連鎖-2
今回はその続きとして、大規模な環境汚染事故が起こらなくても、起こるであろう『連鎖』について書かせて頂きます。元々前回はその話を書くつもりでしたが、その前段階で長くなりましたので改めて【連鎖2】として描かせて頂きます。
今回の巨大地震による巨大津波の災害は、本当に悲惨なものでしたが、津波の被害だけならば何年か後には復興は可能でしょう。非常に困難で先の長い事とは言え、今から復興に向かう事が出来るのです。宮城県と岩手県の沿岸地方では復興は徐々に始まっています。しかし、原発事故のあった福島県の沿岸地方の復興作業は殆ど停止したままです。これからもっと悲惨になる恐れもあります。放射能汚染は原発の周辺近くは勿論、福島県内ばかりか、茨城、栃木、千葉、埼玉・・・と広がりを見せました。海の汚染もどんどん拡散しています。魚から大量の放射能が検出され、これから生体濃縮も始まりそうです。
食料不足が近々やってくる事はかなり以前より予測していた事ですが、今回の事故によって早まりそうです。国の政策により、食料自給率が極端に低く抑えられていた日本は、輸入頼りというとんでもないない状況に置かれています。一刻も早く食料自給率100%を達成すべきである・・・と言い続けてきましたが、今回の原発事故の放射能漏れによって、食料自給率を増やすことさえ困難になってきたように見えます。それでも、食料の自給率の確保を何よりも優先させれば、自給率は数年でかなり高いところまで持って行く事は可能でしょう。しかしそれを邪魔するのが経済優先策です。相変わらず国会などでは、復興の為に増税するとか国債を発行して経済を回復させる、経済が成長すれば、復興もどんどん進む・・・というステレオタイプの議論が飛び交っています。そう、経済成長神話が蔓延しているのです。確かに、現在の日本では食料と経済(それにエネルギー)はかなり密接な従属関係がありますから、同時に破綻する可能性が極めて高いでしょう。でも、それはあくまで食料を輸入に依存しているからで、日本国内で自給自足出来れば、経済が破綻しても食料危機は防げるのです。(・・途上国のように経済支配されて食料を持って行かれる可能性は否定出来ませんが、だからこそ現在の狂った経済システムは壊さなければならないのです。)
このまま復興策として今までと同じ経済システムを回復して、食料自給率確保よりも、経済成長路線を中心に進もうとすれば、確実に食料不足になるでしょう。それと同時にエネルギーの破局もやってきて、勿論経済も破綻し、日本は沈没していくでしょう。
経済とエネルギーは破綻するのは当然の帰着で、現システムは破綻すべきです。何故ならフローが持続可能な循環の域を超えてしまっているからです。しかし食料不足が起これば悲惨な事になる事は言うまでもありません。
だから経済やエネルギーよりも食料自給を中心に考えなければなりません。
しかしここにそれを阻止する大きな問題が横たわっています。それは原発です。事故を起こした原発からの放射能は明らかに食物生産に大きな影響を及ぼします。そして事故を起こした原発も起こしていない原発も、廃炉を半永久的に管理しなければならないのです。
経済力がなければ原発の廃炉の管理は杜撰になり、放射能漏れを起こすでしょう。だからと言って経済力をつける為に経済成長路線を進めば破局に繋がる・・・原発という世紀の愚策をやり続けた為に人類は難しい局面に立たされてしまいました。これからずっと、廃炉は永続可能な社会を作る為の大きな障害になり続けましょう。【事故が起こらなくとも、棲めなくなる空間が増えていく 】
それでも、勿論可能性から考えて、これから向かうべきは脱原発と脱成長の方向です。非常に上手くバランスを取りながら、しかし早く進まなければなりません。大変な事です。いつ地雷を踏んでしまうかもわかりません・・・・。
今回の原発震災で、崩壊の連鎖の引き金が引かれて、その開始の秒読みが始まってしまったかも知れません。幸いにもまだ始まっていないとしてももう時間はあまり残されてはいないでしょう。一刻も早く、脱成長に向かわなければ手遅れになってしまうかも知れません。
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