農村の再生は困難ではない。
先日、元農林水産副大臣の立憲民主党の篠原孝氏の講演をオンラインの講演会で見ました。私は特に立憲民主党支持というわけではありませんが、日本の農業・農村の再生についての講演だったので、申し込んで参加したのです。
彼の話によると、日本の林業の衰退は農業よりも更に深刻との事ですが、それでもどちらも再生は非常に簡単であるとの事でした。
山の木と農作物が高く売れるようにすれば良い・・・だけとの事です。1951年に丸太の、1964年に製材の海外からの輸入関税がゼロになって、日本の林業は衰退しました。関税を上げるなり林業に補助金を出すなりして木を売って十分な儲けがあるようにすれば良いとの事です。農業についても同様です。日本の農家は、同時に林業も営んでいることが多く、国内の材木と農業製品を十分な値段にすれば、再生するとの事でした。
私も日本の農業の衰退は、食料を輸入してでも工業製品を輸出すると言う、軽率な政治的ミスリード、失敗であり、食料優先に考えれば、再生は困難では無いと考えていましたので、共感を覚えました。
今までの日本は、工業製品の輸出にばかり力を入れてきましたが、それよりも独立国として大切なことは、第一次産業の保護、特に農業の保護でしょう。よく、日本の農業は国に過剰に保護されていると言われていますが、とんでも御座いません。ヨーロッパやアメリカの、国による農業保護の方がよっぽど手厚いのです。アメリカの農作物には多額の補助金が付いて、日本に輸入されてくるのです。私は、これはアメリカの食料戦略だけではなく、日本支配の戦略の一つであると考えています。つまり、日本の食料を抑え、言うことを聞かざるを得ない状況にしているのです。「加工貿易の工業立国日本!」などと踊らされているうちに、日本の食料供給がアメリカに抑えられてしまったのです。
21世紀になってから(特にここ10年ほど)日本のさまざまな工業製品のアドバンテージも無くなって来ました。工業の復興をするなとは思いませんが、食料自給率の極端に低い日本は、先ずは自国での食料の安定供給が基本でしょう。食料自給率100%を目指して、農業従事者は手厚く保障するべきでしょう。農村で、都市圏並みの収入が得られれば、都会よりも住環境が良い農村を選ぶ人は増える事でしょう。
アメリカのように大規模農業にする必要はなく、小規模な有機無農薬農業でも十分な収入が得られるようにするべきです。大規模農業は、今やアメリカくらいしか奨励している国はなく、ヨーロッパ各国などでは小規模の有機無農薬農業が奨励されています。機械や農薬、化学肥料を購入する経費を減らして、小農でも楽に生活出来るような保証をするべきでしょう。これで農村は衰退を免れると思います。
専業農家が多くの国民の食料を供給するのもいいですが、兼業で、半農半○ という形で自給自足的農家もいいと思います。アメリカ型の大規模農業を目指すべきでは無いでしょう。
昨年は、コロナ禍で、人口の首都圏への流入は収まり、地方への流出が始まりました。これからどんどん農村への人口流入は増えてくると推測します。
隣町で有機無農薬農業をされている私が親しくしている方は、小さな農業法人を作りました。経営者の彼の下の従業員は、20代の若者二人だけです。地元出身者では無く都会出身です。そこは特に大規模農家ではありませんが、従業員二人雇っても十分にやっていけるようです。彼の家に行く度に実感することが2つあります。
1つ目は、農業に魅力を感じる若者が増えてきているという事です。経済的にもゆとりのある生活が可能ならば、就農したいと考えている若者はたくさんいる事でしょう。(「農業女子」も増えてきています。)
2つ目は、有機無農薬農業は十分に成り立つという事です。闇雲にやれば失敗するかも知れませんが、ノウハウを学んで、その土地にあった方法を見つけられればできると言う事です。
農薬と化学肥料、大型機械を用いた農業ではなく、小規模な有機無農薬農業でも、補助金無しでもやっていけるという事がわかりました。(逆に言えば、日本の農業は農薬・化学肥料・農業機械に経費をかけ過ぎなのです。)
楽観的と言われるかもしれませんが、これからの日本の農業には希望を持てると考えています。特に小規模有機無農薬農業に期待しております。



- 関連記事
-
-
百姓は元々全ての人々 2022/12/13
-
自然農法の似合う果樹 2022/12/05
-
家庭菜園如きで黒マルチ 2022/08/11
-
マルチ 2021/05/17
-
農村の再生は困難ではない。 2021/01/23
-
専門農家の作ったミニトマト 2020/07/24
-
家畜の餌 (& 書評) 2014/10/11
-
米粉の活用 2014/09/17
-
一粒万倍 2014/04/23
-