原発推進は最悪の利権構造
福島原発事故を受けて原発廃止運動が盛り上がってきています。テレビやマスコミではあまり報道しませんが、原発廃止を求めるデモは各地で毎週のように行われて、規模も次第に大きくなっています。新聞社などのアンケート結果と違い、ネットなどのアンケートの結果は原発廃止派が90%以上と圧倒的に多くなっているサイトも見受けられます。ネットのアンケートにも偏りはあるでしょうが、それでも日本では、原発廃止派が主流になりつつあります。逆にマスコミのアンケートの取り方には作為を感じます。彼らは原発推進派と癒着してジャーナリスト魂を骨抜きにされています。
いまだに原発が必要だと主張している人は沢山います。原発推進派は必死になってお金をばら撒いて(・・直接、間接税金が使われるのです。・・・)メディアを使って躍起になって原発を推し進めようとしています。本来、そのお金は賠償金に充てるべきでしょう。
原発がクリーンなエネルギーだとかコストが安いだとか安全だとか石油の代替になっているとか、そんなどうしようもない理由が蔓延っていますが、それらの理由は全て破綻しています。原発の実像は正反対で、最高に危険なばかりか最もダーティで高コスト、石油の代替にはなり得ません。(石油がいいと言っているのではありませんが、原子力と比べれば遥かにましです。)それらについては福島原発事故の以前からこれまで散々述べています。(・・カテゴリー【原子力】・・)
推進派の中には、それらのまやかしの推進理由を鵜呑みにする人々が沢山います。彼らにも困ったものですが、絶えずテレビで虚構のCMが流され、小中学校でさえ原発是認教育が為されてきたのですから、彼らも騙された被害者と言える部分もありましょう。カルトに洗脳された人々のようなものかも知れません。これからでもしっかり原発の本当の姿を直視して理性で判断するべきです。
そんな彼らに対して事実とかけ離れた原発の虚像を意図的にプロパガンダしている悪質な連中が存在するのです。その連中が虚構の原発推進世論を作り上げてきました。
彼らが原発を推進するのは、彼らが挙げている数々の虚構の理由からではありません。本当の理由は「利権」でしょう。
日本で原発が推進されるようになったのは、第二次世界大戦後、アメリカやイギリスの軍事産業=原発製造・・を支えるためでした。【「原子力の平和利用」の実体 】で述べました。それを受けて日本で初期に原発を推進したのは、初代原子力委員会委員長の正力松太郎や後に総理大臣になる中曽根康弘でした。正力松太郎は第二次世界大戦の戦犯になって処分されるところでしたが、日本での原発導入の推進に協力する代わりに戦犯を免れ、原発推進のプロパガンダのために新聞というメディアを手に入れて私服を肥やし、権力を手に入れていく事になります。こうやって原発利権構造が出来上がっていくのです。メディアを使って「核の平和利用」「唯一被曝体験のある日本こそ、核の平和利用を!」という大キャンペーンを張って騙していくことになります。当時の「原発は燃料費も安い」というプロパガンダは、軍事利用のためのダンピングがあったからです。日本でも核武装する為に原発をやっているのではないかという疑いはいつも存在します。しかし一方、国内に原子力発電所が建っていることは、防衛上最悪の施設が存在する事になります。核弾頭を搭載していなくても、原発を攻撃すれば核弾頭より遥かに大きな損害を与えることが出来るのです。ミサイル攻撃で、数カ所の原発が爆破されれば、それで日本はお仕舞いです。ミサイル攻撃しなくても、原子力発電所に工作員が入り込んで細工をすれば、大きな事故を起こすことは簡単でしょう。つまり、国内に原発が存在する限り、国防的には最悪の施設が存在する事になるのです・・・・。
・・・・話がそれてしまいました。
では、何の為にそんな危険な原発が推進されるのか、・・と考えれば残る答えは「利権」です。EPRも費用対効果も無効なのにそのエネルギー政策が強引に推進され続ける理由は、大きな「利権構造」が出来上がっているからです。そう、原発はずっと利権構造で動いてきたのです。基本的にはゼネコンの公共工事と同じ癒着構造です。日本で長く続いてきたゼネコンの問題は、一般には政治家と官僚、民間企業の癒着構造と言われますが、原発はそこに大学の学者達やマスコミまでもが深く入り込み、遥かに強固な癒着構造が出来上がっているのです。日本で最も大きくて危険な 『政』、『官』、『産』、『学』、『マスコミ』の癒着利権構造です。『政』とは勿論政治家達の事。『産』は東電をはじめとする電力会社や東芝や日立、三菱重工などの原発関連メーカーなど。『官』は、それらの産業を監視する筈の経済産業省の原子力安全・保安院や内閣府の原子力安全委員会などの行政機関。そして『学』が、原発の導入に「科学的根拠」という名の虚構のお墨付きを与え、虚構の原子力擁護の発言を繰り返す東大を中心とした学者達・・別名御用学者。そして勿論、『マスコミ』は新聞社やテレビ局です。
『政』、『官』、『産』がお金や出世を餌に『学』と『マスコミ』をも取り込んで大きな構造を作っているのです。そのお金の出どころは、地域の独占企業であることをいいことに、世界一高く設定された電気料金から支払われるばかりではなく、政府の補助金などの名目で支払われる膨大な国家予算です。つまり、原発行政によって、税金が湯水の如くジャボジャボと『政』、『官』、『産』、『学』、『マスコミ』に流されていくのです。
「原子力発電は絶対に必要であるから、絶対に安全だと言う事にしなければならない」と言う「はじめに結論ありき」の論理で原発を推し進めて来たのです。
現実に、原発の危険性や不経済性を指摘した人々は、危険人物と見なされて、閑職に追いやられたり、出世の道が閉ざされてきたのです。逆に言えば、良心を捨てて虚構の原発の安全性を訴えてきた原発推進御用学者達が出世し、色々な肩書を手に入れて来たのです。だから、そのような「肩書き」を持った人の言う事だから信頼出来る・・・などという論理は、特に原子力関連に限っては全くないのです。
マスコミだけでなく、多くの著名人達も、原発マネーを注入されて太鼓持ちをやっています。情けない限りです。養老孟司、吉村作治、茂木健一郎、勝間和代・・・・枚挙に暇が御座いません。
これだけ危険で、費用対効果もEPRも無効で、非人道的な原発は、事故が起こらずに廃炉になった後でさえ、文明を崩壊させ人類を滅ぼしてしまう大きな破壊性を孕んでいるのです。原発を推進する動機は、まともな人間ならばあり得ない筈です。その理由が「利権」とはあまりにも身勝手過ぎます。「悪魔に魂を売った」という表現が十分に当てはまりましょう。そんな推進派に騙されている人々も愚かです。・・原発は安全だとか(流石にもういないと思うのですが・・)エネルギーの安定供給に必要だとか(・・安定供給ではなく、簡単に出力を変えられないお荷物なだけなのです。)環境に優しいだとか(・・放射能が環境に優しいとは・・笑うしかありません。)・・・このような全く事実と正反対のプロパガンダの虚構に一刻も早気付いて、洗脳から覚めて欲しいものです。
一応民主主義国家、法治国家であると言われているこの日本で、ここまで酷い利権構造が出来上がっているのです。この酷さは、現在独裁国国家と言われているどの国の利権構造よりも悪質かも知れません。丁度現在、日本の原発に次いで世界で注目されているリビア問題と比較できるかも知れません。第二次世界大戦前の軍国主義の日本よりも酷い状況かも知れません。普通、世の中は単純に善と悪になど分ける事など出来ませんが、こと原発に関しては、善悪のはっきりしたステレオタイプのテレビドラマのように原発推進派は『悪』若しくは『非』と言い切れると感じているのは私だけではないでしょう。
利権による公共事業は巷に溢れています。道路工事でもダム工事でも河川工事でも、費用対効果も怪しい税金の無駄遣いは沢山あります。環境破壊にも繋がり、シビアな問題も沢山出ています。それと基本的に似た構造が原発利権です。しかし取り返しのつかない深刻な事故が起こる可能性があり、事故が起こらなくても文明を崩壊に導き、人類を破滅に導く可能性の高い原発【事故が起こらなくとも、棲めなくなる空間が増えていく】を、利権で動かしてしまった事は、人類史上最悪の愚行と言えましょう。それほど、人類は愚かな生物なのでしょか?
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