雑草の言葉

目先

2014/12/11
Sustainability 12
人は目先の事に捉われがちです。遠い将来よりも先ずは明日のこと。・・・ある意味当然の行動でしょう。
今食べるものが無くて飢えていれば、来年何百倍の大きさになる魚の稚魚を食べてしまうでしょうし、来年一粒万倍になる穀物の種も今食べてしまうでしょう。ある意味仕方ない事です。しかしそんなに逼迫した状況でなくとも、目先の個人の利益を優先してしまい、大局的には取り返しがつかないくらいの被害を受けている事がしばしば起こっています。意識するとしないとに拘わらず、環境問題よりも社会問題よりも、先ずは目先の自分の利益の為に行動している人が大半です。・・・勿論、目先の個人の利益よりも環境の事、社会のことを優先する人もいるでしょうが、ほんの一握りの人々です。

前回の衆議院選挙同様、今回の衆議院総選挙も景気対策が争点の主になってきています。他のもっと重要な争点・・・集団的自衛権の立法化や原発再稼働や原発の輸出など、これからの日本の存亡にもかかわるような大きな争点があるにも関わらず、相変わらず景気対策に主眼が置かれています。自民党は、景気対策以外の重要問題を争点にすれば分が悪い事は明らかなので、経済政策を隠れ蓑の争点としています。アベノミクスは早晩失敗することは目に見えています。もうすでにかなり馬脚が見え始めています。選挙が終われば、次々にアベノミクスの失敗を示すデータが明らかにされるでしょう。だから他の政党はそのアベノミクスが、失敗であることを繰り返し繰り返し主張しています。その野党の主張は間違いではありませんが、自民党と一緒に経済対策ばかりを論じている姿には、情けないものがあります。国民の多くも目先の景気対策に注目している・・・と考えて、のことなのでしょうが、そんな事よりももっと大切な争点がいくつもあるのです。

実際に、成長の限界に近づいた日本では経済は行き詰っています。経済的に大変である人は沢山いるでしょうし、そんな彼らが、(恒常的には上向くことの無い)経済を上向かせることを、政治に期待してしまう事にも一理あるでしょう。しかし、そんな目先の利益ばかりが一国の政治に反映されるのは非常にまずいでしょう。・・・多数の人々の目先の利益が優先になるように選挙に反映され、政治に反映されているのが現代民主主義選挙の実態でしょう(実情は、利益はごく一部の人に集中しています。)。その結果、環境はますます悪化し、社会は崩壊の方向にどんどん進んでいます。

過去にも、目先の利益に囚われ、大局的に考えられなかった結果、多くの文明が滅んできました。目先の利益に囚われた多数の人々の思惑の結果として事業が行われ、その結果、環境が破壊され・・・循環が断ち切られ、社会全体が大きな被害を受けて滅びていったのです。イースター島の悲劇は典型例でしょう。もっと大きな文明崩壊の例も沢山あります。インダス文明、エジプト文明、メソポタミア文明・・・・。目先の利益を追求しているうちに環境を悪化させ文明が崩壊してきました。

そして、現代社会も、日本に限らず多くの国が目先の利益を優先して、破局に向かっているのです。環境が悪化し人間が住めなくなったら、社会が崩壊したら、個人の目先の利益も何もないでしょう。その意味で、地上の人間は一蓮托生なのです。

多くの様々な情報を瞬時に得ることの出来るようになった現代だからこそ、過去に学び、目先の利益にだけ囚われないで行動したいものです。少なくとも、公の行動や政治、選挙に関しては、将来の人間社会全体の持続可能性を考えて、大局的に考えて行かなければ、大変な事になるでしょう。破局は直ぐそこに迫っているかも知れないのです。・・・(自戒も込めて。)
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Comments 12

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爽風上々

選挙の争点は国民の程度を表す

景気対策だけで選挙を戦うというのは、今に始まったわけではなくバブル以降ずっとそれで続いていると言えます。
まあ、それ以前も箱物の誘致だけであったり、急行の停車駅であったり、はなはだしいのは選挙期間中の飲食接待だけで票を集まるということまでしていたので、一応政策と言えるようなものになっただけでも進歩と言えるのかもしれませんが、その実態は国債を乱発して公共事業と言う名の土木建設につぎ込むだけの白痴とも言える施策だけだったようなものです。

それとはちょっと違ったのは小泉の郵政選挙ですが、これも通じるところはやはり景気対策でしょう。

国債発行残高の推移を見るとバブル前にはなんとか償還も見える程度であったのが、瞬く間に非現実的とも思える額に跳ね上がります。これもその当時の景気対策選挙で勝利した自民党政権がやったことです。
それがすべてまったく逆効果で今の惨状となっているのに、「誰もその責任を問わない」ばかりかまだ足りないと言っている。

そういった議員を選ぶのは有権者です。日本がおそらく急激に没落することに近い将来なるでしょうが、誰のせいでもなく有権者の責任です。自民党にはこれまで一度も投票したことのない私にも連帯責任はあるのでしょう。

オイルピークを過ぎ人類文明全体の衰退も見えてきましたが、その出現のはるか前に日本の没落は始まりそうです。

2014/12/11 (Thu) 05:57

団塊親爺の遺言

破局は農畜産業から

 今の政治家の行いに何等の同調は出来ませんね
金が無いから様々な税を懸ける 増やす 見掛けの体裁を図る
馬鹿でも出来る方策しか執らない 一般庶民は青息吐息です

私たちも生活が苦しいから税金も年金も払わないで良いのか・・
是非ともそうさせて欲しいものです 散々浪費していざ困ったら
年貢を上げる・・昔の地頭の遣り方と同じ・・

農畜産業ですが相変わらず密飼い状態で輸入飼料等に頼る経営
糞だらけの最悪の環境で動く事も太陽も見ずに抗生物質入りの
餌で育てられ続けています こんな家畜の飼育法に補助金を出し
自然放牧や自然農法へは補助金は出ません 家畜の環境に合った
自然放牧飼育をすると人は糞出しや家畜の病気の心配から解放
され経営者は持続可能な健全経営に・・今ヤギの除草隊が各地で
活躍しているそうです 日本の河川周りには相当量の雑草が在り
これ等を生かす家畜たちの活躍が期待出来ます 健全に育てた
家畜たちのもたらす卵や乳は全く今の流通している味覚とは違う
のです 今、鳥ウィルスとか家畜の伝染病に凄い経費が懸けられ
ているにも関わらず薬剤で抵抗力の無くなった家畜たちは死んで
います それらを食べている私たちも家畜たちと同じく抵抗力や
免疫が無く成り病が蔓延しています 他の産業と違い農業は原点
に還らなければ取り巻き連中に食い物にされるのです

今の農畜産業は殆んど利益は出ません 儲かっているのは薬剤の
企業と税が入る国だけです 私たちは健康に生きてこそ人生

この儘では金や利益の為に私たちが殺されると想っています

  

2014/12/11 (Thu) 21:13

guyver1092

現状認識

 景気政策について期待したいのは分かりますが、過去の滅びた文明人とは違い、現代人ははるかに多くの情報もありますし、知識の蓄積によって現状を分析することも十分可能であるにもかかわらず、ぶち上げたアドバルーンに騙されるのは、ある意味、現代人の資格がないとも言えますね。
 もっとも日本人が重視している景気対策が空手形であると気がつかないのは、知性が疑われます。
重視しているはずの経済対策の良否がわからない程度の知性では、もっと大事なことが自分たちにどのような影響を及ぼすのかも予測できないのかもしれませんね。

2014/12/12 (Fri) 20:33

雑草Z

Re:選挙の争点は国民の程度を表す

>景気対策だけで選挙を戦うというのは、今に始まったわけではなくバブル以降ずっとそれで続いていると言えます。

そう言われればそうかも知れません。自民党はそうだったでしょうね。でも野党は必ずしもそうだったのではないような記憶ですが・・定かではありません。

>逆効果で今の惨状となっているのに、「誰もその責任を問わない」ばかりかまだ足りないと言っている。

そうですね。おっしゃる通りです。今の政治家の大半は、目先の利益誘導しか考えていませんね。責任は問われるべきです。

>自民党にはこれまで一度も投票したことのない私にも連帯責任はあるのでしょう。

その理由を是非ともお聞かせ下さい。自民党に投票して無くて、政治家でも無い爽風上々さんが、自民党が行ってきた政策の連帯責任がどこにどのくらいあるのでしょうか?・・・特に 上々さんの事を問うているわけでは無く、この手の物言いをする方が沢山いますが、いつも疑問に思うからです。勿論それぞれ違うかも知れませんが、どのような理由から責任があり、だからどうすべきだとお考えですか?

2014/12/13 (Sat) 19:03

雑草Z

Re:破局は農畜産業から

>散々浪費していざ困ったら 年貢を上げる・・昔の地頭の遣り方と同じ・・

言い得てます。全くその通りです。

>馬鹿でも出来る方策

ですね。そして逆効果です。やらない方が遥かにいいですね。

>こんな家畜の飼育法に補助金を出し自然放牧や自然農法へは補助金は出ません

畜産でもそうですか?・・・酷いものです。農薬会社や薬剤会社と癒着しているのでしょうね。

>今ヤギの除草隊が各地で活躍しているそうです 

いい情報有難う御座います。それは一石二鳥ですね。ヤギに輸入穀物を食べさせて、河川敷に除草剤を撒くような生態系を無視した愚かな方策は直ぐに止めるべきですね。

>農業は原点に還らなければ取り巻き連中に食い物にされるのです

そうですね。昔・・・江戸時代は勿論、そこまで遡らなくても、戦前の農業は今と比べれば遥かに健全でしたね。ほぼ、有機無農薬でした。・・・アメリカの化学会社、農薬会社が農業を駄目にしましたね。早く有機無農薬に戻るべきですね。

農業の現場を観てのご意見、非常に参考になりました。ありがと言う御座います。

2014/12/13 (Sat) 19:16

雑草Z

Re:現状認識

>日本人が重視している景気対策が空手形であると気がつかないのは、知性が疑われます。

空手形の景気対策とは上手い表現ですね。アベノミクスの実体を突いています。アベノミクスどころか、バブル以降の景気対策の実体ですね。

>もっと大事なことが自分たちにどのような影響を及ぼすのかも予測できないのかもしれませんね。

他の深刻な問題から目を逸らして、景気対策ばかり追い求めていたら、取り返しのつかない事になりますね。日本ばかりか、世界の存亡にかかわる逼迫した大きな問題が横たわっているのですから。

2014/12/13 (Sat) 19:23

爽風上々

民主政治と国民の責任

選挙をするようになってもう40年になりますが、その始めの頃にはさすがに今のような経済の真実というものを考えることもなかったのは当然です。
しかし、自分自身は幼稚ながらも、その頃から当時の自民党政治の政策が労働者や農民、中小企業などのための方向には全く向いておらず、すべて大企業と地域のボスのような人々のためのものであることは分かっていました。そんなわけで自民党の候補には一度も投票したことはないのですが、他の政党の候補も同じようなものと言うことには当時は気がついていませんでした。

国民の政治に対する責任というのは、「それが民主主義だから」としか言いようがないですね。
たとえ反対する政党であっても選ばれた以上はその統治に従いますし、その政治の間違いは批判はしますが、その結果の責任からは共同体の一員として逃れることはできないと思います。

しかし、もうそろそろそれにも疲れました。
もちろん、具体的な行動はできないのですが、心の中では「日本人」の一員であるということを返上して「地球人」であるという気構えで、日本人の連帯責任からは逃れたいと思うこのごろです。

2014/12/13 (Sat) 21:10

雑草Z

Re:民主政治と国民の責任

コメントを読むと、爽風上々さんの選挙に対するスタンスのほうが、私よりも遥かに真面目だったと感じます。私は選挙の争点に着目し始めたのは、小泉郵政選挙だったり、民主党が台頭してマニフェストが話題になった頃からです。それ以前は、イメージで、金持ち(ブルジョア)の為の政治を行う自民党以外の革新系、共産党や社会党に投票していました。(緑の党系にも投票しましたが・・)

>他の政党の候補も同じようなものと言うこと

そうではない候補が多くなれば政治も変わるでしょうね。

>その結果の責任からは共同体の一員として逃れることはできない

その結果からは逃れることが出来無くとも、それに責任があるとは考えません。逆に被害者ではないかと思います。自分が支持しない政府の政策によって、労働者としてこつこつ働いていたところから搾取された挙げ句、破綻しても、共同体の一員としての責任がある・・・と言われたら理不尽過ぎます。私はそこまで人間が出来ていません。

>「日本人」の一員であるということを返上して「地球人」であるという気構えで、

それに私も乗っかりたいと思います。・・しかし私は、(外国人の多くと比べて、)まだ日本人のほうが信頼を置けるんじゃないかと言う気もしています。

2014/12/14 (Sun) 00:46

爽風上々

日本人として

まあ国籍を捨てるわけにも行きませんので「心の中では」というだけのことですが。

日本人の一員という意識が急激に薄れてきたのは、東日本大震災のあと、言葉だけでは「絆」と言いながら、福島県産の農産物は忌避するとか、福島県からの避難者を避けるとかいった醜い話が報道されるようになってからです。
このような人々と同じ日本人と言われたくないという意識があります。

さらに、「ヘイトスピーチ」をめぐる問題、さらにそれに関してネット上で飛び交っている醜い意見など、特にそのような人々が反対する議論をする人(そちらの方がはるかにまともな人ですが)を「非国民」呼ばわりをするのを見ると、それならこっちから日本人は返上だという気になります。

日本人の共同体の一員としての責任というのは、あくまでも自分がその共同体として生きていくという意識がある場合だけだと思います。
これまではいくら政府の方針が間違っていると確信していてもそれほど声も上げずに黙っていました。
そのような態度を取っている以上はそれだけの責任もあると思います。
まあ今では自分のブログなどで思うところを述べていますので、いくらかは責任は免れているかもしれませんが。

2014/12/14 (Sun) 06:03

雑草Z

Re:日本人として

私も「絆」「食べて応援」キャンペーンは大嫌いです。どちらも政府、東電の原子力政策の失態から目を逸らし、賠償を少なくする為のキャンペーンに見えます。「美味しんぼ」バッシングにも呆れました。「美味しんぼ」の作者は、現地取材して事実に基づいて描いています。偉いと思います。バッシングは、東電と政府の「事故収束キャンペーン」の一環でしょう。

私は21世紀になってから日本を再評価し、世界の中では日本に住んでいてよかったと思っていました。現在住んでいる会津地方も好きで、終の棲家にする予定でしたが、3.11以降、移住も少し考えています。会津地方は、福島第一原発から100km(以上)離れており、間に山も沢山あるので、放射能汚染は、隣県の宮城や栃木県並みで、会津の人の多くは原発事故を「対岸の火事」と捉えています。しかし、東電の費用をケチッたいい加減な事故処理では、いつ放射能が大量に漏れ出すか分かりませんからね。

話を戻しますと、私は会津が好きで日本も好きですが、だからと言って福島県や町、日本政府の酷い政策に連帯責任を感じて運命を共にする気は毛頭ありません。(これも「心の中」ではと言うだけですけどね。実際ぼんやりしていると、望む望まぬとに関わらず、政府や自治体の失策の被害をもろに被りますね。)

2014/12/14 (Sun) 13:06

でなしNo.146

成長の時代の終わり。

成長の時代が終わって、これからはどれだけ効率良く縮小するか?の時代になってきていますよね。

成長主義者達は、お金を握っていますから表面上は経済の上昇志向は今でも続いています。

しかし、日本の人口は減っているし、経済成長も縮小傾向であることは明らかです。
((ジグモイド曲線の最後のあたりでしょう。)

今までと同じような政策ではなく、上手に縮小していく、もっと言えば、消費(欲望の充足)を拡大させるよりは、教育や人との関わりなど(理性や知性、友情や愛情といったより高級な内的資産)を満たしていくことが必要だと思っています。

ただ、今の政治家には、こういう方面にどういう予算をつければ良いのかわからないんでしょう。

ちなみに、アベノミクスの金融(の暴力的)緩和は、ただの延命措置だと考えています。

延命措置というのは、「クスリ」を使ってごまかしているようなもので、効き目が切れると突然痛みがぶりかえすわけです。

まぁ、アベノミクスだけではなくて、現代の全般にこの禁断症状的痛みの発生は運命付けらちゃってますね。

先送りするよりは、日本だけでもリセットしてゼロスタートした方が、よっぽど国も民も生き残れると個人的には思ってます。

2014/12/15 (Mon) 21:57

雑草Z

Re:成長の時代の終わり

>成長の時代が終わって、これからはどれだけ効率良く縮小するか?の時代になってきていますよね。

多くの人がそれに気付いています。
しかし、政治家や財界などの強欲な人々は、そのような事を考えようともしない為か、成長の限界が無いと思っているようです。そのような御目出度い人が世の中を強引に牽引しています。このまま彼等の暴走を許せば社会は破局を迎えるのは時間の問題ですね。

>アベノミクスの金融(の暴力的)緩和は、ただの延命措置

そして、先送りすればするほど問題が膨らんで行きますね。もう先送りしようとしてもパンクしそうです。

>先送りするよりは、日本だけでもリセットしてゼロスタートした方が、よっぽど国も民も生き残れると個人的には思ってます。

まったくです。現体制を早く壊してリセットし、パラダイムシフトしなければ、リセットしようにも環境が破壊されて不可能になってしまいます。今となってはソフトランディングは不可能に近く、大きな痛みはあるでしょうけれど、上昇を止めて腹をくくって着地する事ですね。着地点がでこぼこになってしまう前に・・。


2014/12/16 (Tue) 23:42
☘雑草Z☘
Admin: ☘雑草Z☘
「経済成長」はその定義からも明らかなように実態は「経済膨張」。20世紀に巨大化したカルト、「経済成長信仰」と「科学技術信仰」とによって、飛行船地球号は破裂して墜落を始めるのも時間の問題。
あくせく働いて破局に向かって突き進むくらいなら猫のようにその日暮らしをする方がよっぽどいいではないですか。脱成長によってゆったり暮らすことができる社会の実現を!
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