石油代替エネルギ-システム
「地球温暖化は憂うべきことだろうか? - CO2温暖化脅威説の虚構」
近藤邦明[著] 不知火書房 - 考 -
現在、有効な(工業的)エネルギ-は石油だけと近藤邦明氏は言っています。
これから、石油枯渇の時代を迎えるにあたって、大切なことは代替エネルギ-を考えることと言われていますが、その方法があまりに出鱈目です。
本来、エネルギー問題は環境問題の主要なテーマではありません。
しかし、現在環境問題対策として、促進されている石油代替エネルギ-システムが、実は新たな環境問題を作り出しているのです。
15年ほど前、別冊宝島編集部編:地球環境・読本[JICC 出版局]という本を見つけ、本屋でぺらぺらめくったら凄い内容だったので、買って来て読みました。(今探しても、ちょっと見当たらないのですが・・その間1度引っ越しましたが、家にあることは確かだと思いますので、そのうち見つかるでしょう。;近藤邦明氏の上記の本の参考文献にも上がっているのを見つけました。)
その本の内容は、原子力発電をはじめ、太陽光発電、風力発電の非効率性などが論じられ、その結果それをやることによってもっと石油消費が増えるというショッキングな内容でした。そして、この本が書かれた時点で、この本の内容は間違っていないと確信致しました。
それから15年以上も経って、3枚羽の風力発電(私はこれを見る度に「あんなの作っただけの価値はない」って言ってました。)も、ソーラーパネルも増えています。ヨーロッパ諸国ではこれらの技術は積極的に開発され、石油エネルギーに代替されています。
私は、疑いつつも、まさかヨーロッパ諸国がそんなインチキを続けはしないだろう、技術革新などで、エネルギー効率の問題も解決したのだろうか?と思っていました。
しかし、近藤氏の上記の本を見て唖然としました。15年前と状況はあまり変わっていないようです。いや、さらに新しく期待の燃料電池なども、同じ類いである事が述べられていてがっかり致しました。燃料電池も「水を電気分解して得た水素を燃やして発電する」に近い愚行がなされているらしいのです。
簡単に説明いたします。
エネルギ-システムは、そのシステムを作るときから稼働させて廃棄するまでにシステムに使われるエネルギー以上に(何倍も)エネルギーを発生させられなければ意味がありません。〔このときのエネルギー量の比を、〔エネルギー産出比〕といいます。すなわちエネルギー産出比が1を大きく超えないと、システムを利用する意味がありません。〕そして、(ほとんど)全ての石油代替エネルギーシステムのエネルギー産出比が1を大きく下回っているのです。だから、作れば作るほど、その分石油の消費量が増えるだけなのです。さらに同時にその他の鉱物資源も大量に消費され、新たな環境問題が起こるのです。原子力発電はその代表です。(原子力のエネルギー産出比は1を大きく上回るようにも計算出来ますが、それは廃棄物の処理を少なく見積もっているだけでしょう。
それに危険性が別格です。)
個別のシステムについてエネルギー産出比の試算等を知りたい方は本書をお読み下さい。
技術開発でどうにかなるか?という事に関しては、利用するエネルギーと捕捉手段が決まれば理想効率は決まるから、その理想効率までしか技術は進歩させられないわけです。
近藤氏は、
「全ての石油代替エネルギーシステムは、石油によるエネルギー供給システムの効率の悪いサブシステムにすぎず、石油の枯渇とともに消滅する」
「石油代替はありえない」
と言い切っています。
私は、現在の石油代替エネルギーシステムは、近藤氏のおっしゃるように、さらに石油の消費を増やすだけであることには同意しますが、全てが可能性はないとは思いません。
近藤氏が「自己満足な小規模システム」(小規模発電の事をさしている。)と言っていた小規模システムに活路はあると思います。例えば、風車、水車、発電も、ダムではなくて、水流をそのまま利用した水車方式・・つまり、少人数で使うエネルギーを小規模に作る・・輸送ロスもほとんどありません。・・・この事に関しては以前よりずっとあたためて来た事ですので、改めていつかアップ致します。
近藤邦明氏に、石油枯渇後のエネルギーをどうすべきとお考えか是非お聞きしたいところでもあります。
ちなみに私は以上の事も考慮して、
最も有効で、環境破壊もほとんどない代替えエネルギ-システムの究極は、
光合成による炭水化物をエネルギー源とした
人力システム
であると前々から申しているのです。↓
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