さらに巨大な、開発と言う名の破壊
そして、中国は世界で最も深刻な、河川水流の停止という問題を抱えています。
最近では、あの広い黄河が、一年のうちに水流が停止して全く流れない日が200日以上あるのです。降雨量の多い南部の揚子江でさえ、乾季には水流の停止が起こっています。
このような状況に対して、南部の揚子江の水を、水の少ない北部の黄河の方に引く計画が
『南水北調計画』です。
揚子江と黄河はかなり離れているのですが、万里の長城を作った中国らしい発想です。しかも水路は1本でなく、長江[揚子江]の上流(西部)中流(中央部)、下流(東部)から取水して北部に引水するという壮大な計画です。2002年に着工されて、完成は2050年以降です。費用は、あの超巨大ダム、三峡ダムの数倍になりそうです。反対意見も多く、費用の面だけでなく、多くの住民の立ち退き、生態系への影響、渇水期の揚子江の水不足、更なる水質の汚染、塩害・・・等があります。
揚子江と黄河と言う2つの大河と言いますと、チグリス・ユーフラテス川のメソポタミア文明とその衰退を連想します。中国も同様に衰退するとしても、その衰退はずっと早いでしょうし、規模もずっと巨大で、中国だけでは留まらず、近隣の多くの国を巻き添えにするでしょう。・・・世界の衰退を早め、世界滅亡の引きガネを引くのも中国かも知れません・・・
この『南水北調計画』と平行して、更なる巨大開発プロジェクトが計画されています。それは、『西部大開発』です。いわゆる未開、発展途上と言われている中国の国土の半分を占める西部の開発計画です。
その趣旨は
(1)国内東西間の著しい開発格差の是正
(2)小数民族の安定化
(3)生態環境保護
(4)WTO加盟による農業部門等のの影響緩和
などがあげられています。
(1)国内東西間の著しい開発格差の是正
これは、確かに是正されるでしょう。・・平和でより持続可能な社会に近い西部が、経済に毒され”東部と同じように”環境破壊と格差社会で住みにくくなるのです。
(2)小数民族の安定化
これは、単に中国政府が少数民族をコントロールして、その地の資源を搾取したいだけでしょう。
(3)生態環境保護
と言うのなら、開発しないことが一番です。何をふざけたことを言っているのでしょう?
(4)WTO加盟による農業部門等への影響緩和
中国は工業よりも農業に重点を置くべきです。保護するなら工業でなくて農業でしょう。こんな事してたら中国も食料自給率が下がって、食料を輸入しなければならなくなります!!
折角、辛うじて残された中国の未開の西半分も開発しようと言う発想は、開発推進派なら誰でも思いつく事でしょうが、その開発による環境破壊の凄まじさを想像できない輩のバランス感覚は、壊れているとしか思えません。
賛否両論あって、実際の環境への影響はやってみなければ分からないと言われている巨大開発は、例外なく、多大な環境破壊を引き起こし、多くの住民を不幸に陥れています。その悲惨な結果は、やって見なくても十分に予測がつくでしょう。失敗のレベルが予想を遥かに超える事になるかどうかでしょう。
世界の巨大開発は、どれ一つとしてまともなものはありません。
中国は、周りの国を巻き込んで破滅するまで、こんなばかな巨大開発を続ける積もりでしょうか?
参考文献;文明崩壊 下巻 ジャレド・ダイアモンド 著
楡井浩一 訳
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