TPPは超国家企業が国家を支配する為の罠
いよいよTPP交渉が合意されそうな危機です。しかし、アメリカも日本も国民の多数はTPP賛成ではありませんから、事態はまだまだ流動的のようです。
さて、少し前の記事【TPPをやりたいのは誰か?】で言及しました通り、TPPを推進しているのは、アメリカの国益などどうでもいいと考えている多国籍企業である超国家企業、並びに超国家企業に操られている政府と言う事になりましょう。アメリカに限らず、日本の大企業も含まれます。国籍に因らない超国家企業のトラップと言えましょう。
TPPは元々2002年にチリ、シンガポール、ニュージーランドの3か国間で交渉が開始され2005年にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国間で調印されました。この頃までは、小国がお互いの繁栄の為に貿易をスムーズに行う為の協定だったのでしょう。2008年にアメリカが交渉に参加すると表明した頃から、TPPの姿が当初の参加国の意図とは全く違った方向に変貌し始めたようです。グローバリゼーションの罠が次々に仕掛けられていきます。アメリカが交渉に参加したときに「投資」と「金融」と言う新たな分野が追加されました。その後、参加表明国は増えていき、2011年暮れには日本も参加表明します。日本国内の超国家企業の代表、経団連が強く希望したのです。アメリカには日本の経団連に相当するような、企業連合の圧力団体はありませんが、超国家企業がロビイストや傀儡の政治家を使って、アメリカや日本のTPP参加を煽ってきたのでしょう。TPPに参加する事による超巨大企業の利害関係はほぼ一致しています。
日本がTPP参加を表明した当初から、状況を良く分析している方々は、「TPPの真の目的は、参加各国、特に日本の関税、非関税障壁を取り払い、アメリカのやり方に染め上げて、属国化する事がアメリカの真の狙い」・・・だと主張して来ました。
それは大筋では当たっているでしょう。しかし厳密に言えばアメリカと言う国が属国化しようとしているのではではなく、アメリカ政府を操っている超国家企業が日本を属国化しようとしているのです。
アメリカの一般市民の多くも、TPP参加に賛成と言う訳では無く、逆にアメリカでも反TPP運動は盛り上がっています。反対する議員も沢山います。その代表、エリザベス・ウォレン 民主党マサチューセッツ選出上院議員 の主張は正義感に溢れ、非常にまともで理に適っています。【ワシントンポスト2015/2/15】。
(彼女の支持者の多くは2016年の大統領選への彼女の立候補を望んでいますが、本人は立候補の意思が無いと語っています。)彼女は、
「TPPは、米国が外国を搾取する法案以外の何ものでもない」とも述べています。この「米国」とは、米国の一般市民でも国家でも無く、米国の超国家企業を指している事は、彼女の他の発言からも明らかです。
・・・余談ですが、彼女が、次期米国大統領になる事は、かなり望ましい事と感じていますが、彼女でさえ、大統領になったら、超国家企業、財界等の圧力で色々妥協させられてしまうのでしょうか?さもなければ暗殺されてしまう可能性も低くないでしょう。・・・それを十分に承知しているからこそ、彼女は「出馬しない」と語っているのかも知れません。
TPPの問題に関しては【サルでもわかるTPP】
がお薦めです。タイトル通り、判り易いだけではなく、タイトルからは意外なほどかなり詳細に書かれています。これを一通り読めばTPPの問題点の殆どを把握出来るでしょう。
【TPPをやりたいのは誰か?】でも書きましたが、
①参加国の代表では無く、超国家企業の代表、ロビイストによってTPPの内容が話し合われ、決められようとしている事
②ISD条約[Investor State Dispute Settlement 投資家対国家間の紛争解決条項]によって,企業が国家を、世界銀行傘下の国際投資紛争解決センターに提訴して、国家に損害賠償を請求出来る事。
③ラチェット規定により、一度自由化・規制緩和された条件は、当該国の不都合・不利益に関わらず取り消すことができないこと
④関税障壁のみならず、非関税障壁も撤廃する事が盛り込まれている事
のどれ一つとっても、超国家企業による国家の支配、国民からの搾取が目的である事は十分に想像出来ます。そして、どれ一つだけ見ても不公正過ぎて、十分に不参加の理由になるでしょう。・・・と言うよりも、こんな無茶苦茶な協定に参加する事自体、狂っているとしか思えません。
TPPを仕掛けたのは超国家企業で、超国家企業が国民から財産を絞り取る為に国家にさせようとしている罠でしょう。TPPは一般市民にとっては何一つメリットの無い協定なのです。参加したら取り返しのつかない酷い事態になるでしょう。
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