南瓜の栽培
「カボチャは、栽培が非常に簡単で、植えて根付いたら、後は放って置いても育って立派な実がなる。大して肥料をやらなくても、味もいいし長持ちする・・。」って思っていました。その旨、今年の冬に、とあるズームミーティングで話したら、西日本の専業農家の方が、
「カボチャは難しい。作ったことあるのか?」
と言ったので、意外でした。
丁度、PCのズームの画面の私の背景には、庭の家庭菜園で作った赤カボチャを映していました。雑草や他の作物の上を這ったカボチャが支柱に宙吊りで実っているお気に入りの写真です。その背景を指差して、「これは私が作ったカボチャですが、「種を蒔いただけで、あとは何もしなくてもここまでなりました。素人でも簡単に作れると思います。」と答えました。

↑お気に入りの金山赤南瓜。丁度、支柱に這わせて釣ることができた。
↓会津菊南瓜。やはり同じ頃、支柱に吊ることができた。

そのミーティングは、日本の食糧問題の事で、カボチャの栽培ではなかったし、お互い、それ以上話は続けませんでした。
その後、退職したら、本格的に農業をやると言って、田畑を購入して、今でもかなり本格的に農業をやっている新潟県の友人に、カボチャの栽培が難しいかどうか尋ねてみました。すると案の定、彼も
「カボチャはすごく簡単だ。放っておいても大丈夫。種を蒔かなくても、生ゴミからでも毎年生えててくる」と答えました。
「カボチャ栽培は難しい」と言った西日本の専業農家の方は、何を以てカボチャの栽培が難しいと言ったのか、気になりました。
その後、考えてみると、確かに難しい点が二つ思いあたりました。
一つは、カボチャは強くて暴れるので、苗1つあたり広い面積を必要とすることです。家庭菜園の狭い土地では、他の植物に絡みついて枯らせます。家庭栽培の指南書などには、「狭い土地ではトマトやナスなど上に伸ばす作物の下に這わせれば良い」などと書かれていますが、そんなことはなかなか出来ません。数日目を離すとトマトなどに覆いかぶさってしまいます。つまり、狭い土地で、他の作物と混植するのはかなり難しいと思います。
そしてもう一つ、交雑の問題があります。直ぐに別の品種と交配してしまいます。
私は昨年まで3種類のカボチャを栽培していました。

家の庭で栽培していた3種のカボチャ。
左から、生ゴミから自然に生えてきた西洋南瓜。赤南瓜。菊南瓜。
1つは最も流通している普通の西洋カボチャ。これは、苗を植えているわけではなくて、生ゴミを埋めたところから、かなり深い所からでも、毎年何本も生えて来て、都合のいい場所に生えたものだけ2、3本残して、後は間引いていました
2つ目は、西洋カボチャと同じくらいかちょっと大き目の赤カボチャ。大きなデベソがあるのが特徴です。とても美味しいカボチャです。
そして3つ目は、会津伝統野菜の会津菊カボチャ。上から見ると菊の花のように見えて、凸凹した山に分かれている小振のカボチャです。私は好きですが、多くの人は不味いと言います。
毎年採種して作った苗は、何人かの欲しい方に差し上げていますが、みんな赤カボチャが欲しくて菊カボチャは要らないと言います。確かに赤カボチャが一番美味いので、昨年から赤カボチャだけ栽培しようとしましたが、まさかの失敗でした。昨年は、赤カボチャから採った種だけポットに蒔きましたが、菊南瓜との交雑種が沢山実りました。菊南瓜の交配力は強く、遺伝も強く出るようです。色は赤っぽいのですが、形が菊の花のように割れて、ほとんど菊カボチャです。「赤カボチャの苗」として近所の人に差し上げた苗からも、いくつか「菊南瓜」(の遺伝子の強い交配種)がなってしまったそうです。

殆ど菊南瓜になってしまった交雑した南瓜。
右側のカボチャは辛うじて色だけ赤カボチャ。左側は、色も混じってまだら
有機無農薬農家で研修している研究熱心な20代の若者に聞いてみたら、
「カボチャは重くて出荷作業が大変だし、重さの割に安いので、出荷して採算を良くするのは難しい」
と、言ってました。
以上3点、①広い面積がいる。 ②すぐ別の品種と交配してしまう。 ③重さの割に値段が安い。
を件の西日本の専業農家さんにメールして、難しいというのはその事かとお尋ねしたところ、
その3つに加えて、
④消費者があまり好まない。悲しいかな、あの表面の固さで嫌うのです。南瓜を切り裂く術を知らない。スーパーで切り分けているのを買えば、この苦労がない。南瓜一つをそのまま買わない。
とのことでした。そして、真ん中の茎の部分に包丁のとがっている先を差し込み、下に降ろすと簡単に切り分けられると教えてくれました。
その後、調べてみると、カボチャは、交雑を避けるためには、別の品種からは100m以上離すべきだそうです。
奥会津の金山町特産の赤カボチャは、交雑を避け「ブランド化」する為に、カボチャの栽培は赤カボチャしか許されていないとのことです。
他の町で作られた赤カボチャの数倍の値段で売られています。他の町で作られた赤カボチャ1個が300円〜700円に対し、金山赤カボチャは1個1000円〜6000円です。
勿論、私の家の家庭菜園で作っている赤カボチャは、「金山赤カボチャ」とは名乗れないのですが、味は頗る美味しく、菊南瓜と両方食べた人は全員「赤カボチャの方が遥かに美味い」と言います。更にみんな、西洋カボチャよりも美味いと言います。
これから家の庭では、カボチャは純正な赤カボチャだけにしようと思います。
カボチャの栽培は、一見簡単だけど、面倒な、奥の深い栽培なのでした。


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