雑草の言葉

シオニズムなんて認められない

2023/11/19
戦争 4
 シオニズム[Zionism]とは、昔(2000年くらい前の古代に)パレスチナの地を追われて各地に離散したユダヤ民族が、「シオンの丘へ帰ろう」と母国への帰還をめざして起こしたユダヤ人国家の建設運動です。19世紀末(1896年)から盛んになり、1948年、ユダヤ人国家イスラエルの建国に至りました。

「ユダヤ人国家」でシオニズム運動を本格的に始めたヘルツ
政治的シオニズム運動を本格的に始めたテオドール・ヘルツル(写真上)
  と、彼が書いて1896年に出版した『ユダヤ人国家』の表紙(写真下)


 しかし、自分達が2000年前に追い出された地に住む権利があるとして、そこに現在住んでいる人(パレスチナ人)を追い出して、国家を建設するなんてことが、現代社会において認められたら、世界は滅茶苦茶になってしまいます。
 古代に住んでいたと言う理由で、そこにユダヤ人が国家を建設する権利を認めるならば、現在イスラエルを最も支援しているアメリカは、NA(Native Americans:アメリカの先住民)が、アメリカ全土に国家を建設することを認めるべきでしょう。ヨーロッパ人がアメリカの先住民を追い出して土地を奪ってアメリカ合衆国を建国してから高々数百年の近代の出来事です。ユダヤ人がパレスチナの地を追われたとされる2000年ほど前と比べれば、遥かに最近の出来事と言えます。
 NAに限らず、先祖が昔住んでいた土地を占領することを当然の権利として認めるのであれば、世界中で、先住民に土地を返すべきでしょう。 

 駐日イスラエル大使館のHPにも
「ユダヤ民族は、イスラエルの地(エレツ・イスラエル)に誕生しました。この地で民族の長い歴史の重要な部分が刻まれたのであり、そのうちの2000年間は聖書に記録されています。」

などと書かれていますが、そんな事を根拠に、パレスチナ人を追い出して、ユダヤ人国家を作る権利などを認めたら、大変な紛争が起こるのは明らかです。事実パレスチナの地では、イスラエル建国の頃からずっと紛争が続いています。パレスチナ人が、ユダヤ人を追い出した訳でも迫害したのでも無いのにも関わらずです。
 そもそも、イスラエル政府の言うところの「イスラエルの地に誕生した聖書の民であるユダヤ人」は「スファラディ系ユダヤ人」と言われ、現在イスラエルにいるユダヤ人の数%にも満たない少数派です。イスラエルにいるユダヤ人の90%以上は、「アシュケナージ(ドイツ)系ユダヤ人」と言われる白人で、ヨーロッパなどにおいてユダヤ教徒になった人々で、パレスチナの地がルーツではありません。
 
「今のユダヤ人の大部分の祖先は、別の地域でユダヤ教に改宗した人々であり、古代ユダヤ人の子孫は寧ろパレスチナ人だ」という信憑性が高いと思われる説もあります。兎も角、イスラエル政府が掲げるシオニズム、「イスラエルの建国」にはまともな正当性も根拠も無いのです。

 本来、救世主の再来の前にユダヤ人国家が建設されてしまうのは聖書の予言に反しているそうです。だから信心深いユダヤ人は、イスラエルの建国に反対してきたそうです。「ユダヤ人国家など要らないからパレスチナ侵攻は止めろ!」とデモをしているアメリカ在住のユダヤ人もいるのです。

 イスラエルの建国を無理に押し進めた、権力を持ったシオニスト達は、何らかの自分達の利権のためにイスラエルを建設したと言う側面もかなりあるのではないでしょうか?迫害から逃れてイスラエルに移住してきた多くのユダヤ人は、腹黒いシオニスト達によって利用されているのかも知れません。ガザ地区との境界の高い壁のすぐ外側に住まわされて、今回のハマスの攻撃で犠牲になったイスラエル人(キブツの人々)もそんな被害者なのかも知れません。

 アメリカのバイデン大統領は、ユダヤ人でもないのに「自分はシオニストだ。」と発言しています。こんな発言をする人物がアメリカ大統領なのです。選挙の為にアメリカ在住の金持ちユダヤ人シオニスト達からの資金や支持を得るためなのでしょうけれど、とんでもない事です。アメリカにはユダヤ人が多く(イスラエル国内と同じくらいいるようです。)シオニストも沢山いるのです。彼らが中心となって、アメリカ国家としてイスラエルに資金や武器を提供してパレスチナを攻撃させているのですから、酷いものです。シオニズムは無茶苦茶です。

主たる参考文献:金融の仕組みは全部ロスチャイルドが作った。  阿部芳裕 著
金融の仕組みはロスチャイルドが作った
 
本書は10年ほど前に別な目的で(金融関係の陰謀論を知るため)購入した本です。本書にシオニズムなどについても書かれていることを思い出して、今回のパレスチナ紛争をきっかけに該当部分を読み直してみました。先の記事、【選民思想の極み】2023/10/29  に載せたタルムードも、本書で知りました。金融関係の陰謀論も「事実」であると思われる部分が多々ありますが、今回の記事には関係ありませんので、ここでは言及しません。
 今回の記事の続編も、この本を参考に書かせて頂く予定です。
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Comments 4

There are no comments yet.

たっきー

こんばんは

シオニズムという単語を初めて聞きました。
パレスチナ・ユダヤ、不勉強で私の思考回路がショートしそうな状態なので、コメントするのも憚られます・・・

私のような人間では理解しかねる宗教観といいますか、迫害の歴史は想像を絶するものがあるのも、頭の片隅では理解できるような気もするのですが、私なんかが簡単に理解できるものではないとも思います。
それに加えて様々な利権覇権をもくろむ人間によって、様々な本位でない事が次々に・・・

これ以上書くと、不勉強な事がますます露呈しますので、これくらいにさせて頂きますが、不要な争いを一刻も早くやめてもらいたいと思います。

追伸
仲間と関わらせて頂いている里山の作業ですが、年間を通して毎月一回の頻度で行っています。
当初ははげ山だったこともあり、夏は草刈に追われて大変でしたが、15年目となると木が茂って草刈はそれほど大変ではなくなりました。春は木の芽の収穫祭を楽しみ、秋はキノコで収穫祭を楽しみ、作業も無理のない範囲で楽しみながらやっております。

2023/11/20 (Mon) 19:26
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: こんばんは

  シオニズムは、非常に身勝手な思想、教義だと思います。そこに現在住んでいるパレスチナ人を追い出して占領して国を作るなんて事は認められないでしょう。パレスチナの地の一部をパレスチナ人から正当に購入したり、使われていなかった土地に移り住んで、そこに住んでいたパレスチナ人と仲良く共存すると言うのなら理解できます。そうするべきです。
 昔から、迫害され続けてそんな思想になったのか、そんな思想だから迫害されたのかはわかりませんが、(両者だと思いますが)「自分達以外は人間じゃない獣だ、何をしても構わない」みたいな思想はヤバ過ぎです。そんな考えでは他民族と共存出来ません。ユダヤ人のごく一部の極右思想の人々の教義なのでしょうけれど、そんな人々が「指導者」の中にいるのですから危険過ぎます。パレスチナ人は既に元々の土地の1割にも満たない土地に追いやられたのに、現在、イスラエル政府はそのわずかな土地も全部奪おうとしているように見えます。
 
 追伸
 禿山だった里山を整備して森林に戻す作業、お疲れ様です。木が茂ったとは素晴らしいですね。
里山整備や家庭菜園で、食料の自給率を少しでも高め、平和な日本が続いて欲しいものです。
パレスチナやミャンマー、ウクライナのように戦争、紛争になったら大変です。代理戦争させられないように警戒していきましょう。

2023/11/21 (Tue) 07:56

guyver1092

プロパガンダ

 学校では、戦後のことは教科書に記述はあっても、授業は無かったと記憶しています。記事に書かれている史実はほとんどが初耳で、史実から導き出される考察はどれも納得できるものばかりです。イスラエルの建国は、当時の戦勝国の何らかの都合により計画されたものであるのかもしれませんね。
 おっしゃる様に、追い出されたユダヤ人が追い出した張本人以外から土地を強奪して国家を建国することが許されるならば、NAが、現在のアメリカ人を追い出し、アメリカ大陸にNAの国を建国することも許されなければいけませんね。このような事を言えば、現在のアメリカ政府は「それは認められない」と言うのでしょうが、これも全くのダブルスタンダードですね。
 現在の強国は、場合によって立場を切り替えつつ、巧妙なプロパガンダで世界の世論を操り、自国のみの繁栄を画策しているのでしょう。

2023/11/22 (Wed) 21:32
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: プロパガンダ

>学校では、戦後のことは教科書に記述はあっても、授業は無かった

戦後でなくとも、各国の現在の権力者にとって都合の悪い事はタブー視されているのかも知れません。

アメリカで英雄視されているコロンブスも、先住民にはかなり残酷な事をしたようですが、そう言うことは教えていないのでしょうね。
そもそも「コロンブスがアメリカ大陸を発見した」と言うのはヨーロッパ人の傲慢で、先住民に対して「失礼」では済まされないでしょう。

>現在のアメリカ政府は「それは認められない」と言うのでしょうが、これも全くのダブルスタンダードですね。
>現在の強国は、場合によって立場を切り替えつつ、巧妙なプロパガンダで世界の世論を操り、自国のみの繁栄を画策しているのでしょう。

おっしゃる通りです。アメリカなどは世界戦略に於いて、常にダブルスタンダードだったような感じです。こういう「覇権国家」は危険です。
欧米各国はプロパガンダが非常に上手いですね。それに踊らされっぱなしの日本政府、自民党です。

2023/11/23 (Thu) 17:55
☘雑草Z☘
Admin: ☘雑草Z☘
「経済成長」はその定義からも明らかなように実態は「経済膨張」。20世紀に巨大化したカルト、「経済成長信仰」と「科学技術信仰」とによって、飛行船地球号は破裂して墜落を始めるのも時間の問題。
あくせく働いて破局に向かって突き進むくらいなら猫のようにその日暮らしをする方がよっぽどいいではないですか。脱成長によってゆったり暮らすことができる社会の実現を!
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