グローバル崩壊を個別に免れる事は可能か?
さて、今回は、グローバル化のなれの果ての姿としてのグローバル崩壊を、個人、若しくは(小さな)地域でブロックする事が可能かどうかを考えてみます。
現在、グローバルな流れに対抗して、地産地消などのローカル化を主張する人達が増えてきています。普段より「地産地消、自給自足」していれば、グローバリズムの波に飲み込まれずに済み、グローバルに経済が破綻しても自分達だけは生き残れる・・・と言うわけです。・・私も彼らに賛同しています。この方向こそ、人類の向かうべき方向だと確信しています。・
しかし、正直言えば、小地域で地産地消しても、グローバル崩壊から免れる事はかなり難しい事でしょう。石川英輔氏の【2050年は江戸時代】のようなスローランディングは理想ではありますが、実現は非常に困難でありましょう。
グローバル崩壊に対して、自給自足している地域が、ローカルな閉じた空間を維持できるか・・・と言えば、それは相当困難であると言わざるを得ません。
例えば、食糧不足になれば、地産地消、自給自足している田舎の地域に、食えなくなった都会の人々がなだれ込んで略奪が起こるかも知れません。食料だけではなく様々な物資の略奪によって戦争に発展する可能性も高いでしょう。
それでも、経済的なグローバル崩壊だけなら何とかなりそうですが、グローバル崩壊はそれだけではありません。グローバルな環境負荷による崩壊もあるのです。環境破壊、環境汚染をローカルな地域が排除することは非常に困難でしょう。例えば原発事故が起こり、放射性廃棄物が大量に漏れ出して世界中に広まった場合、小地域で防御する事は出来ません。大気汚染、川の汚染、海の汚染・・・みんなそうです。
以上、自給自足、地産地消をする小地域はグローバル崩壊に関しては、時として無力である事を論じました。何かあった場合、孤立を保つことは不可能に近いと言う事です。つまり、グローバルな崩壊から、地球上のある地域が、その崩壊をブロックして、自分達だけの身を守る事は困難なのです。
「正当な恐怖心」を共通認識として持って、経済成長の浪費を止めて環境負荷の小さな質素で堅実な自給自足的生活に改めた人々も、経済成長の誘惑に負けて、環境負荷の大きな浪費生活をしていた人々同様に、グローバル崩壊の「とばっちり」をもろに喰う場合も多いでしょう。場合によっては先に滅んで仕舞うかも知れません。正に【人類存亡のパラドックス】です。
この矛盾は解決困難な問題であることは歴史が証明しています。即ち、持続可能な生活をしていたNA(アメリカ・インディアン)は、開拓者精神を持った持続不可能な生活を欲する西欧の人々に滅ぼされて仕舞いました。NAだけではありません。世界中の持続可能な生活をしてきた先住民達が、持続可能でない生き方を是とする、戦闘能力にのみ長けた西欧の白人に植民地化されたり滅ぼされてきました。
だから、グローバル崩壊を免れて、スローランディングする為には、世界中で同意して、全ての国、地域で、一斉に脱グローバル、脱成長に舵を切るのが理想です。
しかし、そんな理想的な世界的合意を得ている余裕は現代社会にはもうないでしょう。自給自足できる地域は、直ぐにでも脱グローバル化、脱成長に向かって進むべきでしょう。進みながら、グローバル崩壊の影響から少しでも免れる可能性のある方向を模索していく事になりましょうか。脱グローバル化、脱成長に向かったコミュニティーこそ、グローバル崩壊の波紋が及びにくいような方法を考案していくことが重要課題です。思いついた方はお知らせください。
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