雑草の言葉

「地球沸騰化」と言って対策はそんなもの?

2023/09/05
環境 8
 世界気象機関(World Meteorological Organization: WMO)が、2023年7月は「観測史上最も暑い月」になったと発表し、今後5年のうち少なくとも1年で観測史上最高気温となる確率が98%・・・と予測しました。

前庭のクローバーも枯れてしまった

 それを受けて、国連の事務総長が、「地球は温暖化の時代を過ぎ沸騰化となった」と語ったそうです。そして、「人類が破壊を解き放ったという証拠はいたるところにあるが、それは絶望ではなく行動を引き起こすものでなくてはならない。最悪の事態はまだ食い止めることができる。」と語ったそうです。・・そこまではいいとしましょう。それに続けて「そのためには燃えるように暑い年を、燃えるような野心の年に変えなければいけない。気候変動対策を今すぐ加速させるのです」と述べたそうです。どういう「対策」をどういう「野心」で加速させると言っているのかと思いきや、続いて
”再生可能エネルギーへの移行や開発途上国への資金援助などの必要性を訴えた。”・・・との事です。
・・脱力です。その程度で解決すると考えているのでしょうか?。やらないよりは「まし」な程度か、場合によっては逆効果でしょう。そこまでの危機意識を持っているのであれば、先ずは即刻「石油の使用禁止」にすべきではないでしょうか?

 再生可能エネルギーのシステムを作る時には石油を使います。石油はエネルギー源として以外にプラスチックの原料でもあります。使い古されたプラスチックは、燃えるゴミとして燃やされれば熱もCO2も出します。再生資源として利用するにも熱を加える必要があります。
 愚かな日本政府は、原発の利用を進めようとしていますが、原発は熱源としては、火力発電を大きく上回りますし、原子力発電所やその燃料を作る(精錬し、濃縮する)過程で、大量の石油を使います。

 科学技術を全て否定する積もりはありませんが、世界で使うエネルギーの量を変えずに再生可能エネルギーに移行したとしても、減らせる使用エネルギーは、せいぜい数10%程度でしょう。桁違いには減らせません。これも場合によっては逆効果ですらあります。
 最も効果的な対処法は、エネルギーの使用量を桁違いに減らす事です。エントロピーの法則を出すまでもなく、エネルギーは最終的には熱エネルギーとなるのです。

 そしてそのためには経済を縮小する事です。
 そんなことが可能か?・・物理的には可能です。非常に簡単な事です。
「人間は便利なことを一度覚えたら、元には戻れない」なんて言ってるようでは、ダメでしょう。

Hindenburg 墜落カラー バベルの塔2

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Comments 8

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爽風上々

グテーレス

口先だけの言葉のテクニックで国連事務総長まで昇りつめたグテーレスですが、沸騰化というこの表現を思いついた時には自分でもやったと思ったことでしょう。
初めて聞いた時は何だこりゃと思いましたが、やはりそれに飛びつく連中が後を絶ちません。

沸騰化という割にはその対策がこれだけかよと言う気持ちは同じですが、それはグテーレスだけではなく他の多くの人々も同様です。
口先では大変と言いながら、やることは何もなく、再生エネルギーへの転換とEV導入を急ぐというだけです。
本当に地球が引っくり返るほどの事態だと思うなら、明日からと言わず今日からエネルギー使用を急減させなければならないのですが、それを実行しようという人間はゼロとは言わないもののほとんど居ません。

エネルギー使用削減については私も何度も書いていますが、半減でも簡単な話ではなく社会構造の激変が必要です。
まして、10分の1、100分の1を目指すということは社会すべてを変える覚悟が必要ですが、そういったことには全く思考を向けず今の社会や生活はそのまま、気候変動だけを収めようなどと言ってもそれは無理。
(なお、化石燃料使用削減で気候変動が止まるとは夢にも思っていませんが)

2023/09/06 (Wed) 08:23
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: グテーレス

グレーテスについてはほとんど何も知りませんでしたが、

>口先だけの言葉のテクニックで国連事務総長まで昇りつめたグテーレス

と言われればなるほどと思えます。そういう過去があるのですね?

>本当に地球が引っくり返るほどの事態だと思うなら、明日からと言わず今日からエネルギー使用を急減させなければならないのですが、

おっしゃる通りです。グレーテスがあれだけの事を言って、

>再生エネルギーへの転換とEV導入を急ぐというだけ

であるのならば、グレーテスは本気で危機とは思っていないか、真性のお馬鹿でしょう。さて、どっちでしょうか?

>それを実行しようという人間はゼロとは言わないもののほとんど居ません。

私は地球環境問題で最も深刻なのが温暖化問題かどうかは疑問ですが、兎も角、地球の環境には深刻な危機感をかなり抱いております。
他の環境問題を解決するにしても、エネルギーや他の資源の消費量を桁違いに減らして、桁違いに経済縮小するしかないと考えております。

ところで
>なお、化石燃料使用削減で気候変動が止まるとは夢にも思っていませんが

とはどのような意味でしょうか? 二酸化炭素は温暖化の主因では無いとしても、温室効果ガスであることに間違いはありません。
①今使用削減しても、トリガーを超えてしまったので、大気中の二酸化炭素がかなり減らないとダメという意味でしょうか?
②温室効果ガスとしてのC02の温室効果はたかが知れていて、減らしたところで大した効果がないということでしょうか?
③地球温暖化は温室効果ガス以外の要因が大きいということでしょうか?
④もっと長期で見ると地球は温暖化しているわけではなく、温暖化は大して問題ではないということでしょうか?
⑤その他他の理由でしょうか?
教えて下さいませんか?

2023/09/06 (Wed) 22:09

爽風上々

事務総長の過去

グテーレス事務総長がこれまでどのようなことをしてきたか、知っているわけではありません。
ただ国連というものの中でのし上がってきたということから類推しただけです。
もし違っていたらゴメンナサイ。

さて地球温暖化についてはもちろん二酸化炭素の影響もあるのでしょうが、それだけで話が終わるほど単純なものであるわけもありません。
いろいろな要素が重なり合って起きているのでしょう。
そんな中で、現在すぐに化石燃料を完全に使用ストップしたとしても二酸化炭素の増加が止まるだけでありもしも気候変動がその影響だけだとしてもそれが止まるはずもありません。
もしも大気中の二酸化炭素を劇的に減らす方法を行なえば止まるのかもしれませんが、そんなことは夢物語です。
しかも「化石燃料使用ストップ」ですらなく「使用削減」程度では何の効果もないことは明らかでしょう。

なお、「超長期的に」見れば地球は徐々に寒冷化するはずです。
地球内部には誕生時からの熱量がまだ存在しますが、それも徐々に噴火などで拡散していきます。
ただし生物というものが地球誕生の直後とも言える時期に発生し酸素や二酸化炭素を放出してしまったので変動が大きくなりました。
すでに最低2回の全球凍結という事態とそこからの回復ということを果たしていますが、だからと言って地球全体が冷えているのか温まっているのかとは関係がないことです。
そして「さらに超長期的」にみれば地球自体の寒冷化などは吹き飛ばすように太陽の最後の爆発で太陽系を巻き込んでおしまいとなるでしょう。
ただしまだ何十億年も先の話ですが。

2023/09/07 (Thu) 05:55
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: 事務総長の過去

>国連というものの中でのし上がってきたということから類推しただけです。

どんな組織でも、のしあがった人は、他の人よりも能力があったとしても、それは他の人に抜きん出る能力(蹴落とす能力?)であって、社会をいい方向に導く能力とは別ですね。現在の国連は、大国主義ですし、特に欧米の経済の為に働いている側面は否定できません。
グレーテスが口先だけの言葉のテクニックで国連事務総長まで昇りつめたかどうかは分かりませんが、今回の発言を見ると脱力です。

 それでも、グレーテスをシニカルに批判するばかりではなんの解決にもなりません。
 化石燃料使用削減で気候変動が止まらなくても、少しでも気温の上昇を緩和するのであれば、やる意味は大いにありますし、化石燃料使用削減は、それ以外の多くの環境問題の解決に繋がると思いますが、爽風上々さんのスタンスはどんなものでしょう?

 私は記事にも書きました通り、ここのサイトの主題でもある、脱経済成長から経済縮小しなければ破局だと考えています。勿論、エネルギー消費の桁違いの縮小も必要です。「CO2削減」とばかり言うと、CCS(二酸化炭素の回収・地下貯留)のような明かに逆効果の狂った対策をしますからね。「再生可能エネルギーシステム」もコスト(金額的な「コスト」ばかりではなく「環境負荷」と言う意味の「コスト」も含めて)を要します。

爽風上々さんが、今回のコメントの後半に「超長期的に」地球の傾向を書かれた意図が分かりません。お分かりと思われますが、私が
>④もっと長期で見ると
と書いたのは、数十年のスパンの話です。現在の逼迫した気候変動の危機の話に数万年以上先の話を持ってきても意味はないですね。
 以前に読んだ他のサイトの記事を思い出しました。
その方は、「数億年後に太陽が爆発して地球も飲み込まれるから、それまでに人類は宇宙に脱出しなければならないので、原子力を用いた宇宙開発は必要だ」のような事を書いていました。彼だけでなく、世の中には、そんなことを本気で考えている狂った連中が沢山いる様です。
 現在そんなことをしたら、地球の破局を早めるだけでしょう。温暖化だけではなく、今世紀中に差し迫った環境問題が多々あるにもかかわらず、「数億年後の為の技術開発」を今からする必要は全くないでしょう。第一その時代まで人類が生き残る可能性はほとんど無いでしょうし、もし万が一生き残ったとしても今よりも遥かに発達したであろう遥か遠い未来の科学技術で解決すればいいのです。
 遠い先のことまで考えることは必要ですが、ネイティブアメリカンの「7代後の子孫のこと」で十分でしょう。1万年以上先に憂慮される危機を考慮している余裕など全くない筈です。

2023/09/07 (Thu) 10:22

爽風上々

環境問題

現在の環境問題の解決策というものが下手をするとエネルギー浪費になりかねないということから、それを第一に考えることは危ういと思います。
例えば海洋汚染プラスチックの回収に大規模な装置を動かすといったことが逆に働くといったイメージです。

化石燃料使用削減が環境問題解決につながるかということですが、多くの点ではそうでしょう。
ただし化石燃料削減をなすために何をするかによって大きく変わります。
今のような抜け穴だらけの脱炭素化技術に変換などといっているとかえって環境問題は広がる可能性もあります。
風力発電の弊害、太陽光発電が多くの自然林を破壊し水害の危険を増やすこと、EV車のためのレアメタル増産で採掘地が大きく環境破壊されていることなど、すでに多数の例が発生しています。
単に「化石燃料削減」に止まるのではなく「エネルギー使用削減」を求めなければなりません。

環境問題といってもさまざまな様態があります。
有害物の排出(水銀やカドミウムなど)、分解可能だが数量が多すぎて処理できないもの、分解が不可能なために環境にたまるもの(プラスチック)といったものの環境中での蓄積もそうです。
また、人間生活の安全や利便を守るために行われる、河川の改修、用水路のコンクリ化などは有害とは言えなくても水系生物の絶滅につながっています。
これに関わる人間の行為はエネルギー使用と深く関わっており、エネルギー使用を削減していけば害も減っていくでしょうが、すべてではありません。
やはりある程度は残るでしょう。
化石燃料を使っていなかった時代にも環境破壊はあったということを考えればそうなります。

なお、「時間の見方」については、もっとも重要なのはここ10年単位でしょうが、その単位を自由に切り替えて見方を変えていくということは必要でしょう。
地球の歴史を見ていくには億年単位が必要ですし、生命の変遷でもそうです。
人類の歴史に限れば10万年単位、地質時代の変遷では100万年単位。
地震や火山噴火を考える上でも1万年から10万年を考えなければなりません。
1000年すら考えなかったのが東電の首脳でした。
それぞれの問題に適した時間軸のスケールを考える必要があります。

2023/09/08 (Fri) 08:05
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: 環境問題

これまでのやりとりから、

>単に「化石燃料削減」に止まるのではなく「エネルギー使用削減」を求めなければなりません。
(加えて「(地下)資源の使用削減」もですね。)
その部分は共通認識であることはお互い百も承知です。

記事本文にも先のコメントにも書いた通り、当方の主張は、脱経済成長で縮小経済です。現在、生き残る道はそれしか無いと考えております。
化石燃料使用削減は、単純にそれだけであって、その分の代替を求めるから対策が胡散臭くなるのです。

>1000年すら考えなかったのが東電の首脳でした。

確かに放射性廃棄物の事は、1000年をずっと上回るスパンで考えなければなりません。そこはおっしゃる通りです。
しかし、現在の地球温暖化が人的要因が大きいとして(大きいでしょう)その解決策を1万年以上先の地球寒冷化、さらには1億年以上先の太陽の爆発崩壊まで考慮する猶予も必要も無いと考えます。そもそもそれらの説も現在は定説とされていますが、眉唾かも知れません。太陽はヘリウムフラッシュの後白色矮星になるのはかなり確実なのでしょうけれど、その時間的定量はアバウト過ぎます。というか、人類の歴史と比べれば、「永遠の先」と考えていいでしょう。
また脱線してしまいましたが、
兎も角、現在の科学技術では解決にならないので、温暖化も他の環境問題も縮小から考えるべきでしょう。「降りること」を早急に議論すべき時代です。

2023/09/08 (Fri) 21:58

guyver1092

以前に移に言った皮肉

 雑草の言葉でも言ったことがありますし、知人等にも言った皮肉兼、温暖化対策論者の矛盾そのものの発言を国連事務総長がしたようですね。
 技術革新がどれほどされているかの全容は知りませんが、再生可能エネルギーへの移行や開発途上国への資金援助は、費用が発生する限り二酸化炭素の排出は増えるしかありません。二酸化炭素増加政策を進める者が、「二酸化炭素地球温暖化」と言っても詐欺トークとしか聞こえず、本音は、これらの対策による経済成長なのでしょう。

 例えば、太陽光パネルは製造時に二酸化炭素を出しますが、寿命中に製造時以上の電力を作れば(普通に火力発電した以上の)元は取れるということになりますが、言い換えれば、初年度は普通の火力発電で出る太陽光パネルの寿命分ほどの二酸化炭素を排出するということですよね。

 本当に二酸化炭素温暖化による人類の危機と主張するなら、絶対に出てこない主張ですね。おっしゃるような経済縮小が唯一の正解と考えます。 

2023/09/09 (Sat) 21:58
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: 以前に移に言った皮肉

そうですね。この皮肉はguyver1092さん一流の得意とするところの皮肉です。
国連事務総長は、
>温暖化対策論者の矛盾そのものの発言
とは全く気が付いかずに、「名言」だと思っているかも知れません。
開発途上国への資金援助に関しては、記事本文では触れませんでしたが、
>費用が発生する限り二酸化炭素の排出は増えるしかありません。
こちらの方が遥かに本質を突いた「名言」です。
開発途上国に援助した資金で、コストのかかる環境技術をて依拠すると言う事でしょう。「先進国」の企業の儲けに還元されることになります。「コスト」は金銭的な事ばかりではなく、「環境破壊」も含まれることになるでしょう。
>寿命中に製造時以上の電力を作れば(普通に火力発電した以上の)元は取れるということ
それが目的で「エコ替え」が行われるわけですが、EPTの信頼性さえも低いと思われます。あくまで机上の計算でしょう。
仰るように待機中のCO2は増える一方です。
太陽光発電のEPTは産総研からはかなりいい値が示されていますが、眉唾かと思われます。
https://unit.aist.go.jp/rpd-envene/PV/ja/about_pv/e_source/RE-energypayback.html

2023/09/10 (Sun) 09:10
☘雑草Z☘
Admin: ☘雑草Z☘
「経済成長」はその定義からも明らかなように実態は「経済膨張」。20世紀に巨大化したカルト、「経済成長信仰」と「科学技術信仰」とによって、飛行船地球号は破裂して墜落を始めるのも時間の問題。
あくせく働いて破局に向かって突き進むくらいなら猫のようにその日暮らしをする方がよっぽどいいではないですか。脱成長によってゆったり暮らすことができる社会の実現を!
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