恐ろしい?アメシロは、ただの毛虫
【アメシロの駆除方法】はじめの部分だけ繰り返させて戴きます。
アメシロ駆除の消毒は酷いものです・・・散布した霧状の農薬が、木の葉から雫になって滴り落ちるまで散布致します。せみが狂ったように泣き叫び、木から飛び出して逃げていきますが、途中でポタリと地面に落ちて、また飛び立とうとしますが遂には力尽きます。どこかに潜んでいた蝶もひらひらと落ちてきます。アメシロ消毒のうるさい散布機の音が去ったあとは、虫たちの死の世界が訪れ、レイチェル・カーソンの「沈黙の春」の世界の一節を連想致します。
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その後、先日書かせて戴いたように、勿論、殺虫剤の散布はせずに、ときどきアメシロのついた1枚の葉や葉が何枚かついた枝をとって土に埋めています。先週は、忙しさと雨で木を見なかったので、アメシロにやられた葉がちょっと増えていたので、今日は、300~500匹くらい葉や枝ごと取って土に埋めました。多いようですが、卵からかえって、まだ産みつけられた葉から分散する前の段階なら、その葉1枚で100匹くらい一網打尽です。
しかし、大きくなって枝中に分散して広がったアメシロを駆除するのはちょっと大変です。
幼虫が吐いた糸だらけになって繊維だけ残って透け透けになった葉だらけの枝には既にアメシロはもぬけの空の場合も結構あります。
やはり、マメに観察して、1枚の葉だけが糸で巻かれた状態になった時が、産みつけられた卵からかえったばかりで、一網打尽にしやすいでしょう。
今回再びアメシロの話題を出したのは、コメントは頂きませんでしたが、前回の記事を読んだ家族や知っている方が、
「アメシロって、本当に土に埋めただけで大丈夫?焼かなくていいの?」
って、まじめに聞いてきたからです。アメシロに木をやられた経験のある人は、アメシロの猛威を恐れているのです・・・大砲のような大げさな機械を持ってきて、薬剤散布することも一因かも知れません。近くにいたセミやトンボやチョウも一緒にやられる程すごい薬剤を散布しないと退治出来ないと考えてしまうのでしょうか?
「埋めても、土の中から這い出して来て、また木に登るのではないの?」
って本気で聞いてくるのです。
アメリカシロヒトリ蛾の幼虫は毛虫です。クワガタの幼虫の芋虫やミミズでもあるまいし、土に埋めた毛虫が土から這い出る可能性はまずないでしょう。まして、土に埋めた後足で踏み固めれば、クワガタの幼虫だって、潰れてしまうでしょう。(ミミズは大丈夫か??)どうして焼く必要があるでしょう??まして、殺虫剤なんてとんでも御座いません。
確かにアメシロにやられて葉がなくなったり、枝中クモの巣の糸だらけのようになった木は、悲惨に見えます。でも、その木を食い荒らしたアメシロの幼虫も、はじめは1枚の葉に一緒に産みつけられた卵から孵ってある程度成長してから分散したのです。卵が産みつけられた葉が1枚だけでなくとも、数枚から、せいぜい数十枚の葉でしょう。
その、卵を一緒に産みつけられた数枚の葉を取って、土に埋めれば御仕舞の獅子舞です。卵が見つけにくくても、幼虫が孵って繭の糸見たいなものを吐いた後は、簡単に見つけられます。まだ産みつけられた葉にまとまっているアメシロを、葉ごと摘んで土に埋めるのは非常に簡単な作業です。
その方法は、「けむしの会」のHPにも書いてあります。(ゴミ袋に入れて捨てるのはよくありませんが・・)
農薬、殺虫剤の使用は、生態系に非常に悪影響であることは、よく言われていることです。私も同じ意見で、何度か述べています。生態系の為にも殺虫剤の使用は、特別な場合を除いて禁止にすべきです。
それとは別に、意外と簡単なアメシロの手作業の駆除をしていて、大げさな殺虫剤の散布と比べて感じた事ですが、殺虫剤での害虫の駆除って、能率がいいようで、実は恐ろしく能率の悪いことではないでしょうか?
大砲のような殺虫剤散布機械は、面倒で、簡単にいつでも出せませんから、ある程度大量発生しはじめた時に散布いたします。これって実は、アメシロがある程度大きくなって、1枚の葉から周りの葉に分散してから散布する事になるのです。分散してしまったから、丸ごと木1本全体に散布するのです。でも実際は、散布機でも高いところには届きません。ジェット噴射で届かせるなんて、高い位置で拡散するからとんでもない事です。・・・枝を切って埋めるのなら高枝バサミで簡単に切れます。・・・大砲のような散布機で殺虫剤を撒かなければならないと言う発想は、農薬会社の戦略、洗脳でしょう。
殺虫剤の大規模散布は、生態系の破壊というそれだけの理由でも十分禁止するに値します。
しかしそれだけではなく、実は殺虫剤の散布は、能率も悪く、効果も薄い対症療法ではないでしょうか?
だいぶ以前から殺虫剤散布により、殺虫剤に強い遺伝子を持った害虫が現れて問題になっていますが、これさえ実は農薬会社では、喜んでいるのかも知れません。害虫は滅びず、毎年ニーズを作り出し、次々に強い殺虫剤を開発していけばいいわけですから・・。
殺虫剤を作っている農薬、製薬会社は実はアメシロの恐ろしさを大げさにプロパガンダして危機意識を煽り、毎年毎年対症療法的に対処しているのではないでしょうか?。
・・・それに比べ、葉に産みつけられた卵から孵ったばかりの頃の葉を手で取って土に埋めるのも、対症療法かも知れませんが、たったこれだけで効果も高く、アメシロのみ選別して駆除出来るし、土に埋めれば生態系の循環も完璧でしょう。
アメシロの駆除の消毒を何十年も続けた割に、アメシロはあまり減っていませんが、セミやトンボやチョウは目に見えて減っています。こんな愚かなことを続けてはなりません。
生物学者や農学者、農協の職員、研究員は、殺虫剤の散布など止めて、生態系に沿った害虫の駆除法を考えるべきです。卵を何処に産みつけるか?広がる前に駆除するのはどの段階が効果的か?人間が手で駆除するか、天敵を利用するか? ・・・きっとそういう研究もなされているのでしょうが、農薬会社の力が強く農薬依存にさせられているかも知れません。何せ、農薬会社はもともと軍需産業、化学兵器を製造していたわけですから・・・情けなく、愚かなことです。
ちなみに、害虫、益虫って、人間のご都合で、人間に有害か役に立つかで決めていますが、木や農作物を食い荒らす毛虫も、結構生態系の循環に役に立っています。例えば鳥の餌になり、鳥が山の木の巣のヒナのもとに運びます。そこで糞などが、山の微生物や植物の栄養になるのです。下に下る栄養を高いところに戻す働きもあり、この働きもかなり重要です。(槌田敦氏の文献に載っていますので、中途半端になっている 槌田敦論-考 でいつか書かせて戴きます。)
単純な発想ですが、アメシロに限らず、毛虫はたいていクモの糸のような糸を吐きますが、蚕の繭のように繊維に利用出来るのではないでしょうか?
21世紀にもなって、科学の時代だとか言って、毛虫を駆除するのに、他の虫まで巻き添えにする、無差別殺虫の生態系まで破壊する殺虫剤を使うなんて、あまりに野蛮で非科学的で愚かな行為です。
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