西洋文明の終わり

経済成長を公理とした西洋文明は、そのうち(21世紀中に)破綻するだろうと考えておりましたが、先日、私が考えていなかった観点で、西洋文明の終わりを書いている文書を読んで、なるほどと思いました。 マイケル・ハドソン:西洋文明の終わり Michael Hudson:The End of Western Civilization
です。氏が、つい最近中国で行ったスピーチの内容だそうです。
これまで、彼の文章を読んだ記憶はありませんでした。 愛読している Bill Totten さんの
<耕助のブログ>No.1505 - 2022/07/19
に載っていました。
Bill Tottenさんは、非常に短い抜粋の中に、核心となるパラグラフを載せて下さり、なるほどと思った次第です。記事にも
「この講演は「西洋」社会を支配する病いの核心を突いている。」とあります。
債務は、昔は返済が困難に陥ると、王や大祭司によって大部分が免除されていたそうです。それが、ギリシア・ローマの時代から、全ての負債を全額返済することを要求した為に、社会は富裕層と平民に分裂し、過剰債務により崩壊したとのことです。
そして、現在の世界帝国でその道を進んでいるのがアメリカで、アメリカの強欲な寡頭勢力は、強奪できるように金融市場を解放しない全ての社会を敵視しているとのことです。
なるほど、その通りだと思いました。さらに核心部は、強欲な金融寡頭政治が、金融・経済・政治支配で「民主主義」という概念を、押し付けようとしているとのことです。
政治や経済は複雑で難しいものではないのです。ただ単に、強欲なレンティア階級[不労所得階級]が、土地と富を独占し、更にもっともっとと富を求めるから、世の中の大半の人が住みにくい世の中となるわけです。世界は、こんなしょうもないことで、文明崩壊に近づいているのです。
この記事の結論として
「 レンティア階級を崩壊させる必要があるだろう」
とありますが、全くその通りだと思います。
丁度数日前に、同じタイミングで、当方の記事
に毎回コメントをいただいているguyver1092さんから、記事【「失われた30年」という発想】2022/
07/17 に、
「文明崩壊のきっかけの一つに、格差の拡大があるとの研究結果がありますが、割と経済的に平等であったという、文明崩壊的に見て好ましい社会情勢も失われています。」
という、マイケル・ハドソン氏と趣旨の通じるコメントをいただきました。
私は、物質的な成長の限界を超えることによるオーバーシュートから文明崩壊が起こると考えていましたが、このような社会的歪みによって文明崩壊が起こる可能性も低くないでしょう。そして結局のところ、それらは根本的に同じところから起因していると言えるでしょう。
オリガーキー[金融寡頭政治]による経済成長策・・・なんだか脱力です。


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