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雑草の言葉

地下資源を使うという事

2010/01/13
資源・エネルギー 12
 工業化社会、経済の成長に大きな役割を果たしたものに、地下資源があります。 
 地下資源の生産とは、元々そこに埋まっていた地下資源を掘り出して生成する事です。はじめから存在する資源を掘り出しているだけですから、『生産』とは言いますが、倉庫にしまって置いてあったものを出して来て使えるようにした・・・というイメージに近いでしょう。ただ倉庫から出すのとは違うのは、遥かに面倒な作業・・掘って製錬する・・と言う作業が必要であるという事です。そして、その作業は同時に大量の廃棄物を出します。
採掘作業で出る廃棄物は、鉱床を覆う表土、ミネラル含有率が少な過ぎて経済的な価値を持たない廃石、ミネラル分を抽出した後の尾鉱、ミネラル分を抽出した後の堆積浸出用の残滓・・採掘される鉱物の量より遥かに大量です。
そして、地下資源を掘る事による地表の損傷も環境破壊になります。
製錬という作業はコークスなどで鉄を還元しなければなりません。還元剤としてのコークスと加熱する為の石油資源などを消費しているわけです。・・・そして、その作業で出来て来る鉱物資源より遥かに多くの廃棄物が出ます。低エントロピーの資源であったコークスも石油も酸化して高エントロピーの廃棄物となる訳です。
 水の汚染も深刻です。金属そのものや、精製用の化学物質、廃液、沈殿物などが川や地下水に流れ込んで大きな害になります。・・・鉛と亜鉛の鉱山から排出されたカドミウムに汚染された神通川の流域で起きたイタイイタイ病など、かつては公害問題として大きく取り上げられました。(・・今は二酸化炭素地球温暖化説の陰に隠れています。)


 家電製品なり、自動車なり、それ自体が使えなくなって廃棄されるとき、随分な量の廃棄物が捨てられる・・・と危惧されます。しかし、家庭から出る地下資源由来の大量のゴミの一つ一つについて、その製品が作られるまでには、その何十、何百倍もの産業廃棄物が出てくるのです・・・ぞっとする現実です。もっと目を向けるべき問題でしょう。


 地下資源を使って製品を作るという作業は、地球に蓄えられた貯蓄である地下資源を切り崩している事になるだけでなく、大きな環境破壊行為なのです。質の悪い事に、それら地下の物質の多くは、生態系の循環に回らない物質がほとんどです。逆にそれが生態系にばら撒かれるときには、生態系を破壊する毒として生態系を循環するのです。

工業的生産活動は、出来る製品の何倍もの(・・・ライフサイクルでトータルすれば何十倍、何百倍、何千倍もの・・)廃棄物を出す・・・という事を肝に銘じるべきでしょう。そして、それが地下資源である場合、殆どの廃棄物は自然の循環を回らずにただ廃棄物として長い間・・半永久的に・・どこか・・・山林であったり海であったり・・・に放置されるのです。一度っきりの使用で廃棄されている物も沢山あるでしょう。

20世紀になってからの大量に地下資源を使う産業構造は、百年レベルの打ち上げ花火のようなものです。持続する筈がありません。結局、地上に地下資源をばら撒いて、廃棄物だらけにして深刻な環境破壊をもたらし続けています。

 これだけの環境の犠牲のもとに生産された大量の地下資源が、それだけの価値のある使われ方をしているでしょうか?
 地下資源にはリサイクルすべき物質が沢山ありますが、その前に生産を控えるべきでしょう。・・缶詰めや缶ジュースなどは真っ先に廃止されるべきでしょう。

 有限の地球で、再生不可能な地下資源を浪費する行為は愚行です。そんな現代社会は刹那的過ぎるというものです。地下資源の使用にはもっと遥かに慎重になるべきです。地下資源は、持続可能な社会への移行に際して封印していくべきパンドラの箱でしょう。
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Comments 12

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上々

鉱脈

最初に地球ができた時にはあらゆる元素は分散していたはずですが、それから数十億年かけて元素ごとに集まってきて鉱脈となりました。
これはエントロピー則に反するようですが、その間地熱や太陽熱を使っているので、エネルギーを費やして分散から集中へ移行したことになります。

金やプラチナなど、大変な精製工程を経て得ているわけですが、その割にはいい加減な使い方も多いようです。
そのまま環境にばらまくようなことをしてはもったいないのですが。
元素自体はエネルギーと違い無くなるわけではないのですが、せめて循環して使用するべきでしょう。

2010/01/13 (Wed) 17:00

雑草Z

いい加減過ぎる地下資源の使い方

    上々さん

 現在の大量生産大量消費社会では、地下資源に限った事ではありませんが、浪費と呼ぶべき使い方がされていますね。
循環して使うにしても、集めたり資源に戻す為にはエネルギーの投入が必要な訳ですから、しっかり節約して使うべきですね。元素もエネルギーもなくなるわけではありませんが、使用不可能な形(高エントロピー)になって拡散していくのですからね。

  +++++   ++   +++++++++  +

また、一日複数のコメント有難う御座います。励みになります。
 今日の石川県の雪は半端じゃなかったのではありませんか?
・・当方も今しがたも雪かたしをして来ました。雪をかたす場所も(・・流す側溝とか埋まっていて・・)少なくなってきました。雪が降らなくて楽・・・なんて言ってるとドカッと降ります。地下資源も雪のようにどんどん降って、使わなくなったら自分で融けたらいいですね。

 

2010/01/13 (Wed) 18:56

guyver1092

安かった石油

 一番まずかったのは、動力源たる石油が安すぎたからでしょうね。オイルピークの考え方が正しければ、石油の値上がりとともに、是正されていくでしょうが・・・
 環境破壊との競争になりますね。


ブラックジョーク
 スクラップ専門のごみ屋敷の主になっておきましょう。そうすると、いまは鼻つまみ者となってしまいますが、石油が高くなり、資源が値上がりしたときには、拝んでスクラップを分けてくださいと人々が集まるようになります。

2010/01/13 (Wed) 20:03

雑草Z

石油がドーピングのチャンピオン

    guyver1092さん

 石油は他のエネルギー資源と比べてEPR(エネルギー産出比)が抜群にいいですからね。だからEPRだけ考えれば石油に勝るエネルギー資源は他にないでしょうね。エネルギー資源としてだけではなく、化学製品の材料にも沢山利用されてますし。
 その石油によって現代社会は大きくドーピングされ、環境問題が深刻になりましたね。石油がなければ、工業もこんなに大きくならなかったろうし、農業などもこれほど持続不可能な農業ではなかったでしょうね。人口もこんなに増えなかったでしょう。石油のドーピングによって一時的に肥大化してしまったものを戻す事が環境問題の大きな解決策ですね。


 スクラップ専門のゴミ屋敷は有効利用できるでしょうね。一般にゴミ屋敷って言うと、色んなゴミがごちゃ混ぜのイメージですが、あとから有効利用する為には、ゴミの種類も専門化が必要でしょう。・・・ってそれじゃあゴミの分別回収ですね(笑)

2010/01/13 (Wed) 23:30

上々

石油の罪深さ

石油のEPRが高かったのは自噴したためと、輸送コストが安かったためでしょうね。
もっとも、最近は巨大油田でも自噴できるだけの圧力が無くなってきたため、海水を注入してその圧力で出すということになり、かなりEPRが落ちてきているとのことです。

さらに石油の最大の利点は常温で液体であり、内燃機関の燃料として使えたことでしょう。石油がなければここまでひどい車社会にはなりえませんでした。
また化学工業の原料としてプラスチック社会を作り上げたのも石油なしでは無理だったでしょう。

これだけ優れた石油があと半分しか使えないとすると、よほど使い方を考えなければなりません。

2010/01/14 (Thu) 08:37

雑草Z

Re:石油の罪深さ

    上々さん

>最近は巨大油田でも自噴できるだけの圧力が無くなってきた

中東あたりでもそうなんですか?・・・やっぱり上々さんのおっしゃる通りピークオイルは過ぎた可能性は高いですね。


>海水を注入してその圧力で出す

そう言えば、二酸化炭素の地下貯留もその圧力で石油を押すのに利用する・・・とか言ってましたね。・・こんな危険で馬鹿な事を実行しようとしている人達って狂ってると思います。

>化学工業の原料としてプラスチック社会を作り上げたのも石油

 石油化学工業と言うのは早く封印しなければ大変な事になると思います。プラスチックの廃棄物の問題は、石油を燃やして発生する二酸化炭素の問題(温暖化)より遥かに深刻だと思います。

石油は便利で、使っているうちにどんどん人間社会を蝕んでいく莫大な量の麻薬ですね。

2010/01/14 (Thu) 21:47

上々

石油の使い方

石井吉徳先生の著書からの受け売りなんですが、サウジアラビア最大の油田でもすでに大量の海水注入が必要になっているそうです。
ただし、オイルシェールだのという劣化したものまで考えに入れなくてもまだ半分はあるので、うまい使い道を考えていけば徐々に移行が可能かもしれません。

その状況のなかで、最低限の車輸送の燃料(公共交通機関、船、都市内のトラック)、火力発電、食品・薬品工業の原料・燃料には最後まで石油を割り当てるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

とはいえ、どうせ経済力に物を言わせた争奪戦になるとは思いますが。(武力に物を言わせなければまだましかも)

2010/01/15 (Fri) 11:29

雑草Z

Re:石油の使い方

    上々さん


>最低限の車輸送の燃料(公共交通機関、船、都市内のトラック)、火力発電、食品・薬品工業の原料・燃料には最後まで石油を割り当てる

そうですね。それ以外の使用はどんどん止めていくべきでしょう。・・・ドライブのようなレジャーの用途は禁止の方向でしょうね。電車を使える長距離移動も自家用車は禁止でしょう。現在の自動車の使い方は正に「浪費」と呼ぶにふさわしい使い方ですね。・・自動車ばかりではありませんが・・・。



経済力に物を言わせた争奪戦は必至でしょうね。戦争は回避したいものです。

2010/01/15 (Fri) 21:53

上々

石油争奪

アメリカの中東政策もすべて石油が絡んでいるという説もあります。
日本は全くエネルギー源を持たない割にはその辺の政策が乏しく、札束で頬をはたくようなことばかりしているようです。

少なくとも最低限の使用量に抑えればそれだけ外交の策が増えます。
国を保つということはそれだけの覚悟が要るということで、官僚が権力維持だけを考えているような現状は見ていられません。

2010/01/16 (Sat) 10:11

雑草Z

Re:石油争奪

    上々さん

 アメリカの中東政策は石油がらみと、中枢にユダヤ人系が多い事との絡みが大きいでしょうね。・・民主主義を普及する・・というのはグローバル資本主義を広める為の方便でしょうね。アメリカの言うところの自由民主主義の普及は要注意ですね。・・「押し売り」に近いものがあります。


>札束で頬をはたくようなことばかり

それもこれからは通じなくなってくるでしょうね。札束競争は、中国やインド等にも負けてくるでしょうし、ピークオイルを過ぎた石油産出国も、出し惜しみしてくるでしょう。


コメントの後半はなるほど・・・と思いました。上々さんの外交論も聴き応えありますね。機会があればもっとお聴きしたいと思いました。

2010/01/16 (Sat) 12:17

上々

外交?

外交論などといっても大して考えがあるわけではないのですが。
単に、弱みが多ければ外交政策の取り得る手も少なくなるので、できるだけ減らしておこうねというだけのものです。

アメリカなどはその点は見習うべきところがたくさんありそうで、沖縄にもう海兵隊など置いておく必要は全くないそうですが、そんなことは全く素振りも見せずに強気で当たってきます。

2010/01/18 (Mon) 08:42

雑草Z

外交手法

    上々さん

 弱みや不利な点を相手に見せずに、悟られないようにする外交手法と言う事ですね。・・・その為には味方も騙す・・・そんな外交が実際に行われているのかどうかは定かではありませんが、沖縄の基地問題でのアメリカのやり方はそうかも知れませんね。・・・全部グアム島に移す前に、日本から出来るだけ思いやり予算を取ってやろうと言う・・。

 でも、あまりにも建て前と本音の違う政治って嫌ですね。

2010/01/18 (Mon) 20:16
☘雑草Z☘
Admin: ☘雑草Z☘
「経済成長」はその定義からも明らかなように実態は「経済膨張」。20世紀に巨大化したカルト、「経済成長信仰」と「科学技術信仰」とによって、飛行船地球号は破裂して墜落を始めるのも時間の問題。
あくせく働いて破局に向かって突き進むくらいなら猫のようにその日暮らしをする方がよっぽどいいではないですか。脱成長によってゆったり暮らすことができる社会の実現を!
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