雑草の言葉

全体主義の巣窟

2022/05/29
生態系 10
 例年より少し遅れて、5月の連休明けの頃から、庭の家庭菜園の畝起こしを始めました。畝を全部壊して作り直すのは重労働なので、昨年の畝の下の方は残して置いて、畝の上面や側面、畝間の土を、スコップで雑草と共に剥がして裏返して、新たな高畝を作り直しました。
畝作り
     ↑昨年の畝を壊して、新たな畝を作っている最中。
 毎年、その畝のいくつかには蟻が巣を作っています。土を掘り返した時に蟻がどっと出てきて、巣を破壊してしまったことに気付きます。可哀想だけど仕方ないか・・・と、どんどん掘り返します。
アリの巣
   ⇧破壊してしまったアリの巣

 最も手強い雑草のヤブカラシ[薮枯らし]は、地下茎を掘り返して撤去するために、移植ベラを使う事があるのですが、その時アリの巣に出くわすと、アリは移植ベラを伝って手に乗り移って来て袖口などから服の中に侵入してきます。スコップで掘り返している時には足からも登ってきます。
そして
「痛い!」
思いっきり腕や肩や腹に噛み付て来ます。あんな小っちゃい蟻の顎でも、思いっきり噛み付かれると針で刺されたように、チクッと痛いのです。こちらも痛いので、上から叩きますが、『捨て身』で噛みついてきて、中々放しません。
 そう、本当に『捨て身』なのです。痛いながらも、巣を守る為の自己犠牲の精神は凄いなと思わずにはおれません。
 これって、女王アリなど他の誰かの指図ではないでしょう。自己犠牲の精神なのでしょうか?・・動物学者は「本能」で片付けて仕舞うのでしょうか?
アリの巣幼虫避難2
   ↑壊された巣から幼虫を避難させる2匹の蟻。
    幼虫を守る事も、2匹の蟻が協力して運ぶ事も、凄い事だと思います。
     正に「全体主義!」

 このように、個々の自己防衛本能ではなく、「みんなの棲む巣を守る」という行動はどこからくるのでしょうか?
 それこそ「身を挺して」巣を守るのです。
 蟻は、突然巣を壊しにかかってきた「巨大な」人に、考える間も無く立ち向かって、その体に乗り移って、身を挺して噛み付くのです。
 まさに「特攻隊」です。それも、人間社会の、第二次世界大戦中の日本の「特攻隊」のように、誰かに強制されたり、圧力を加えられたりして「仕方なく」ではなく、咄嗟の判断で、「特攻隊」となって、身を挺して侵攻者に噛み付くのです。
 蟻の巣は、一つの意志を持った全体主義社会の様です。個々の蟻の判断と言うよりも、その巣に棲む蟻全体の「意志」の様なものがあるように思えます。
蟻は、感情があるのでしょうか?それともロボット的な機械的対応なのでしょうか?
 噛み付かれて痛いのですが、この全体主義社会のアリの巣の蟻には、いつも感心致します。正に『全体主義の巣窟』そのものです。

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Comments 10

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爽風上々

社会性昆虫

ハチやアリなど、集団があたかも意志があるかのように行動する社会性昆虫と言う一群の生物があります。
ただし、彼らは「社会」であるというよりは一つの「家族」だからと考えた方が良さそうです。
生物の行動を理解するには個体間の「血縁度」というものを考えた方が分かりやすいのですが、これについては引用するサイトの説明が良さそうです。
https://i-my-mine.hatenablog.com/entry/2020/09/07/%E9%AB%98%E6%A0%A1%E3%81%AE%E6%8E%88%E6%A5%AD%E3%81%A7%E3%80%8C%E8%A1%80%E7%B8%81%E5%BA%A6%E3%81%AE%E8%A8%88%E7%AE%97%E3%80%8D
人間などの動物は2倍体という、染色体が2つずつありそれが減数分裂して生殖しますが、アリなどは2倍体がメス、1倍体がオスという性決定構造を取ります。
そのため、「姉妹の血縁度の方が親子より近い」という特色を持ちます。(上記サイトの説明が分かりやすい)
つまり、人間で言えば親子の関係より姉妹の関係の方が濃いということになります。
そのため、統一的な意識の下で行動しているように見えるようです。

2022/05/29 (Sun) 08:59
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: 社会性昆虫

爽風上々さん

 ご紹介のページで、姉妹の血縁度の方が親子より近いと言うことがわかりました。
>アリなどは2倍体がメス、1倍体がオスという性決定構造

と言うことも初めて知りました。
然るに人間の場合、親子でも兄弟でも、必ずしも相手(・・と言うか家族)の為に自己犠牲になるわけではありませんが、
蟻や蜂は100%自己犠牲の精神がある様に思えます。敵の攻撃にあって、1匹だけ逃げ出す蟻はいるのでしょうか?

また、血縁関係が濃くても相手を食べて仕舞う生物も存在します。
記事の最後の方にも書いておきましたが、蟻は機械的な対応で、自己犠牲になるのでしょうか?それとも仲間を救いたいと言う「気持ち」はあるのでしょうか?少なくとも自己犠牲の際に「痛み」は感じるように見えます。

2022/05/29 (Sun) 11:42

蟻の気持ち?自分の気持ち?

「蟻」は幼な子には親しみがあり、わざと踏んづける子も、殺したらかわいそうと、蟻の気持ちになる?子もいるようです。
ダンゴムシも好きですね。

2022/05/30 (Mon) 20:23
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: 蟻の気持ち?自分の気持ち?

大人でも、蟻に限らず、虫を何のためらいも無く踏み潰す人がいます。
酷いな・・と思いますが、
私も子供の頃、黒い蟻を虫眼鏡で焼いたり、アリの巣を掘って石鹸水を流し込んだり、酷いことをしました。
子供は「無邪気」などと言いますが、「有邪気」、「邪悪さ」を持っていると思います。

>蟻の気持ち?自分の気持ち?

は、言い得て妙な、とても深いタイトルだと思います。
確かにどっちの感情なのでしょうね?

子供の頃は、トンボや蝶々を追いかけて親しんだ・・・などと良く言いますが、
私の調査(?笑)によりますと、ダンゴムシで遊んだ子供がダントツに多いと思います。
最も慣れ親しんだ、人気の虫は、ダンゴムシだと思います。
ところで、虹さんはダンゴムシとワラジ虫の違いはご存知でしょうか?
【子供に最も親しまれている虫は?】
https://zassou322006.blog.fc2.com/blog-entry-171.html

2022/05/31 (Tue) 07:04

ダンゴムシ

ダンゴムシのことは、ちょうど5年前に書かれたんですね。
ダンゴムシを飼っていた子どもは今は何を飼っているのでしょう?

私が10年ぐらい前にわかったこと。
ダンゴムシはまるまる、ワラジムシはまるまらない。
それで徒競争では、まるまるダンゴムシより、そっくり返りそうになって進むワラジムシの勝ち!
ダンゴムシは
コンクリートも食べる、梅雨の頃に結婚する、一度に120個ぐらいの卵を生む、葉っぱに乗せて捕まえると足がとれない、足は14本で、エビやカニと同じ仲間、口から食べ、おしりから水を飲む、、。

2022/05/31 (Tue) 12:52

☘雑草Z☘

Re: ダンゴムシ

ダンゴムシの記事を書いたのは2007年ですので、15年前ですね。
ダンゴムシを飼っていた女の子は、もう成人しました。
ダンゴムシを飼っていた後か、並行してかわかりませんが、クサガメかイシガメを飼っていたと思います。
その亀は今でも飼ってるかも知れません。
ダンゴムシとワラジ虫の違いをご存じだったのですね!
・・知ってる方は、あんまりいないと思います。
しかも、ダンゴムシに関しては私よりもずっと詳しいですね!

>梅雨の頃に結婚する、一度に120個ぐらいの卵を生む,足は14本、口から食べ、おしりから水を飲む

など知らなかった知見をたくさん有難うございます。

>コンクリートも食べる

は、聞いたことがあったと思いますが、あんなものよく喰えますね!本当でしょうか?

>葉っぱに乗せて捕まえると足がとれない

ダンゴムシを捕まえる時には、どうせ丸まるので、葉っぱに乗せなくても足は取れないのでは?

>徒競争では、まるまるダンゴムシより、そっくり返りそうになって進むワラジムシの勝ち!

これは、移動する速さがワラジ虫の方が早いと言うことでしょうか?そう言えば、ワラジムシの移動する姿は記憶にありません。




2022/05/31 (Tue) 19:17

ダンゴムシあそび

すみません、間違えました。15年前に書かれたのですね。

そこに登場する女の子のようにダンゴムシ好きな子どもと出会い、一緒に調べて「だんごむしクイズ」を作ったのが10年前でした。



コンクリートのところに、ダンゴムシ、ワラジムシがいっぱいいます。
ギザギザは劣化か?食われたのか?


地面に棒で円を描いて中にもう1つ描いた円の中にムシたちを集めて見てる遊びです。棒で突いてもまるまらないワラジムシの方が早く進むのは当たり前か?足が取れたのはワラジムシだったのかなあ?




2022/05/31 (Tue) 21:45
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: ダンゴムシあそび

 ダンゴムシに関する知識は、書物で得たものばかりでなく、実際に子供と実験して得た知識もあったんですね!素晴らしいです。
「だんごむしクイズ」まで作ったなんて、恐れ入りました!

棒で突かなくても、日光に当ててやれば日向を求めて急いで移動するかと思いますが、そうでもないのかな?

>そっくり返りそうになって進むワラジムシの勝ち!

って、どんな走り方なのか想像が付きません。
私も走らせて観察してみようかと思いますが、最近はワラジ虫は見掛けません。
ダンゴムシはうじゃうじゃいるんですけどね。

2022/06/01 (Wed) 06:47

guyver1092

ハダカデバネズミ

 哺乳類にも、社会性生物がいるのをご存じでしょうか? ハダカデバネズミというネズミの一種は、真社会性をもつ珍しい哺乳類だそうです。

https://www.businessinsider.jp/post-205058

 日本はかつて、最も成功した社会主義国家と称されたこともありましたが、少なくともバブル崩壊までの日本人は、人類の中で最も真社会性に近い性質を持っていたのかもしれませんね。

2022/06/01 (Wed) 21:16
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: ハダカデバネズミ

 ご紹介の長い記事を興味深く読ませて頂きました。
ハダカデバネズミの事はまったく知りませんでしたし、
「真社会性」と言う言葉も初めて知りました。
その3つの定義は確かに、アリやハチの社会ですね。
哺乳類にこんな生物がいたのですね。正に全体主義社会です!
トンネルも長く、正にアリのコロニーですね。
真社会性生物のハダカデバネズミの社会は、怖い側面も大きいと感じました。

確かに日本はかつては最も成功した社会主義国家だったと思います。
現在のロシアや中国よりも、ずっとまともな社会主義国家だったでしょう。
「バブル崩壊まで」と言うか、バブルが日本人をおかしくしたのかも知れません。
大恐慌直前のアメリカのように、社会を不健全な賭博社会に変えていったと言えましょうか?

2022/06/02 (Thu) 07:10
☘雑草Z☘
Admin: ☘雑草Z☘
「経済成長」はその定義からも明らかなように実態は「経済膨張」。20世紀に巨大化したカルト、「経済成長信仰」と「科学技術信仰」とによって、飛行船地球号は破裂して墜落を始めるのも時間の問題。
あくせく働いて破局に向かって突き進むくらいなら猫のようにその日暮らしをする方がよっぽどいいではないですか。脱成長によってゆったり暮らすことができる社会の実現を!
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