雑草の言葉

西洋文明の終わり

2022/07/29
Economic Fascism 6
バベルの塔2


 経済成長を公理とした西洋文明は、そのうち(21世紀中に)破綻するだろうと考えておりましたが、先日、私が考えていなかった観点で、西洋文明の終わりを書いている文書を読んで、なるほどと思いました。

 マイケル・ハドソン:西洋文明の終わり
 Michael Hudson:The End of Western Civilization
です。氏が、つい最近中国で行ったスピーチの内容だそうです。

 これまで、彼の文章を読んだ記憶はありませんでした。
 愛読している Bill Totten さんの
耕助のブログ>No.1505 - 2022/07/19
に載っていました。


Bill Tottenさんは、非常に短い抜粋の中に、核心となるパラグラフを載せて下さり、なるほどと思った次第です。記事にも
この講演は「西洋」社会を支配する病いの核心を突いている。」とあります。
 債務は、昔は返済が困難に陥ると、王や大祭司によって大部分が免除されていたそうです。それが、ギリシア・ローマの時代から、全ての負債を全額返済することを要求した為に、社会は富裕層と平民に分裂し、過剰債務により崩壊したとのことです。
 そして、現在の世界帝国でその道を進んでいるのがアメリカで、アメリカの強欲な寡頭勢力は、強奪できるように金融市場を解放しない全ての社会を敵視しているとのことです。
 なるほど、その通りだと思いました。さらに核心部は、強欲な金融寡頭政治が、金融・経済・政治支配で「民主主義」という概念を、押し付けようとしているとのことです。
 政治や経済は複雑で難しいものではないのです。ただ単に、強欲なレンティア階級[不労所得階級]が、土地と富を独占し、更にもっともっとと富を求めるから、世の中の大半の人が住みにくい世の中となるわけです。世界は、こんなしょうもないことで、文明崩壊に近づいているのです。

この記事の結論として
「 レンティア階級を崩壊させる必要があるだろう」
とありますが、全くその通りだと思います。

丁度数日前に、同じタイミングで、当方の記事
に毎回コメントをいただいているguyver1092さんから、記事【「失われた30年」という発想】2022/
07/17  に、
「文明崩壊のきっかけの一つに、格差の拡大があるとの研究結果がありますが、割と経済的に平等であったという、文明崩壊的に見て好ましい社会情勢も失われています。」
という、マイケル・ハドソン氏と趣旨の通じるコメントをいただきました。
 私は、物質的な成長の限界を超えることによるオーバーシュートから文明崩壊が起こると考えていましたが、このような社会的歪みによって文明崩壊が起こる可能性も低くないでしょう。そして結局のところ、それらは根本的に同じところから起因していると言えるでしょう。
 オリガーキー[金融寡頭政治]による経済成長策・・・なんだか脱力です。

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Comments 6

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guyver1092

忘れていました

https://www.gizmodo.jp/2014/03/nasa_64.html

https://www.huffingtonpost.jp/kenji-sekine/nasa_b_5060727.html


 格差拡大の出典は上記です。忘れていたのですが、資源消費と格差拡大が両輪となって文明崩壊に至るでした。
 資源の枯渇の最大のものは食料でしょう。環境破壊の結果水循環を失い、結果としての食料資源の枯渇により、人口支持力が低下し、文明を維持できるだけの人口が維持できなくなるのです。
 人口支持力に関しての出典を下に入れておきます。(以前にも張り付けていますが念のため)


https://www.recruit-ms.co.jp/research/2030/opinion/detail31.html

https://www.isc.meiji.ac.jp/~katotoru/jinkou996.html


 お金を不滅に保とうとすると、かえって人類社会を破壊してしまうというのは、どこかの国の経済成長を目指す理由と同じく皮肉な矛盾ですね。
 以前から考え続けていますが、お金から不滅という属性を取り去る以外の文明存続の方法はいまだ思いつきません。

2022/07/31 (Sun) 10:20
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: 忘れていました

>資源消費と格差拡大が両輪となって文明崩壊に至る

は、やはり言えそうです。人類は滅亡するかどうかは別として、文明崩壊を加速し早めるのは格差拡大かも知れません。
資源の浪費に関しては、格差拡大と正の相関があるか、負の相関があるかは疑問です。
確かにエリート(と言うよりも強欲な富裕層)の資源の浪費は酷いものですが、大多数を占める大衆も、余裕ができるほどの富が回ってきたら、資源を浪費するでしょう。世界の現状です。

>技術革新で資源使用効率を高めても、人口ひとりあたりの資源消費量と資源採取の規模も同時に増えてしまう傾向がある

の通りであり、人間は「資源がある限り使いまくる」と言う傾向が文明崩壊の必然性かも知れません。その認識の変更には絶滅に対する強い「正当な恐怖心」が必要だと考えます。

>お金から不滅という属性を取り去る以外の文明存続の方法はいまだ思いつきません。

お金の「不滅性」は、非常に人工的な決め事です。以前も(少し内容は違いますが)この手の記事を書いて頂きましたが、改めまして書いていただけませんか?私は有効な
>文明存続の方法
を思いつきません。
そこには、
「より環境負荷の大きい人々:民族、国家、組織・・・の方が環境負荷のより小さい人々を滅ぼしてきた」
と言う、乗り越えるのが困難なパラドックスが存在します。

2022/08/01 (Mon) 06:18

guyver1092

明確になっていません

 お金の不滅性について、あの後新たな考察はできていません。何らかの考察があれば書けるかもしれませんが、現状は難しいです。

2022/08/02 (Tue) 21:03
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: 明確になっていません

guyver1092 さん 無茶なお願い申し訳ございませんでした。

現在、「逃げ場無し」のグローバルなところで資源消費と格差拡大が起こっているので、文明崩壊を回避する方法が見出せません。
だから、guyver1092さんの解決策「お金から不滅という属性を取り去る」を改めまして、救いの方法としたいと考えました。
「より環境負荷の大きい人々:民族、国家、組織・・・の方が環境負荷のより小さい人々を滅ぼしてきた」
と言うパラドックスを乗り越える方法のヒントは他に見いだせますでしょうか?

2022/08/03 (Wed) 06:30

guyver1092

すみません

 新たな事柄は思いついていないので、期待に添えられる記事は書けません。

2022/08/08 (Mon) 20:02
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: すみません

ご無理を言って、申し訳ございませんでした。
やはり西洋文明はそろそろ終わるんでしょうね。
終わらない為の問題の先送りよりも、新たなまともな文明の事を考えた方がいいですね。

2022/08/09 (Tue) 18:09
☘雑草Z☘
Admin: ☘雑草Z☘
「経済成長」はその定義からも明らかなように実態は「経済膨張」。20世紀に巨大化したカルト、「経済成長信仰」と「科学技術信仰」とによって、飛行船地球号は破裂して墜落を始めるのも時間の問題。
あくせく働いて破局に向かって突き進むくらいなら猫のようにその日暮らしをする方がよっぽどいいではないですか。脱成長によってゆったり暮らすことができる社会の実現を!
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