雑草の言葉

グローバル崩壊を個別に免れる事は可能か?

2013/10/29
Sustainability 8
世界は近い将来・・・21世紀中に【グローバル崩壊】する事になる可能性が非常に大きい事を前回論じました。ここのサイトで繰り返し論じているように、グローバル化の大きな問題点は、『問題の先送りによる肥大化』です。地球規模までに肥大化してしまった問題が地球全体に蔓延してしまったら、もうよそへ押し付けるわけにはいかず、環境が耐え切れなくなって地球規模に崩壊する・・・これが(私の定義するところの)グローバル崩壊です。現在、世界中がグローバル化の方向に進んで歯止めが効かない状況です。経済のグローバル化推進派の連中は、あたかもそれが世界の自然の流れ、自然の法則のようにプロパガンダしてます。しかしそれは自然の法則ではありません。少なくとも、経済的に安価だという理由で、(実際には環境破壊による外部不経済を内部化していないだけですが・・)物資運搬に大量のエネルギーを投入して遠くまで(地球の反対側の地域まで)運んで使う・・・などと言うことは、自然の摂理に反することであり、自然の流れの筈がありません。グローバル経済は、大量のエネルギーを無駄に投入して、資源もエネルギーも浪費して、廃棄物を増やしているのです。「エントロピーの増加を加速している」と言えましょう。とんでもない環境破壊をやっているのです。

 さて、今回は、グローバル化のなれの果ての姿としてのグローバル崩壊を、個人、若しくは(小さな)地域でブロックする事が可能かどうかを考えてみます。
現在、グローバルな流れに対抗して、地産地消などのローカル化を主張する人達が増えてきています。普段より「地産地消、自給自足」していれば、グローバリズムの波に飲み込まれずに済み、グローバルに経済が破綻しても自分達だけは生き残れる・・・と言うわけです。・・私も彼らに賛同しています。この方向こそ、人類の向かうべき方向だと確信しています。・
しかし、正直言えば、小地域で地産地消しても、グローバル崩壊から免れる事はかなり難しい事でしょう。石川英輔氏の【2050年は江戸時代】のようなスローランディングは理想ではありますが、実現は非常に困難でありましょう。
グローバル崩壊に対して、自給自足している地域が、ローカルな閉じた空間を維持できるか・・・と言えば、それは相当困難であると言わざるを得ません。
例えば、食糧不足になれば、地産地消、自給自足している田舎の地域に、食えなくなった都会の人々がなだれ込んで略奪が起こるかも知れません。食料だけではなく様々な物資の略奪によって戦争に発展する可能性も高いでしょう。
それでも、経済的なグローバル崩壊だけなら何とかなりそうですが、グローバル崩壊はそれだけではありません。グローバルな環境負荷による崩壊もあるのです。環境破壊、環境汚染をローカルな地域が排除することは非常に困難でしょう。例えば原発事故が起こり、放射性廃棄物が大量に漏れ出して世界中に広まった場合、小地域で防御する事は出来ません。大気汚染、川の汚染、海の汚染・・・みんなそうです。

 以上、自給自足、地産地消をする小地域はグローバル崩壊に関しては、時として無力である事を論じました。何かあった場合、孤立を保つことは不可能に近いと言う事です。つまり、グローバルな崩壊から、地球上のある地域が、その崩壊をブロックして、自分達だけの身を守る事は困難なのです。
 「正当な恐怖心」を共通認識として持って、経済成長の浪費を止めて環境負荷の小さな質素で堅実な自給自足的生活に改めた人々も、経済成長の誘惑に負けて、環境負荷の大きな浪費生活をしていた人々同様に、グローバル崩壊の「とばっちり」をもろに喰う場合も多いでしょう。場合によっては先に滅んで仕舞うかも知れません。正に【人類存亡のパラドックス】です。

 この矛盾は解決困難な問題であることは歴史が証明しています。即ち、持続可能な生活をしていたNA(アメリカ・インディアン)は、開拓者精神を持った持続不可能な生活を欲する西欧の人々に滅ぼされて仕舞いました。NAだけではありません。世界中の持続可能な生活をしてきた先住民達が、持続可能でない生き方を是とする、戦闘能力にのみ長けた西欧の白人に植民地化されたり滅ぼされてきました。
だから、グローバル崩壊を免れて、スローランディングする為には、世界中で同意して、全ての国、地域で、一斉に脱グローバル、脱成長に舵を切るのが理想です。
しかし、そんな理想的な世界的合意を得ている余裕は現代社会にはもうないでしょう。自給自足できる地域は、直ぐにでも脱グローバル化、脱成長に向かって進むべきでしょう。進みながら、グローバル崩壊の影響から少しでも免れる可能性のある方向を模索していく事になりましょうか。脱グローバル化、脱成長に向かったコミュニティーこそ、グローバル崩壊の波紋が及びにくいような方法を考案していくことが重要課題です。思いついた方はお知らせください。
 

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Comments 8

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でなしNo.146

経済と環境について

グローバル化でやっかいなことは雑草Zさまが書いたように先送りによる肥大化で、経済と環境での連鎖的な崩壊が止められないことです。

経済は金融が世界中に人為的に張り巡らされ、実態経済と信用取引経済が出来た結果、あるところが崩壊すると連鎖的に崩壊し、株などの「信用取引」から「労働者」へ思っていたよりも早く悪影響を与えます。

リーマンショックでは影響は半年後くらいなどと言っていた経済学者もおりましたが、結局は1ヶ月も経たないうちに人員整理が始まりました。

現在でも、あちこちで小さな火の粉が火薬に燃え移ろうとくすぶっているような状態です。

ちなみに経済をリセットする方法があって、私はその一つが世界大戦(戦争)で、とどさくさにまぎれてほとんど何でもアリになると思います。

そして、そこは勝った方がルールを決める世界であり、環境に大きな負荷をかけて景気回復を進めることでしょう。

ですが、環境はリセットなどできません。
連鎖的な崩壊が世界規模で起きれば人類は激減することになり(崩壊の程度によりますが)、壊れた環境を戻すには何世代もの時間が必要です。

以前も書いたかもしれませんが、NAは9世代後の世界を慮って行動しろという格言があったそうです。

まさに環境に配慮して、持続可能な社会の教えだと思います。

また、グローバル崩壊の影響から少しでも免れる可能性について、何かしら手がないか考えてまいります。

2013/10/30 (Wed) 22:24

雑草Z

Re:経済と環境について

    でなしNo.146 さん

>経済と環境での連鎖的な崩壊が止められないこと

これこそが大問題で現代の最大の課題ですね。

>現在でも、あちこちで小さな火の粉が火薬に燃え移ろうとくすぶっているような状態

まさに現状をよく表わしていますね。

>経済をリセットする方法があって、私はその一つが世界大戦(戦争)で、とどさくさにまぎれてほとんど何でもアリになると思います。

そうですね。その何でもありで支配階級から人権無視の暴挙が行われる恐れが高いですね。そんな危機の一方、パラダイムシフトのチャンスでもありますね(犠牲が大き過ぎるかも知れませんが・・・)
大恐慌も経済をリセットする方法の一つでしょう。

>勝った方がルールを決める世界であり、環境に大きな負荷をかけて景気回復を進めることでしょう。

大二次世界大戦も正にその典型例ですね。

>環境はリセットなどできません。

そう、これが最も大切で深刻な問題です。

>グローバル崩壊の影響から少しでも免れる可能性について、何かしら手がないか考えてまいります。

何か考えついたら是非ともお知らせください。・・・やはり地産地消のローカル化が基本でしょうか。

2013/10/31 (Thu) 22:29

guyver1092

免れる

 文明崩壊が始まれば、運よく生き延びることはできるでしょうが、一つの国として文明の維持は不可能でしょうね。
 南米あたりの古代文明で、文明崩壊を起こしても完全壊滅まではいかずに、文化として色濃く残っている文明はあるそうですが。

 経済危機なら、地域通貨で、かつ、物質を担保として成り立つ通貨なら、かなり影響を排除できると考えます。

2013/11/01 (Fri) 20:46

雑草Z

Re:免れる

>文明崩壊が始まれば、運よく生き延びることはできるでしょうが、一つの国として文明の維持は不可能

    このguyver1092さん のコメントの通りだと思います。
グローバル崩壊は一国のレベルでは防ぎようが無いけれども、個人、若しくは小地域で免れるような対策はあるか・・・と言う事が実は今回の記事の主題です。一つ前の記事【グローバル崩壊】は、そのイントロです。
個人、若しくは小さなコミュニティ地域の対策としては、自給自足的ローカル化しか有効な方法はないでしょう。(あれば是非お知らせください。)しかしそれは、本文にも書きましたように、グローバルな環境汚染、環境破壊には、あまり有効ではありません。結局グローバル崩壊を避けて生き残る個人、地域は運に因るのかも知れません。しかし、山奥で自給自足、閉鎖的ローカル化で暮していれば、生き延びる可能性は高くなるとは思います。その可能性の高さはどのくらい有為か・・・と言う事を考察しようと言うのが主題です。

>経済危機なら、地域通貨で、かつ、物質を担保として成り立つ通貨なら、かなり影響を排除できると考えます。

guyver1092 さんのその持論を裏付けるような事も書かれている書物を読みまして、次回書評をアップする予定です。guyver1092 さんの参考文献も是非お知らせください。

2013/11/02 (Sat) 23:25

guyver1092

Re:Re:免れる

 危機の規模により、小さなコミュニティーが生き延びたり、完全壊滅したりすると考えています。小さいコミュニティーがたくさんあり、国家がそれを食いつぶすことが出来ないうちに、国家としての機構が壊滅すればコミュニティーが生き延びる可能性が高いと考えています。つまりは破局が来るまでに中央集権をとどれだけ制限できるかによるのではないかと・・・・

 参考の書籍は、エンデの警鐘、エンデの遺言、シルビオ・ゲゼル入門です。

2013/11/04 (Mon) 23:32

雑草Z

Re:Re:Re:免れる

>小さいコミュニティーがたくさんあり、国家がそれを食いつぶすことが出来ないうちに、国家としての機構が壊滅すればコミュニティーが生き延びる可能性が高いと考えています。つまりは破局が来るまでに中央集権をとどれだけ制限できるかによるのではないか

なるほど!guyver1092 さんのこの考察は、今回の記事への私の想定を越えた優れたアンサーです。非常に示唆に富んだお応えです。目から鱗です。壁を乗り越えられるような感覚さえ湧いてきます。ここまで明快な御回答を得られた事に驚きです。これでこの記事は完結したようにさえ感じます。改めて修正記事を書きたい感じです。guyver1092 描いて頂く方がいいでしょうね。

2013/11/04 (Mon) 23:55

guyver1092

Re:Re:Re:Re:免れる

 このアイデアの元ネタは、ネットで老化貨幣を調べているうちに
http://blogs.yahoo.co.jp/hpwyn965/34724644.html
の類のページを見つけ、考えつきました。
 現在日本政府は、地域通貨について何ら意思表示をせず、地域それぞれの活動を黙認している状態だそうです。黙認していて、いざ支配者の生贄にしようとするときは地域通貨を禁止するつもりなのかと勘繰りたくなります。
 地方としては、地域通貨を完全合法にしておけば、国家としては滅びても、部分として生き延びるチャンスが大きくなると考えています。
 また、地方分権が進めば、太陽エネルギーを固定する生態系を完全破壊しようと言う経済的圧力も小さくなると考えられますので、場合によっては、国家としても崩壊を回避できるかもしれません。

2013/11/07 (Thu) 22:38

雑草Z

Re:Re:Re:Re:Re:免れる

 御紹介の老化貨幣のサイトを読ませて頂きました。
guyver1092さんが良く話題にされるゲゼルの自由貨幣理論の実践例について書かれ、面白く興味深く読ませて頂きました。

>地方としては、地域通貨を完全合法にしておけば、国家としては滅びても、部分として生き延びるチャンスが大きくなる

も納得です。

 しかし、ここに書かれていた事は、今回の guyver1092 さんのアイディアのような事については触れていませんね。あくまでも考えるきっかけになっただけで、
>小さいコミュニティーがたくさんあり、国家がそれを食いつぶすことが出来ないうちに、国家としての機構が壊滅すればコミュニティーが生き延びる可能性が高い

は、改めて guyver1092さんのオリジナルである事が分かりました。

>地方分権が進めば、太陽エネルギーを固定する生態系を完全破壊しようと言う経済的圧力も小さくなると考えられますので、場合によっては、国家としても崩壊を回避

う~ん、希望が見えてきましたね。出口が見えなかった自分が驚いています。
この方向で検討したいですね。 

2013/11/08 (Fri) 23:52
☘雑草Z☘
Admin: ☘雑草Z☘
「経済成長」はその定義からも明らかなように実態は「経済膨張」。20世紀に巨大化したカルト、「経済成長信仰」と「科学技術信仰」とによって、飛行船地球号は破裂して墜落を始めるのも時間の問題。
あくせく働いて破局に向かって突き進むくらいなら猫のようにその日暮らしをする方がよっぽどいいではないですか。脱成長によってゆったり暮らすことができる社会の実現を!
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