.ワークシェアリング
先ず思いつくのは、農林水産業、いわゆる第一次産業です。その他も諸々あるでしょうが、今はひとつひとつ取り上げて吟味は致しません。それが主題ではありませんから。
逆に必要のない職業、いらない仕事は沢山あるでしょう。「否、職業に貴賤はない、どんな仕事だって世の中の需要で成り立っている」と言った、建前は論ずるつもりはありません。それらの多くは無理に作り出したニーズであるし、現在の、経済成長を前提においた無理のある持続不可能な社会の仕組みから出て来たものだからです。膨張し過ぎた自由主義経済は、そんな無駄な仕事を作り出さなければ成立しないほどに矛盾を孕んでいるのです。
と言って、現在のそれぞれの仕事に就いている人はそれぞれ生活があるわけですからみんな責めるわけにもいきません。(悪徳企業は別です。)不必要な環境破壊ばかりの仕事を生み出さなければならない無節操な自由主義経済の構造を批判しているのです。
人間が暮らしていける持続可能な社会の為に必要な仕事と、ある程度人間らしい文化的な仕事や娯楽とかを残して、仕事を整理してシェイプアップすれば、基準にもよりますが、仕事の量はトータルで何分の一のレベルに出来るでしょう。それに付随して経済レベルも何分の一とかに縮小されるでしょうが、大して不便ではないでしょう。はじめから要らない仕事を省いただけですから・・・つまり、同じ人口の労働力で仕事の絶対量を何分の一レベルに下げられるわけです。その結果どうなるか・・・・同じ量の仕事をする人の数が増え、一人当たりの労働時間は大幅に減らせる訳です。
具体的な数字に関しても議論の余地のありそうなところですが、週休3日、一日の労働時間4時間・・・なんて事も可能ではないでしょうか?。
実際、人類は、狩猟生活をしていた頃はそのような労働時間であったという説はかなり有力です。獲物がとれないと、一日中狩猟をやっていなくてはならなかった事も勿論あるでしょうけれど・・・そういう場合はいつの世でもあります。現代など、ワーキングプア問題に限らず、ほぼ1年中働きっぱなしの人もかなりいます。
野生の動物だって、食べていく為にそんなに動き回りません。現在は人間に環境を荒らされて生活してゆくのも大変な野生動物も多いでしょうが、人間ほど働く動物はほぼいないでしょう・・(子育て中の鳥とかは別として・・・)
ワークシェアリングとは労働時間を短縮し、仕事を分かち合い、雇用を確保、創出することです。現在は失業対策としてクローズアップされています。
しかし私は、ワークシェアリングを、持続可能な社会の成立の為の方策として提案させて戴きます。つまり、必要な仕事、大切な仕事だけを多くの人で分かち合って少しずつすると言う仕組みです。
この為には、ある程度共産主義的な考え方が必要になるでしょう。つまり現在の過剰な人口と工業の発展を考えた場合、地球のキャパシティ、規模からして、現在の膨張した無節操な自由経済は、もう限界を超えているドーピング状態です。このままでは、大規模な環境カタストロフィーに襲われることは間違いありません。
不要な物の生産をやめ、不要なサービスをやめ、本当に必要な仕事と、ある程度人間らしい文化的な仕事、娯楽を精選して、その、少なくした仕事を地域のみんなで分業すれば、現代社会のように時間に追われてあくせく働かなくていいし、家族と過ごす時間も何倍にもなるでしょう。仕事に疲れて自殺する人もなくなります。ゆったりとした時間が流れるでしょう。
そういう社会、生き方が好きか嫌いかを選ぶ余地はなく、仕事を精選してワークシェアリングする方向に持っていかなければ人類は滅ぶでしょう。移行するのが遅れれば遅れるほど、人類は大きな環境カタストロフィーに襲われるでしょう。 現在の社会を見渡す限り、持続可能な社会への移行はスムーズに行くとは考えていません。移行する前に人類は滅ぶかも知れないし、移行出来たとしても、かなりの人類が犠牲になるでしょう。しかしそんな中で、仕事を絞ったワークシェアリングは、持続可能な社会を作るための切り札になると考えます。仕事を絞ったワークシェアリングなしでの持続可能な社会への移行は、考えられません。
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