雑草の言葉

水素エネルギーは1次のエネルギー源ではない

2023/12/29
エネルギー 12
   〜まさかの電気分解〜

 今朝(12月20日に書いた記事です。)、NHKのニュースをぼんやり観ていたら、「水素エネルギーで日本が欧米に負けそうだ」・・などという内容を放送しました。

 水素エネルギーに関しては、かねてより大きな疑問を抱いておりました。
 「どうやって水素(分子)を得るのか?」という事です。
 かなり以前、「太陽光で触媒を使って水素化合物(水?化石燃料?)から直接水素を取り出す」という記事を読んだ記憶がありました。その内容が不明だったので記事にはしていませんでした。最近その方法は目にしません。上手くいっていないのでしょうか?お分かりの方がいれば教えてください。この方法も胡散臭いのですが、他の方法はもっと胡散臭いと考えられます。元々のエネルギーを得る1次のエネルギー源にはならないんじゃ無いでしょうか?



「天然ガスなどの化石燃料から作り出す」と言う方法は、迂回のために化石燃料を直接燃やす従来の方法よりも効率が悪く、水素燃料を燃やす(使う)時点ではCO2を出さなくても、H2を作り出す時に、CO2を排出するでしょう。その化石燃料に含まれる炭素原子の数に変わりはないのですから。H2燃料を作り出す場合、原料としての他に、水素燃料を作り出すためのエネルギー源として更に化石燃料を投入すれば、CO2の排出量はより多くなるでしょう。(だからって原子力を使うのは愚の骨頂です。)資源エネルギー庁は、更にその二酸化炭素を地下に埋めるなどと、とんでもなく馬鹿馬鹿しい逆効果の方法を提示しています。【CCSとCCUS】2023/09/23  に書きました。
 
化石燃料から水素燃料 資源エネルギー庁
 化石燃料から水素燃料を作り出す方法の分類:資源エネルギー庁HP より 
 全てグレー水素じゃ無いでしょか?
 資源エネルギー庁ってなんでこんなとんでもプロパガンダばかりするのでしょう?

 

 化石燃料から水素H2を作るのならば、エネルギーキャリア(持ち運びに便利なエネルギー畜え物質)としても燃料としても、化石燃料を直接使う方がエネルギー効率は遥かにいいでしょう。ライフサイクルでのCO2排出量を考えても、化石燃料から水素H2を作る意味はないでしょう。・・意味が無いどころか、化石燃料から水素を取り出す方法は、エネルギーのロスを増やし、環境汚染も増やすのでは無いでしょうか?
福島水素エネルギー研究フィールド
 福島水素エネルギー研究フィールド 資源エネルギー庁より

 まさか、電気分解して水素を取り出すのでは無いだろうな・・・と思いきや、その「まさか」でした。今朝のNHK ニュースでは、水素を得る方法に着目して観ていましたが、記者が「電気分解」と説明したので脱力でした_Orz………。
水の電気分解
  水の電気分解の模式図 経済産業省ケミカルワンダータウンより


 こりゃあ、エネルギーを産み出しているんじゃ無いでしょう。この場合、水素は単にエネルギーを貯める媒体のようなもので、蓄電池のようなものとして扱うべきでしょう。エネルギーを貯蔵して輸送する為に便利なエネルギーキャリアと言うだけのものでしょう。それこそ石油や天然ガスのような化石燃料の方が、エネルギーキャリアとしては便利かもです。そして、ライフサイクルで考えれば、エネルギー効率は、石油や天然ガスのような化石燃料の方がずっと優れているでしょう。
 当然の事ながら、水の電気分解で得た水素は、水の電気分解に要するエネルギー以上のエネルギーを得られるはずはありません。それどころか、水素を作る時点で、熱などのエネルギーロスがかなり大きいでしょうから、投入した電気エネルギーに対して使えるエネルギーはかなり減る事でしょう。

もしこれで生み出すエネルギーの方が多いのであれば「永久運動機関」ならぬ「永久エネルギー産出装置」になってしまいます。「熱力学の法則」を持ち出すまでも無くあり得ない事です。水素H2は、電気分解で投入される電気エネルギーから化学エネルギー(ポテンシャルエネルギー)を得るのです。水素エネルギーの元となるエネルギーは、電気分解に投入される電気エネルギーよりずっと小さいのです。 
 太陽光発電、風力発電などの電気エネルギーを使う場合なら、水素はエネルギーキャリアという意味はあっても、元々のエネルギーを作り出している1次エネルギー源では無いのです。あくまで電気エネルギーから変換される2次エネルギーであり、電気エネルギーも太陽光、風という太陽光エネルギーの2次以下のエネルギーと考えれば、水素エネルギーは太陽エネルギーの3次以下のエネルギーと言うことになるでしょう。太陽エネルギーから、2次、3次のエネルギーに変換される時点で、熱を主とする大きなエネルギーロスがあるのです。

 現在、太陽光、風力などの「自然エネルギー」の利用は、量として非常に小さいので、元となる電気エネルギーより遥かに小さい水素エネルギーの供給量は、現在の世界のエネルギー消費量よりも遥かに小さいのです。だから「持続可能なエネルギー源」と言うのであれば、結局のところ、エネルギーの供給量・使用量を桁違いに減らすしか方法は無いのです。
 そしてエネルギーの供給量を桁違いに減らす場合、エネルギーロスは極力避ける事になるでしょう。エネルギーロスが多過ぎる3次以下の水素エネルギーへの変換は真っ先に削減する対象になるのでは無いでしょうか?(・・まだ普及すらしておりませんが・・)「水素エネルギー」の本質は、「エネルギー源」と呼べる代物ではなく、単なる蓄電、畜エネ、エネルギーキャリアのレベルでしょう。1次のグリーン(クリーン)エネルギー源では無いのです。

 この手のニュースは、以前にも観た記憶があったので調べてみたら、殆ど同じ内容をNHKのニュースで2022年5月にも放送していたようです。【日本が水素で負けるのか?】2022-5.11
そして、その当時この内容は、TVで観たのではなくて、<爽風上々のブログ>【「日本は水素でも遅れを取るのか」そうで。】2022 -5.17 で読んだ記憶です。 それ以前の記事【水素エネルギーとは何か、そして何でないか】2020-3.10 なども参考になるでしょう。

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Comments 12

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爽風上々

エネルギーキャリア

水素はエネルギーキャリアに過ぎないということは当然ながら専門家とまでも行かない人の間でも常識ですが、それを儲け口にしようという人とほぼ一致しますので一般向けには細かく説明することはしません。
そのためグリーン水素だ、ブルー水素だなどと変な説明をしてあたかも魔法のランプのように見せかけています。

今でも商業的には天然ガスなどからの化学変化で作り出すしかないのですが、さすがにそれでは脱炭素化などとは言えないということは素人でも分かってきたと思い、そこで出てきたのが自然エネルギー電力を使った電気分解というものです。

自然エネルギー電力なるものが、私も何度も言っているように装置の製造、建設に大量のエネルギーを使いますので、非常に非効率なのですが、それでさらに水素の電気分解などと言うのは各段階での損失が大きすぎて何も生み出しません。

ただし、移動手段として蓄電池駆動のものばかりではどうしようもないものがあり、その対策としての水素を考えなければならないのでしょう。
それが航空機と軍用車だと思います。
これらには水素を用いる可能性がありますが、そんなことをしなくてもまだ石油系の燃料は無くなるわけではないので、そちらの方が使いやすいでしょう。

とにかく「運転時には二酸化炭素の排出がない」ということばかりに気を取られると完全な間違いをすることになります。

2023/12/29 (Fri) 09:29
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: エネルギーキャリア

水素はエネルギーキャリアとして、航空機などの移動の乗り物に使うのはアリかも知れませんが、あくまでエネルギー源ではなくエネルギーキャリアです。期待できる次世代のエネルギーのように謳うのは、騙しに近いですね。企業の儲けに一役買う経産省・資源エネルギー庁のいつもの手です。資源エネルギー庁は水素エネルギーに限らず、多くの無駄なとんで技術を推奨しています。どう言う方針なのでしょう?まともなポリシーを持ち合わせていない組織のようです。欧米でも水素エネルギーが期待されているとのことですが、欧米の政府もそんな事をやっているのでしょうかね?

ところで、記事の最初に記した「触媒を用いて太陽光で水素化合物(水?化石燃料?)から直接水素を作り出す」と言う方法はご存知でしたでしょうか?

2023/12/29 (Fri) 19:23

爽風上々

触媒

化学反応を進める際に触媒を使うと要するエネルギーを低く押さえることができる場合があります。
生体内の酵素というのもその一種です。
しかしエネルギーを要する反応であれば低いと言ってもやはりエネルギーが必要なのは間違いありません。
水の電気分解においても適切な触媒を使うことで低エネルギーで水素を取り出すということは重要な課題であり数多くの研究開発が行われていると思います。
ただし、「太陽光を使って水を分解する」というイメージの反応はちょっと無理ではないかと思いますが。

より優れた触媒を作り出すということは反応に必要なエネルギーを削減できるので有効な手段なのですが、その触媒に希少元素や複雑な有機化合物を使うとなるとそれもちょっと問題になります。
触媒の材料としてできるだけ安価で手に入りやすいものを使うということも求められます。
まあそううまく行くはずもないのですが。

2023/12/30 (Sat) 08:17
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: 触媒

お返事ありがとうございます。
分野は違えど、爽風上々さんならば触媒にお詳しいかと思いました。色々な情報参考になりました。
太陽エネルギーを一度電気エネルギーに変換せずに、適切な触媒を見つけ(開発して)、直接太陽光を用いて水を分解して水素分子を得ることができれば画期的なのでしょうけれど、やはりそれは難しいのでしょうね。その技術開発は今のところ停滞して中座しているから、その手の情報を目にしなくなったのかも知れません。
  この手の技術は「取らぬ狸の皮算用」も多いと言うことですね。

2023/12/30 (Sat) 12:49

放射能の暇人

無駄な事を止めるのが一番ですよね

リチウム電池が開発されてEVも少しは普及しているようですが、結局は環境破壊が進んで地球温暖化の加速も全く止まらないという状況なので、「水素エネルギー」も同じ事になる可能性が高いのでしょうね。
ただし、水素エネルギーや水素エンジン車の研究を続け、もしうまくいったとすれば、少なくともEVを普及させるよりはマシではないかと思っています。
尚、それ以前に、原発や再処理工場やリニアや大阪万博や5Gや無駄な道路建設等の無駄な事を止める事が絶対的に必要ですよね。

2023/12/30 (Sat) 15:04
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: 無駄な事を止めるのが一番ですよね

EVも太陽光発電とか風力発電で作った電力だけでは賄い切れないでしょうから、リニアモーターカーのように原発推進の口実になりそうです。
そもそも、AV機器などに使える高品位の2次(以下)のエネルギー源である電気を発動や発熱に使うのは賢い方法ではないですね。

>それ以前に、原発や再処理工場やリニアや大阪万博や5Gや無駄な道路建設等の無駄な事を止める事が絶対的に必要ですよね。

全くおっしゃる通りです。無駄なことを止める以上に効果的なエネルギー戦略ってないんじゃ無いでしょうか?

2023/12/30 (Sat) 21:10

爽風上々

太陽光技術

ちょっと前にテレビCMをしていたもので、壁の塗料に触媒を混ぜておいて太陽光で反応させて汚れを分解するというものがあったと思います。
まあ、反応の速度や強さから見るとせいぜいその程度の用途ではないかと思います。
とても利用価値がある程度の水素を作り出すなんていうことはできないでしょう。

それにしても、技術開発というものに対する信仰のようなものが強いということはどうもあきれるばかりです。
魔法使いか錬金術師のように考えられているのでしょうか。
技術の種というものはいくらでも考えられますが、それが実用化できるかどうかというのは相当な距離があります。
核融合発電も種ができてから、一応爆発的な反応としては利用できたものの、それを発電などという微妙な用途にすることはほとんど進まないまま何十年も経過していますが、このところ変に注目を集めあたかも産業界が力を入れればすぐにでもできるかのように喧伝されていますが、実際にははるかかなたでしょう。
蓄電池なども同様で、これさえ開発できればといった夢の技術の話はいくらでも出てきますが、実際には実用化などはほど遠いというものばかりです。

おそらく金と資材とエネルギーがまだあるからこその開発ブームなんでしょうが、無くなれば何もできなくなります。

2023/12/31 (Sun) 09:29
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: 太陽光技術

私の見るTV番組や時間帯が違うのでしょう。そのCMは目にした記憶はありませんが、観てみたかったです。そんな事が出来るとは面白いですね。でも、おっしゃるように、反応の速さ強さから言えば、かなり小さなエネルギーのオーダーの技術ですね。
太陽光の触媒といえば、やはり植物が持っている光合成などの能力には敵わないでしょう。

>技術開発というものに対する信仰のようなものが強いということはどうもあきれるばかりです
>それが実用化できるかどうかというのは相当な距離があります。

全くです。実用化の目処が立っていないのに、さも「夢の技術」がもう直ぐ使えるようになる・・・というプロパガンダが多過ぎです。そしていつの間にか耳にしなくなって消えていった「幻の技術」は枚挙にいとまがありません。

核融合発電も種ができてから、・・・・・ほとんど進まないまま何十年も経過していますが、このところ変に注目を集めあたかも産業界が力を入れればすぐにでもできるかのように喧伝されていますが、実際にははるかかなたでしょう。

そう言えば「常温核融合」なんてものもかなり着目されていましたが、いつの間にか消えていましたね。核融合は放射性廃棄物を出さない・・・などと言われていますが、核融合自体では出さなくともその周辺では怪しいものです。それ以上に、太陽表面温度よりもはるかに高い温度が必要で、融けない容器は作れませんからプラズマで磁場に閉じ込める・・などとかなり危険な事を言っています。核融合発電は実用化出来ないどころか、こんなことをやっていたらそのうち大事故を起こしそうで恐ろしいです。

>おそらく金と資材とエネルギーがまだあるからこその開発ブームなんでしょうが、無くなれば何もできなくなります。

なるほど、結局は、エネルギー枯渇を早める逆効果になるのでしょう。お金と化石燃料などのエネルギーの浪費で終焉を迎えるのでしょう。

2023/12/31 (Sun) 11:39

guyver1092

ガス田

 最近、スマホの拾ってくるニュースで成分がほぼ水素というガス田が発見されたというのを思い出しました。この記事を読んで、再度探してみましたが、見つかりませんでした。おそらく、がせ記事なのでしょう。

 二酸化炭素を出さずに燃料を使える場合は、この記事が真実である場合だけですね。嘘記事なので、現実の地球ではありえないことですが。

2023/12/31 (Sun) 18:43
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: ガス田

>ニュースで成分がほぼ水素というガス田が発見されたというのを思い出しました。

そんなことがあるのかと一瞬驚きました。おっしゃるようにおそらくガセですね。そしておっしゃるようにそんなガス田でも見つからない限り水素は1次のエネルギーになる事はないでしょうし、そんなガス田があったとしてもそんなに水素が地層に溜め込まれているとは思えないので量として全くお話にならないでしょうね。
欧米でも水素エネルギーが期待されているって話は本当なんでしょうかね?

2023/12/31 (Sun) 22:10

guyver1092

水素

 日本で検索する限り、民間人の考えを推測できるページは見つかりませんでした。出てくるのは、ヨーロッパの支配者の希望と、それに対する企業の反応ばかりでした。
 ひょっとしたら、予測される費用増に民間人の否定的感情が増え始めているのかもしれません。そうであればうれしいのですが・・・

2024/01/01 (Mon) 13:23
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: 水素

私が見た12月20日のNHK ニュースでは、アメリカだかヨーロッパの企業が開発に力を入れていて水素すてーしょんもどんどん作っているような話でしたが、これまた胡散臭いですね。

>出てくるのは、ヨーロッパの支配者の希望と、それに対する企業の反応ばかり

NHKのニュースもその希望に沿って作ったのかも知れませんね。

>成分がほぼ水素というガス田が発見された

という記事も、その支配層が意図的に流したガセネタかも知れませんね。

>予測される費用増に民間人の否定的感情が増え始めているのかもしれません。そうであればうれしいのですが・・・

そうですね。こういうおかしな技術に騙される民間人が多い事は残念ですが、騙す奴が悪いですね。
でもひょっとして騙している積もりもなくて、彼らは理性に乏しく信じているのかも知れません。
兎も角、結果としては、こんなことをやって、エネルギーの枯渇を早めている事になりますね。

2024/01/01 (Mon) 20:35
☘雑草Z☘
Admin: ☘雑草Z☘
無理に経済成長させようとするから無理に沢山働かなければなりません。あくせく働いて不要なものを生産して破局に向かっているのです。不要な経済や生産を縮小して、少ない労働時間で質素にゆったり暮らしましょうよ!「経済成長」はその定義からも明らかなように実態は「経済膨張」。20世紀に巨大化したカルト。
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