一人っ子政策の弊害?
そのNHKラジオの放送で、解説委員がしたり顔で(・・ラジオですので顔は見えませんが、声の調子で・・)次のような事を言っていました。
一人っ子政策によって、労働人口が減り、さらに大切に育てられた一人っ子は、教育水準も高くなり、労働賃金も高くなってきた。こうして国際競争力も落ち、世界第2位の経済大国にまでなった中国の経済成長の妨げになっている・・・。
あまりにも酷いどうしようもない発想だったので、後から更にネットで検索してみると、
中国の失速は、中国依存度が高い日本や世界経済へも甚大な影響を及ぼす。仮に一人っ子政策を撤廃しても、それだけでは出生率の回復には力不足で、中国の将来に対する楽観的な見通しは大幅な修正が必要
等とさらにとんでもない事を問題視しているビジネスサイトもありました。【中国労働人口、年内に減少へ】
このサイトの極めつけは、
少子化が急速に進む中国が、いつまでも高成長を続けるというのは幻想にすぎない。
という1節に凝縮されるでしょう。いくら経済成長の呪縛に洗脳されているとは言え、こんなお馬鹿な事を言う輩(・・「研究者」という肩書き・・)がいるのです。少子化になろうがなるまいが、いつまでも高度経済成長を続けられる国なんてある筈も御座いません。そんな「幻想」を抱いている人がいるのでしょうか?・・・そもそも高度経済成長は素晴らしい事でも目標にすべき事でもありません。それどころか、持続可能性を潰し人類を破滅に導く概念です。
人口増加による食料不足、資源の枯渇、環境の破壊等のほうが遥かに深刻な問題なのに、現代社会は少子化で経済成長出来ない事が大問題・・・等と経済中心にしか考えられない愚かな人々で世界は溢れているようです。「労働賃金が高くなって国際競争力も落ちる」というのも、資本家、経営者側の理屈です。「国際競争の為」という名目で労働賃金を切り詰めて、実際には経営者の儲けばかり増やしている社会が理想な筈がありません。
中国では1950年代に、人口を抑制しなければ食糧難・就職難に陥り、環境に悪影響を与え、人口の増加が経済発展の成果を帳消しにしてしまうと危惧する声があがり、1960年代にはいくつかの都市で実際に計画出産の政策が採用され、70年代末から中央政府が全国的に一人っ子政策を推進し始めました。以降、30年以上にわたり一人っ子政策を継続している中国は、人口増加の抑制に成功した国だと言われています。【やめられない一人っ子政策】
人口の年齢構成比率など様々な問題もあると言われていますが、私もこの一人っ子政策は概ね評価しています。20世紀の後半の中国は10年足らずで、1億人以上増えていきました。このように10年もかからずに日本一つ分の人口が増える状態こそ恐ろしい事です。
人口膨張によって起こる食料不足や資源不足、環境破壊は、人口が増え続ける限り絶対に回避できない問題であり、破局に至る事は明らかです。一方、一人っ子政策などによる少子化によって起こる問題は、人口が増え過ぎた現在、必ず乗り越えなければならない問題なのです。
人口が減れば経済成長が出来なくなるから大変だ、経済成長の為に人口を増やし続けろ…みたいな経済成長至上主義者で溢れた現代は、つくづく狂った時代だと感じています。近い将来、こんな狂気の時代があった・・・と言われることでしょう。それが瀕死の状態で言う事にならなければいいのですが・・。
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