連鎖-1
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今回の記事を『連鎖』と言うタイトルにしたのは、 地震の連鎖による原発事故の連鎖の可能性だけを指したのではありません。
地球規模に広がる恐れのある大規模な環境汚染事故は、つい一年ほど前に、メキシコ湾での深海油田の原油流出事故があったばかりです。このように巨大な規模の環境汚染の事故が毎年起きていたら、21世紀の間に地上は人類だけではなく、多くの生物が棲めない環境になってしまう事でしょう。
この2年連続して起こった巨大な環境汚染事故・・深海油田の流出事故と原発事故は・・事故の種類も事故が起こった場所も原因も全く違うようですが、大きな共通点があります。それは、人災である事です。そして人災になった原因も共通しています。それは「経済性」です。共に経費を惜しんで安全対策を犠牲にした事による人災と言えましょう。そしてもっと根本原因を探れば、どちらも開けるべきではなかった『パンドラの箱』を開けてしまった為に起こった事故と言えましょう。
深海の海底油田掘削も原発も、絶対に事故が起こらないように安全対策を万全にしなければなりませんが、そうすれば採算が合わない、費用対効果がマイナスになってしまう・・から対策を甘くした故に起こった事故とも言えましょう。事故対策費をケチッたつけが大き過ぎたと言えましょうか・・・しかしそんな事では済まされません。事故が起こったら、賠償金も半端ではなく、大企業も簡単に潰れるレベルですから、リスクマネージメントとして、その事故の期待値も当然計算してなければならなかった筈です。その結果、費用対効果が1を十分に上回らなかったら(有効でなければ)そのプロジェクトはやる意味がなかった筈です。そこを無視した愚かな事故が昨年のメキシコ湾での深海油田の原油漏れ事故であり、今回の福島原発の事故でもあるのです。・・・勿論、原発も深海油田の開発も費用対効果の問題以前に、絶対にやってはならないものだったのです。人類の存亡を賭けてまでやるべき事業はありません。
このような事故はもう起こらないでしょうか?・・否、残念ながら経済成長主義に基づく「開発」と言う名の環境破壊が続く限り、このような事故はこれからもかなりの確率で起こり得るでしょう。今回2年続けて起こりましたが、こんなに頻繁に起こっては地球環境の負荷も直ぐに限界に達してしまうでしょう。そして、経済優先路線が続く限り、このように頻度も増していく可能性が大きいでしょう。何故なら人類の経済活動は成長の限界に達し、もう採算が合わない事だらけだからです。そこを無理して採算を気にしながら開発を続ければ、今回のように「経済性」と言う名のもとに安全性が御座なりにされましょう。そんな可能性が少しでもあれば、地球規模の環境汚染の起こる可能性のあるプロジェクトはやってはならない筈です。
これからも深海油田事故や原発事故が起こる可能性も小さくないだろうし、毎日どんどん作りだされる化学物質や遺伝子組み換え作物による大災害だって否定出来ません。その他、ナノテクノロジー、サイバネティクスといったテクノロジーもいつも危険と隣り合わせで、大事故が起こらないとは否定出来ないでしょう。
これらの巨大環境破壊事故が2年連続起こって改めて確信した事は、人類の活動が成長の限界に達しつつある現在、経済成長主義は、巨大事故をも誘発すると言う事です。【起きてはならない海底油田事故】で昨年危惧した事が現実となってしまいました。(この記事でも原発にも言及しています。)・・この一連の巨大事故は、成長の限界による制御不可能な崩壊の前兆ではないかと考えています。21世紀中に来るであろう、いつ来てもおかしくはない・・と予測はしていましたが、心の準備が出来る前にもう早くも始まってしまったのかも知れません。一刻も早く、脱成長に向かわなければ手遅れになってしまうかも知れません。
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