雑草の言葉

巨大企業の課税強化

2021/07/17
社会・経済 6
 巨大企業が法人税をまともに払っていない事は不公平な話しとしてよく話題になります。まるで逆進性を働かせているようです。中小企業にばかり税負担を大きくして、経営を圧迫し、早く巨大企業に吸収されろと言わんばかりです。コロナ禍の中でもむしろ利益を増やしている巨大IT企業が、税金はあまり払っていない事は、モラルハザードにつながると考えます。

 日本で言えば、ソフトバンクグループなどが小狡い節税対策で有名になりました。それでも日本はまだマシな方で、グローバルな節税対策に余念がないグーグルやアマゾンなどの「GAFA」などは、莫大な儲けに比して、見合うだけの税金はほとんど払っていません。
 企業のモラルの話にもなるかと思いますが、企業は法的に(あまり)問題のない「抜け道」があれば利用するのです。

 こうした中、日本・アメリカ・中国を含む、世界のおよそ130か国は、巨大企業の課税逃れを防ぐための新しい方針に、大枠で合意しました。新しい国際課税のルールを作ろうと、139カ国が10年ほど前から交渉を続けて来て、このうち130国が今年の7月に、新しいルールを2つ導入する事で一致したとのことです。その二つとは、
 第一に、巨大企業の税金逃れへの対策です。これまで多くの企業が、法人税率が低い国に子会社を作り、節税をして来ましたが、各国共通の最低税率を15%以上に引き上げました。15%以下の国に子会社のある企業は、その国の法人税率が15%未満の場合、15%との差の分だけ、本社のある国が、子会社の所得に課税出来るというルールです。然るべき措置と言えるでしょう。15%ではまだ低過ぎると思います。その倍の30%近くあっても良いでしょう。

 第二に、巨大なグローバル企業への課税の強化です。これまでのように海外の国に工場や支店を置いてなければ、その国でどんなに利益を上げようと、課税できないと言うルールを変えて、その国で儲けた利益の一部はその国で税金を取れるというルールです。これまた当然の措置と言えるでしょう。
 この第2のルールは、初めから国が自由に関税をかけることが出来れば済んだ事でしょう。GATT(General Agreement on Tariffs and Trade)「関税および貿易に関する一般協定」が邪魔をしていたのではないでしょうか?

以上2つのルールの合意は遅すぎた感もありますが、兎も角評価できるルールだと思います。

 現在、巨大多国籍企業は、世界の多くの国家よりも力が強くなってしまいました。あまり税金を納めずにどんどんお金を溜め込んで、やりたい放題です。そこそこの大きさの国よりも経済力があり、大きな権力を握った巨大企業が政治にまで口を出してきます。金をたくさん儲けた企業が国の予算を作成し、法律を作って、国を支配するようになれば、世も末でしょう。現在の金権政治の究極の形かも知れません。

 これらの課税強化の最終合意へ向けての課題は、法人をたくさん呼び込むために、アイルランド、ハンガリーなど法人税を低く抑えている国が今回は同意しなかった事です。海外展開をしている日本企業からも、「税金逃れではない、実体の伴う企業活動については、きちんと区別してほしい」という要求があったとの事です。
 私はこの手の例外措置は認めるべきでは無いと考えます。法人税を低く抑えてタックスヘイブンとしている国は、それで他国の税収を減らしている訳です。税金逃れではないと言っている日本企業だって、安い税金の恩恵は受けているのです。そこに抜け道を作れば、巨大多国籍企業も見逃さないでしょう。例外は作らないに越したことはありません。

 今でも、お金儲けが上手く、脱税の上手い巨大企業に政治が操られていますが、これ以上政治が操られるのはまっぴらです。現代の多くの(弱小)国は、巨大多国籍企業の傀儡状態です。完全に支配される前に、少しでもその支配から脱するように努力すべきでしょう。巨大企業に支配されることは、1党独裁よりも質が悪い・・・かも知れません。

<参考サイト>「巨大企業に課税強化!各国が大枠合意」(時論公論)


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Comments 6

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爽風上々

巨大グローバル企業

中小企業や労働者の収入を奪い取り巨大グローバル企業に集中させる方向を激化させたのが近年の世界なのですが、それでもそこから税金を吸い上げることができていたら不十分ながらも還元の道もあったかもしれません。
しかし、どうやらそういった連中の節税対策というものは各国政府の能力をはるかに越えるもののようです。
この前読んだ本によれば、様々な手口があるようですが、さすがにタックスヘイブンに置いた本社に直接送金というのは国から目を付けられるので、特許や商標権といったものを本社所有にしておき、過大な使用料を払う形にするなど、あの手この手があるとか。
今回のように世界的に最低税率を決める(といっても15%じゃ大したことにはなりませんが)というのも初めの一歩としては仕方のないところでしょうが、さらに効果的な方策が必要でしょう。
とにかく、自由貿易で関税を置かずというのが最上と言う、自由貿易教という信仰宗教に囚われていると動きが取れないでしょうが、物品の移動と資本の移動は分けて考えなければいけません。
為替取引にその都度課税するというのも効果的でしょうが、これもごく一部だけの問題です。
やはり企業の活動自体に何らかの課税をするということが必要なのでは。

それにしても、こういった世界企業の本拠地はやはりアメリカが多いためか、アメリカ政府の姿勢は金に縛られているようです。
とはいえ、企業の規模が小さいだけですが日本も政府が財界に金で操られているのはそれ以上かもしれません。
いずれも一応民主主義国のはずなのですが、これもいずれも「選挙のために金がかかる」
ということは、金で動かされる程度の国民であるということがこういった状況を作り出しているということなのでしょう。

2021/07/17 (Sat) 15:14
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: 巨大グローバル企業

爽風上々 さん

 元々資本主義は労働者をこき使って収奪するシステムでした。そこから社会は公正な方向に進もうとした時期は多々あったのでしょうけれど、近年の巨大グローバル企業の首にしっかり鈴をつける政治家は現れなかったようですね。
 連中の節税対策は各国政府の能力を超える部分もあったでしょうが、巨大グローバル企業の力が強くて、強硬な対策を取れなかったことも大きいと思います。何より世界の国同士の連携が取れなかった事が大きな原因でしょう。その意味では今回の世界各国の連携は評価に値すると思います。(まだまだ緩すぎますが・・・)

>自由貿易で関税を置かずというのが最上と言う、自由貿易教という信仰宗教に囚われていると動きが取れない

記事本文にも書きましたが、そこが大きな問題ですね。そもそも自由貿易自体が、世界の国々の国民の為とは名ばかりで、巨大企業の利権が目的ですからね。

2021/07/17 (Sat) 21:16

爽風上々

自由貿易はいつまで続くか

自由貿易は国際分業論というものを前提としており、日本はいまだに高品質製造業は自分のところのものだと思い込んで自由貿易推進と言っていますが、いつまでそれが続くやら。
素材製造、低品質製造、高品質製造、農林水産業、等々、もっとも効率が良く製造コストが安いところに集中し、それを無関税で移動させることで国際的に高効率になるだろうという考えからできているのでしょう。
そこにはどこの国にも何らかの優越した分野があるということを無理やりにでも設定しなければ、何もできない国が出てくることになりますが、その点についての考慮はされている様子はありません。
あたかも「何もできない国は生活保護国」とでもするような状況です。

しかし、幕末に「不平等条約」を強制的に結ばされ、明治になって長い間「不平等条約改正」で苦しんでいた自国の歴史を、他の国に投影するべきだという正義感はどこにもないようです。
こういった正義を守るのも「SDGs」の重要な要素ではないのですか。

それはともかく、こういった国際分業とやらも成立するのは特に海上輸送のコストが事実上無視できるほど低いからの故です。
大量輸送ができる大型船のエネルギー使用はかなり低く、そのおかげで輸送コストが低いために成り立っているだけです。
ここに「脱炭素化」の原則を適用し化石燃料などの使用を禁止したらどうするつもりでしょうか。
どうせ、この部分には適用除外とするつもりでしょうが。

もう一つ、分業したくとも製造能力に限りのある場合も成り立ちません。
これで心配なのが食糧生産でしょう。
アメリカなどが余剰生産物の押し付けをずっと続けているのが戦後の農産物貿易ですが、それでもアメリカ一国で世界の食糧生産を担うことなどまったく不可能です。
結局は美味しい所だけ自分のところという、自由貿易の自由とははるかに異なるものになるのでしょう。

自給自足を原則としそれを越えるわずかな部分のみ国際貿易によるというのが健全な状態でしょうが、もはやそこからは全く離れてしまいました。
これも軟着陸は難しくなっています。

2021/07/18 (Sun) 10:54
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: 自由貿易はいつまで続くか

爽風上々 さん

長い的確なコメント有難う御座います。一つ一つおっしゃる通りだと思います。

>自由貿易は国際分業論というものを前提としており、

「世界のどの国も1国のみでは立ち行かず、国際分業が必要である」という事は小中学校で習って、「国際分業」は当然のことのように言われていますが、実態は欧米を主とした実質的な植民地支配の延長上にあるものでしょう。日本の「加工貿易」もその洗脳の一つで、もう成り立たなくなりつつあります。

>大量輸送ができる大型船のエネルギー使用はかなり低く、

 本当にこれには驚きです。海外の農産物が遠くから送られて来るのに、日本産よりも安いし、石油が高いと言っても、ガソリンは、ペットボトルに詰めた飲料水やジュースくらいの値段で買えます。一挙にどれだけ多くの量を運ぶとこんなスケールメリットがあるのかと、子供の頃から不思議な感覚でした。

>化石燃料などの使用を禁止したらどうするつもりでしょうか。どうせ、この部分には適用除外とするつもりでしょうが。

本当なら、そこで適用除外をしたら、風力や太陽光などの代替エネルギーは、「代替が出来ない、イカサマ」という評価が下って然るべきですが、「将来技術で解決できる」という根拠のない見通し、嘘と言い訳で通すんでしょうね。

>自給自足を原則としそれを越えるわずかな部分のみ国際貿易によるというのが健全な状態

全くその通りです。先ずは食料の貿易こそ早く止める方向に持っていくべきです。食料の自給自足が出来ない国家は、国家として大切な根幹が壊れています。人口も生活水準も(食料に限らず)自給自足出来る範囲内に止める事が、世界中の国家の義務とすべきでしょう。不足が生じるから戦争が起こるという側面もしっかり認識すべきです。

>これも軟着陸は難しくなっています。

 ここを軟着陸しないと持続可能な世界など無理ですね。
 この事に限らずもうソフトランディングは無理で、ハードランディングの犠牲をどこまで小さく抑えるかの時期に来てしまったでしょう。
 21世紀に入って、既に「100年に一度の経済危機」と言われるリーマンショックや「100年に一度のパンデミック」が起こってます。(それを言った人々は非常におめでたい方々でしょう。)残念ながら、これから21世紀中に起こるであろうハードランディングは、もっと遥かに深刻な事態となるでしょう。

2021/07/18 (Sun) 16:04

guyver1092

記憶

 私が以前読んだ説では、法人税を安くして、企業に自由になる金を集めて経済成長を促進しようというのが目的だった記憶があります。結果、世界中が法人税引き下げ競争を始めました。
 行き過ぎに気が付いても、競争している以上法人税引き上げはできないわけで、10年越しの交渉でやっと歯止めをかけるめどが立ったというわけですね。
 私の予測ですが、各国が経済成長を目的としている限り、法人税はあまり上げないでしょう。

 各国は、二酸化炭素削減のためと言いつつ二酸化炭素増加政策を計画していますが、本気で二酸化炭素削減するつもりなら、投資できないほど法人税を上げれば、確実に二酸化炭素削減できるでしょう。

2021/07/19 (Mon) 21:42
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: 記憶

guyver1092 さん

>企業に自由になる金を集めて経済成長を促進

というのはあくまでも「自国の」ですね?日本の地方自治体の企業誘致のような感じですね。

>私の予測ですが、各国が経済成長を目的としている限り、法人税はあまり上げないでしょう。

言われてみればなるほどと思う洞察です。こんなところにも「経済成長」の弊害が・・・というより、「経済成長」の弊害は至る所にあるんでしょうね。

>投資できないほど法人税を上げれば、確実に二酸化炭素削減できるでしょう。

これが最も有効な二酸化炭素削減ですね。環境対策に「投資」するよりも環境対策にもなっているでしょうね。

2021/07/19 (Mon) 23:02
☘雑草Z☘
Admin: ☘雑草Z☘
無理に経済成長させようとするから無理に沢山働かなければなりません。あくせく働いて不要なものを生産して破局に向かっているのです。不要な経済や生産を縮小して、少ない労働時間で質素にゆったり暮らしましょうよ!「経済成長」はその定義からも明らかなように実態は「経済膨張」。20世紀に巨大化したカルト。
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