い自然エネルギーがない、というのは槌田教に侵されていると思います。

「風力発電機輸出国デンマークの経験」
http://www.janjanblog.jp/user/stopglobalwarming/stopglobalwarming/2314.html#more
というのも以前書きましたが、
 デンマークの風力発電の業界としては、大型風力のEPRとして80という数字を出しているわけで、それが1以下だという主張には果たしてまともな根拠はあるのでしょうか。

2007/01/05 (Fri) 23:47

雑草Z

EPR 80は眉唾っぽいですが、

 風力発電のEPRは、1を上回る可能性は大きいですね。少なくともデンマークが、補助金なしで(はじめはあった筈です)自立産業として成り立っているのなら、EPR(エネルギー収支比)は、1をずっと上回っている可能性は高いですね。
 個人的には、3枚羽の風力発電は無能だと思います。小さな螺旋状の風力発電のほうが効率いいと思います。
 ご紹介のページ、風力発電の誇大広告っぽい部分もありましたが、それとは別に最後の
『美しき水車小屋の発電(佐藤秀の徒然)』に賛成です。水車発電などの小規模発電のほうが有効で、環境負荷も少ないと思います。私も本文にも書いています。
EPRが良くても、大規模発電は、結局輸送ロスが大きいし、環境破壊も大きいと思います。
 

2007/01/06 (Sat) 23:56

TheorySurgery

慧眼の書

こんにちは。毎回コメントをもらってばかりで申し訳ない。ちょっと奇遇に感じたのでコメントさせてもらいます。実は私も「別冊宝島編集部編:地球環境・読本」を読んだことがあります。私の場合は第45刷で1996年のです。しかも手元にあります(^^)。版数からすると、かなり売れた本のようですね。

当時はまだ余り理解できていなかったのですが、振り返ってみると槌田敦さんや根本順吉さんの記事は少しも色あせてません。むしろ年を経たことによって輝きを増したといってもいいかもしれない。私はその後、槌田さんの本をフォローしていなかったので、最新の本を読まずににはいられなくなりました。

まだ手元には温暖化懐疑論の本がないので何を買ったらいいか少し迷っていますが、槌田さんの本なら10年たっても色あせないだろうから注文しようかと思います。それにしても今読み返すと、「地球環境・読本」は温暖化加速論(中村耕三)と懐疑派(根元順吉)が呉越同舟していたり玉石混合状態です。

1989年の発売日から時間がたってみて、誰の主張に理があったかは一目瞭然といったところでしょうか。今騒がれている温暖化論も時が判定を下すのでしょうが、なにせ100年も先のことです。これでは誰も責任をとらずにばっくれるのは目に見えています。100年とは言わず、10年、20年先の予測をして、外れたら責任を取るぐらいの気持ちで計算屋は挑んで欲しいですね。なにせ人類の未来を占うのですから。そもそも未来を予測する資格なんて誰にもないはずです。

とりあえず「地球環境・読本」を読み返してます。昔読んだことは全然あたまに入ってなかったけど、今でも通用する記事が多くてびっくりします。ひさびさに手にとって見てうならされることが多い本です。

2007/05/07 (Mon) 05:51

雑草Z

まだ見つけていません

 私が買った「別冊宝島編集部編:地球環境・読本」は、買った年代から想像するに、第1刷に近いものでしょう。まだ見つからないのが残念です。特に、槌田敦さんの記事は読み直したいものです。
 槌田敦さんは、20冊以上本を書いているようですが、その本は中々手に入りません。私が手に入れたのは、現在までのところ6冊で、昨日4冊目を読み終えました。全部読み終える前に次の槌田氏の本を手に入れていないと不安です(笑)私は現在槌田敦アディクションです。

 温暖化懐疑論の本なら、記事の中の
「地球温暖化は憂うべきことだろうか? - CO2温暖化脅威説の虚構」   近藤邦明[著]
 もおススメですが、専門的なことや技術的な記述も多く、読むのに時間が掛かります。
 それに比べ、槌田敦氏の「CO2温暖化説は間違っている」は読みやすくて1日で読めます。でも、槌田氏は自分を「懐疑派でなく否定派と言い切っています。そこが彼の凄いところです。

 槌田さんは色々な世の中の定説をずばずば大胆に否定していて、それがなるほど結構理に適っています。
 しかし、疑問に思う事もあります。
 例えば、熱素説でも熱を説明出来るとか・・・(統計力学の解釈の「分子1個あたりの直進の運動エネルギーの平均」と捉えるべきというか、それが事実でしょう)

 槌田敦は
  偉大なる物理学者、世界の救世主か? 
  似非物理学者、パラノイアか?

 両方の面を持っているのかも知れませんが、彼の説の一部が間違っているとしても、目から鱗の知識もてんこ盛りです。鋭く本質を突いた考察も多々あります。私は彼の著書の大ファンです。
 そのうち、このブログで、彼の特集を組みたいと考えています。本当はその前に彼にお会いしてお話したいと考えておりました。


 The Black Crowes が好きで興味があったので覗いた   TheorySurgeryさんのHPで疑似科学に目覚めました。
 世の中疑似科学で溢れていますね。その代表がCO2温暖化説でしょうか?
 おっしゃるように、CO2温暖化説者は、100年後とは言わず、10年、20年先の予測をして欲しいものです。どうせ彼らの大きな武器はコンピューターシミュレーションですから、100年後よりすぐ出来るでしょう。まあ、バタフライ効果で大して意味ないでしょうけど・・。 
 
 

 

 

2007/05/07 (Mon) 23:47

TheorySurgery

21世紀に向けた「地球環境・読本」の必要性

私は槌田さんの本質を突いた指摘に大いに納得していますから、私も遅まきながら槌田フォロアーになろうかと思います。これは蝦夷縞ふく朗さんとこの掲示板で近藤さんらの真摯な議論によって、その思いを強くしました。近藤さんたちと有意義な議論が出来たことに非常に感謝しています。

「地球環境・読本」の中の多くの記事は、本質的にはまったく色あせるところはありませんが、やはり時代の流れに適したものの必要性も感じています。

環境問題やその対策に対して欺瞞を感じている人は少なからずいるはずです。それらの声を集めて多くの人に問題提起するような雑誌が必要かもしれません。どこか気概のある出版社がまた「地球環境・読本」のような企画やあるいは特集を開いて、大いに今の環境対策の偽善について知らしめて欲しいと切に願います。多くの人が時代の流れに巻き込まれ自分を失っている中で、すがるものとなる正しい情報は絶対に必要なことだと思います。

槌田さんの例の本をアマゾンのレビューで見たら主流派によって酷評されていて少しびっくりしてしまいました。それでも、それらの酷評している書評に対して参考にならないという意見が多数あってまだ救われる思いがしました。中には本を読んでもいないのに酷評するものもいて、これは温暖化論が科学ではなく宗教やイデオロギーになってしまった現状をよくあらわしていると思いました。少し憤りも感じましたのでこれを買わずにはいられなくなりました。是非自分の目で確かめなければ収まりがつかなくなりました。

「CO2温暖化説は間違っている」は確かにタイトルが全否定なので、そのためにヒステリックな反発が起こっているのかもしれません。少し異常な感じも受けたあれらの書評も裏を返せば、それだけ主流派が脅威を感じてのことだったりするのだろうか。

私は今の温暖化対策の展望を知って腰が抜けそうなくらい憤りを感じています。代替エネルギーなどは、未だに主流となる電力にはなりえません。結果的に原発の増設だけが邁進されるのは目に見えて分かることです。いわば非現実的な代替エネルギー開発が、原子力産業の隠れ蓑として利用されている気配さえ感じています。原発増設の目くらましに利用される代替エネルギー開発に携わる研究者は、知らず知らずのうちに片棒を担がされていることに早く気づいて欲しいものです。

研究者は少しの可能性を広げようと日夜努力しますが、その善意が結果的にどう社会に及ぼすかまで考えて、ただ時流にのったテーマだという理由だけで惰性で研究を行って欲しくないですね。科学に価値判断はありませんが、アインシュタインでも自分の研究が世間に与える影響に責任を持ち積極的に発言を行っていきました。日本の科学者は押しなべておとなしく、お上に対する意識も非常に弱いものがあります。今こそ気骨のある学者の声を大にして、義となる主張を唱えて欲しいと感じています。義を見てせざるは勇なきなり。

2007/05/09 (Wed) 05:46

雑草Z

気骨のある学者の義となる主張

 おっしゃるように、
>気概のある出版社がまた「地球環境・読本」のような企画やあるいは特集を開いて、大いに今の環境対策の偽善について知らしめて欲しい
 ですね。

 槌田さんの「CO2温暖化説は間違っている」を酷評している人は、多いようで、じつは決まった特定の連中ですね。
彼らは、ただ、誹謗中傷するだけで、結構お門違いの事や、シミュレーションで押し通そうとしています。低レベルです。


 TheorySurgery さんのおっしゃるように、もし、CO2温暖化説が本当だとしても(CO2が温室効果ガスである事はその通りですが、主因であるとしても・)温暖化対策は、全く逆の方向です。本当に危機感をもったら、あんな対策をする筈がありません。持っていくところは、原発ですし・・・

本当に臭い言葉ですが・・
 おっしゃるように、今こそ正義感をもった気骨のある学者が必要ですね。    

2007/05/10 (Thu) 20:56
☘雑草Z☘
Admin: ☘雑草Z☘
「経済成長」はその定義からも明らかなように実態は「経済膨張」。20世紀に巨大化したカルト、「経済成長信仰」と「科学技術信仰」とによって、飛行船地球号は破裂して墜落を始めるのも時間の問題。
あくせく働いて破局に向かって突き進むくらいなら猫のようにその日暮らしをする方がよっぽどいいではないですか。脱成長によってゆったり暮らすことができる社会の実現を!
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