雑草の言葉

さらに巨大な、開発と言う名の破壊

2007/09/23
公共工事 2
中国のほとんどの河川や地下水は、排水や自治体の垂れ流し、農薬や肥料の流出で、水質と水量が低下しています。根本的に不足する水をさらに浪費して、都市では深刻な水不足が生じ、時には工業生産も停止致します。地下水も汲み過ぎて、中国大部分の沿岸地域では、地下水に海水が流入して地盤沈下も起きています。 
 そして、中国は世界で最も深刻な、河川水流の停止という問題を抱えています。
最近では、あの広い黄河が、一年のうちに水流が停止して全く流れない日が200日以上あるのです。降雨量の多い南部の揚子江でさえ、乾季には水流の停止が起こっています。


 このような状況に対して、南部の揚子江の水を、水の少ない北部の黄河の方に引く計画が
『南水北調計画』です。 

  揚子江と黄河はかなり離れているのですが、万里の長城を作った中国らしい発想です。しかも水路は1本でなく、長江[揚子江]の上流(西部)中流(中央部)、下流(東部)から取水して北部に引水するという壮大な計画です。2002年に着工されて、完成は2050年以降です。費用は、あの超巨大ダム、三峡ダムの数倍になりそうです。反対意見も多く、費用の面だけでなく、多くの住民の立ち退き、生態系への影響、渇水期の揚子江の水不足、更なる水質の汚染、塩害・・・等があります。
 
揚子江と黄河と言う2つの大河と言いますと、チグリス・ユーフラテス川のメソポタミア文明とその衰退を連想します。中国も同様に衰退するとしても、その衰退はずっと早いでしょうし、規模もずっと巨大で、中国だけでは留まらず、近隣の多くの国を巻き添えにするでしょう。・・・世界の衰退を早め、世界滅亡の引きガネを引くのも中国かも知れません・・・


 この『南水北調計画』と平行して、更なる巨大開発プロジェクトが計画されています。それは『西部大開発』です。いわゆる未開、発展途上と言われている中国の国土の半分を占める西部の開発計画です。
その趣旨は
(1)国内東西間の著しい開発格差の是正
(2)小数民族の安定化
(3)生態環境保護
(4)WTO加盟による農業部門等のの影響緩和
などがあげられています。

(1)国内東西間の著しい開発格差の是正
これは、確かに是正されるでしょう。・・平和でより持続可能な社会に近い西部が、経済に毒され”東部と同じように”環境破壊と格差社会で住みにくくなるのです。

(2)小数民族の安定化
これは、単に中国政府が少数民族をコントロールして、その地の資源を搾取したいだけでしょう。

(3)生態環境保護
と言うのなら、開発しないことが一番
です。何をふざけたことを言っているのでしょう?

(4)WTO加盟による農業部門等への影響緩和
中国は工業よりも農業に重点を置くべきです。保護するなら工業でなくて農業でしょう。こんな事してたら中国も食料自給率が下がって、食料を輸入しなければならなくなります!!

折角、辛うじて残された中国の未開の西半分も開発しようと言う発想は、開発推進派なら誰でも思いつく事でしょうが、その開発による環境破壊の凄まじさを想像できない輩のバランス感覚は、壊れているとしか思えません。


 賛否両論あって、実際の環境への影響はやってみなければ分からないと言われている巨大開発は、例外なく、多大な環境破壊を引き起こし、多くの住民を不幸に陥れています。その悲惨な結果は、やって見なくても十分に予測がつくでしょう。失敗のレベルが予想を遥かに超える事になるかどうかでしょう。
世界の巨大開発は、どれ一つとしてまともなものはありません。

中国は、周りの国を巻き込んで破滅するまで、こんなばかな巨大開発を続ける積もりでしょうか? 




 参考文献;文明崩壊 下巻  ジャレド・ダイアモンド 著
               楡井浩一 訳
  
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Comments 2

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R.KODO

はじめまして。
貴ブログを愛読させていただいております。

本来人類が使うべきでなかったものが、「開発」の名の下に乱発されて、結果そのシワヨセが地球環境に負荷をかけてしまっている・・・、そのシワヨセを最も顕著にくらうのが、
ここ数年で生まれた子供たちの世代ではないか、という説がありますね。

私の子供もその世代です!

そして、本来使うべきでなかったもののひとつが、「石油」かも知れません。

実は、以前、某大手化粧品関連会社を経営していたことがあるため、

実際、化粧品のほとんどが「石油づけ」であることを、
知り尽くしております・・・。

実は業界の事情もあり、これまで隠されてきたものですが、
近年、「経皮毒」という呼び名で知られ始めてきましたね。

私も、元関係者として、この体質を変えようと努力してきましたが、一向に変わる気配がないため、

やむにやまれず、

情報公開に踏み切ることにしました。

まずは誰でも読んでいただけるように、
メルマガを発行しましたので、
ぜひご一読ください。

http://search.mag2.com/reader/Magsearch?keyword=%83G%83S%83G%83R

近日中に、

サイトも立ち上げる予定です。

そこでは、

業界にいた者の視点で、

安全なもの、キケンなものの情報を公開するつもりです。


貴ブログのような、貴重な情報サイト同士が、

今後横の連携を持つことが出来れば、

地味かもしれませんが、

大きな力にもなると信じております。

これを機に、どうぞよろしくお願い致します。

2007/09/24 (Mon) 16:41

雑草Z

石油は麻薬ですね。

 はじめまして

石油から作る合成界面活性剤の水の汚染についての事や、天然石鹸(脂肪酸カリウム、脂肪酸ナトリウム)の無害性と有用性などをいつか記事にしたいと思ってましたが、その手の内容の専門家の方でしょうか?化粧品も含め、その手の裏話に期待いたします。
 合成洗剤が石油づけである事は知ってましたが、化粧品もそうでしたか・・?・・それらは石油精製のときに出てくる廃物利用と言う話は本当ですか?・・石油で作る理由はコストも含めてそれですか?

 先住民の人々は大抵「開発」とは、破滅への道である事を感知しているのに、それを感覚で分からない自ら”文明人”と呼ぶ人々は愚かです。
 
 ここ数年生まれた世代は、かなりの環境破壊のしわ寄せが来そうで恐ろしいですね。破滅の危機も十分にあります。

業界の方からの貴重な情報公開に期待しております。
よろしくお願いします。  

2007/09/25 (Tue) 21:05
☘雑草Z☘
Admin: ☘雑草Z☘
「経済成長」はその定義からも明らかなように実態は「経済膨張」。20世紀に巨大化したカルト、「経済成長信仰」と「科学技術信仰」とによって、飛行船地球号は破裂して墜落を始めるのも時間の問題。
あくせく働いて破局に向かって突き進むくらいなら猫のようにその日暮らしをする方がよっぽどいいではないですか。脱成長によってゆったり暮らすことができる社会の実現を!
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