CCSと地震の因果関係
その圧力は、100~200気圧と言いますから、とんでもない圧力ですが、このくらい高い圧力でなければ地層に圧入などできないのでしょう。

資源エネルギー庁のHPより
でもそんなに高圧で地層に気体(や液体)を大量に圧入すれば、元々安定していた地層であったとしても不安定になり、CO2が漏れ出してきたり、地割れや隆起、土砂崩れなどを起こしそうだと、素人でも危惧するのでは無いでしょうか?
実際に、一部の地震学者からは、地震を引き起こす可能性があるという警鐘が鳴らされてきました。素人的には、地震を起こす程、大きな影響があるのか?と驚きましたが、非常に高い圧力で大量に圧入すれば無きにしも非ずです。
警鐘を鳴らしてきた地震学者の一人、日本の島村英紀氏は、3.11東日本大震災の後に発表された震度が9.0に変更されたことのトリックについても説明されています。2011年当時、講演を聞きに行きました。納得の内容で、かなり信頼のおける方だと言う印象を持ちました。【人の手が新たな地震を生み出しているのか 二酸化炭素を地下に圧入する実験】
そして、彼の懸念の通り、2018年9月6日に最大震度7の揺れを観測した北海道胆振〔いぶり〕東部地震が起こりました。この地震で、災害関連死を含めて44人が死亡、785人がけがをしました。大規模な土砂崩れが起こった吉野地区では、19人が亡くなりました。

この地震に関して「北海道胆振東部地震」で検索すると、Wikipediaを含め、CCSとの関係が一切書かれていないサイトが上位を占めます。
更に、「CCSと北海道胆振東部地震」で検索すると、【日本CCS調査株式会社という団体のHP】が真っ先にいくつか出てきて、
「CO2の圧入による影響が本地震の震源まで及んだとは考えられません。」
「両者に因果関係があるとは考えられないとの共通認識が委員の間で得られました。」
等と記されています。
根拠として
「苫小牧CCS実証試験では、主に苫小牧港の沖合約2kmの海底下の深さ約1,000mの萌別層にCO2を貯留して・・・(中略)・・・北海道胆振東部地震の震源は、貯留地点より水平距離で約31km離れた胆振地方中東部の深度37kmで発生しています。実際のCO2が圧入された地層と地震の震源が位置する地層とは連続性がなく、CO2の圧入による影響が本地震の震源まで及んだとは考えられません。」とあります。【平成30年北海道胆振東部地震は、CCSが原因ではないのでしょうか。】
確かにこの記述を読む限りにおいて、CCSが北海道胆振東部地震の直接の原因とは考えにくいでしょう。しかし、地震による被害の拡大に関しては、因果関係が無かったとは言えないのでは無いでしょうか?すなわち、CO2の圧入によって、CO2が地層の遠くまで拡散して、地盤が緩んで、土砂崩れを誘発した・・など、色々想定できるでしょう。その可能性は否定出来ないでしょう。
これだけ甚大な被害を出しておいて、「CCSが地震を誘発した」若しくは「地震による土砂崩れなどを誘発した可能性が高い」などと発表でもしたら、非常に大きな責任問題ですので、もし仮にCCSと地震(による土砂崩れなど)の因果関係が認められたとしても、経済産業省も日本CCS調査株式会社も因果関係は、認めないでしょう。
さらに「北海道胆振東部地震の原因はCCS」で検索してみると
【鳩山由紀夫氏「北海道の地震はCCSによる人災」はなぜデマなのか?】
という記事が見つかりました。そう言えば、「鳩山由紀夫氏が、地震に関するデマを流したと北海道警察により認定された」・・等と言うニュースを見た記憶がありました。当時はそれだけの簡単な報告のニュースでしたし、鳩山氏の弟も宇宙人とどうのこうの・・というとんでも無い発言をしていたので、「兄貴はまともだと思っていたのに同類か?」くらいしか思わず、それ以上の内容は調べませんでした。

でも今この記事を読むと、鳩山由紀夫氏は、
「地震は苫小牧での炭酸ガスの地中貯留実験CCSによるものではないか?」
というように、断言口調では無く疑問形のようですので、警察がデマ認定するのはやり過ぎです。
地層に高圧で気体や液体を送り込めば、地層に変化が現れ、地盤も脆くなる事は、普通に考えても当然の帰結です。それが地震にまで発展したかどうかは疑問ですが、否定はできないでしょう。
地震が起きないとされていたアメリカのオクラホマ州などでも、シェールガスの採掘の為に、液体に高圧をかけて地中に圧入してから地震が起こるようになったとの事ですし、地震が起きなかったオランダでも天然ガスの採取によって地震が起きて騒ぎになっています。
CCSはとんでもなく馬鹿げた方法であるだけでなく、危険な方法でもあるのです。
CCSがエネルギーの浪費であり、環境破壊・環境汚染を促進するとんでも技術である事は、先の記事【CCSとCCUS】2023/09/23 に書きました。
「小さな節約を徹底するよりは、新たな技術の登場が必要かもしれません。」
などとCCSを応援、後押しするサイトもありますが、逆でしょう。大量生産・大量消費で大量に廃棄物を出す現在のシステムこそが問題です。大気中のCO2を削減したいのであれば、放出してから回収して地層に埋めるなどという非能率的でエネルギー浪費的で環境破壊的な方法ではなく、初めから排出を抑えることの方が、遥かに簡単で効果的な方法でしょう。

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