ジャスト イン タイム方式
多くの会社がこのシステムを見習っている。・・・コンビニさえ見習っている。つまり、コンピューターで不足になってきた商品を配送会社に知らせ、決まった時間に商品を補給している。・・だからコンビニには倉庫がないのに品が揃っている。
このシステムを見習ったかどうかは分からないけれど、『商品』を『人』に置き換えたら人材派遣になる。会社にしてみれば好景気のときだけ派遣を沢山頼み、不景気になれば、派遣を切ればいいから好都合だ。しかし、派遣労働者の身からすればたまったものではない。会社の都合のいいように使われて、いらなくなったら使い捨て・・・
会社の方でも言い分はある。いつ辞めるか分からない、会社に忠誠を尽くさない人に将来までの保証はする必要がない。・・・一理あるだろう。・・でも、現代の日本に於いて会社に忠誠を尽くす人間なんて元々あんまりいないのではないだろうか?正社員だから会社に忠誠を尽くすとも思えない・・・実際会社の役職に就いている知人も言っているけれど、会社ではずっと正社員にするつもりはないとの事だ。世界中を相手に生き残りをかけている今、派遣社員には申し訳ないが、そんな余裕はないとの事だ・・・同じ仕事をして、給料も低いし、健康保険や年金も会社では払ってくれない・・ワーキング・プア[仕事を持っているのに貧しい人々]もここから沢山生まれている。こんな矛盾が許されていい筈がない・・。
市民運動、労働者運動によって長い時間をかけて改善されてきた労働者の権利が逆戻りしたかっこうだ。一部の労働者だけ差別的に昔の、労働者は機械の歯車と同じ扱いだった頃に一気に後退・・。だから、現在こういう人たちの権利、生活向上に向かって法改正の動きが起こっている
『会社の存続、成長が第一』という、人間より会社を大切にすると言う主客転倒の詭弁がまかり通っている。経営陣は「会社が潰れたら、雇用も何もないのだから当然だろう」とくる。でも、逆に「人が安心出来ないのなら、会社なんか潰れても仕方ない」と言うべきだろう。
・・差し当たっては、労働者の権利をしっかり保証すべきである。しかし、これらの多くも対処療法のような気がする
・・・もっと別な切り口から考えてみよう・・・
かつて国内で経済成長の限界を迎えた日本は、海外に経済成長の矛先を伸ばしてきた。労働者も東南アジア中国、南米などの労働力を安く使っていた。しかし、それらの途上国と言われている国々もかつての日本のように経済成長をはじめたものだから、また昔に戻って、国内の労働力を安く買い叩きはじめた形だ。これは、経済成長の限界を迎えての構造的なものであろう。もともと物質的にはゼロサムゲームに近いこの地球上で、経済成長は無理になってきたわけだ。それでも強欲な大企業の経営陣は無理に会社と自分達だけでも成長しようとして、結果として労働者に当然の権利として払うべきお金を「派遣」という名のもとに蚊帳の外に出して、搾取しはじめたと言っていいのではないか?そう、「派遣」の人々の給料が安いのは、間接的に、経営陣や株主に給料を「ピンハネ」されていると考えていいのではないだろうか?つまり、好景気だと実感している人たちが、派遣の人たちの受け取るべき給料を間接的に搾取しているという構図だ。。
だから、庶民が感じていない「戦後最長の好景気」なんて事を、一部の大企業の経営者や投資家が言っていられるのではないだろうか?
現在の行き詰まった経済成長を無理に押し進めようとすると、大局的に見て「格差」として現れるだけだと思うのだが・・これ以上経済成長を強行すると、次にどこから搾取するのだろうか?
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